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3 ルワンとフィスティア

「待っていたよ!フィスティア!!」


「お待たせしてしまった様ですわね?ルワン様。フィスティア、参りました。」


 皇太子ルワンの部屋に入れば、椅子から立ち上がってルワンが歩み寄る。フィスティアは綺麗に礼を取って皇太子ルワンへ挨拶をした。


「堅苦しい挨拶は要らないよ。さぁ、こちらへ…」


 皇太子ルワンは満面の笑顔でフィスティアを庭園が良く見える席へとエスコートする。


「まぁ!お城の庭園はもうこんなに咲き誇っていますのね…」


 フィスティアは花が好きだ、と過去に皇太子ルワンと市街地へ散策した折に言った事がある。ふとフィスティアの目に付いた、自宅では見かけなかった花が日の光を浴びて余りにも美しかったものだから心からの称賛を込めてその花を褒めた様に覚えている。そうしてしばらくしたら王城の庭園に花畑が増えていた。あの時、何気なく言ったフィスティアの一言で皇太子ルワンはフィスティアが好きだと言った花の特別庭園を作っていた。それもフティの花、と名付けられて、気が早いのだがそれは皇太子妃の愛花として国民に知らしめるまでとなった。


 その花を皇太子ルワンは今朝もカードと共にフィスティアに大量に送っている。今日だけではなく事ある事に頻回に……それほどフィスティアは皇太子ルワンに愛されていたし、周囲の人々にもそんな皇太子の姿は微笑ましく映っていた。国の為の政略結婚であるにも拘わらず、二人の間には幼馴染以上の愛情が芽生えており、国の為にも王家の為にも皇太子ルワンの妃にはドルン侯爵令嬢フィスティア、と国民を始め国全体で認められた妃候補者となった。


「君が好きなフティの花だ。今が見頃だろう?」


 フィスティアの瞳と同じ色の金の髪を皇太子ルワンは愛しそうに1束掬い上げる。少し頬を染めたフィスティアには構わずに溢れんばかりの笑顔を向けて。皇太子ルワンはフィスティアが登城して来るこの一時をとても大切に過ごすのが習慣となっていた。


 フィスティア様が来られるとルワン殿下は駄目になる……皇太子ルワンの1番身近な側近で、幼少時からの友でもある近衞騎士隊隊長ラート・エクセルの言う通り、大事な聖女選定会であっても早めに切り上げさせてしまうほど、皇太子ルワンはフィスティアに夢中だった………



 

 思い思われ、恋い恋われて婚姻を結ぶ貴族が果たしてどれだけいるだろうか?皇太子ルワンと皇太子妃フィスティアの婚姻は国内外に渡って憧れの象徴とも言われるほどに祝福されたものになった……………


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