26 毒矢に倒れる
ガーナード国軍待機所まで後数キロ…狼煙は上がりこちらの異変には気が付いているだろう者達が既に動いているかもしれない所まで来たというのに……!前方から射掛けられた矢は初回のものよりも数が増え、全て近衞騎士のみで叩き落とすことも叶わずに王ルワンも剣を抜いて応戦に入った。
「お気をつけ下さいませ!矢数が多すぎます!」
「速度を落とすな!標的にされる!」
ガーナード国王軍は散り散りにならない様に寄せ固まって、前方の賊軍を突破する形を取った。大隊の外側ではもう何人もの騎士が倒れ落馬していく…しかし、彼らを助け、連れ帰る余裕が今の国王軍には無かった。機動力では圧倒的に押されているここで足を止めては完全に囲まれてしまうだろう。勢いにまかせ、味方となる援軍までの距離を詰めた方が活路は開ける……
が、どうにもおかしい……!いくら機動力に劣るとはいえど、一国家の騎士団。小競り合いの続くガーナードにおいては戦には慣れた者ばかりなのに…なぜ、数にも劣る賊軍に押されているのか…!?
「ラート様!!クトルドです!奴ら、裏切っております!!」
「何と!?」
後方から動き伝令を伝えている若い騎士が声の限りに叫び出した。
「賊軍と、クトルドの騎士の得物が同じです!賊軍は粗布を纏ったクトルド兵です!」
「何だと!?」
この若き騎士は洞察力が買われて伝令役を務めている。周囲の異変を逸早く察知するために彼の仕事は重要だった。その騎士が言うのだからまずは間違いはないだろう。後方から押し迫ってきたクトルド国軍は援軍の類ではなく、前方の賊軍と共にガーナード国王軍を挟み撃ちにしようと押し迫ってきているのだ。相手側にとっては敵国内でのこの所行…長引けば長引く程に不利になるはず。その為か、これでもかと言うほどに矢を惜しみなく射掛けてきている…
「フッ……捕獲すべき賊は我等だと言いたいのか!?」
「陛下!着きます!!」
援軍の待機場所…ガーナードの国王軍と近隣領地からの私兵団一団…優に大隊の数を上回るほどの者が待機しているはず。
「合図を出せ!!」
ボゥーーーーーーーー…………
合図の笛の音を高々と鳴らせば、前方に緩やかに広がる林の中からガーナード国王軍と思しき一団が鬨の声を上げつつ一気に飛び出して来る。彼らが狙うは盗賊風情の最初の一団…その盗賊団は数で勝ち目がないと踏んだのか一斉に踵を返して王ルワンの国王軍側へと雪崩れ込む。
「くっ!乱戦に持ち込む気か!どうあっても、陛下を守れ!!」
一団となって突き進むガーナード国王軍と踵を返して向かって来る盗賊団が激しく衝突し乱戦になった外側を固める様に、ガーナード国王軍援軍が後方に迫るクトルド国軍にと雪崩込み一気に畳み掛ける様に動き出した。




