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15 追求

「私は、此度の事を許さぬ…何としても関わった者達を追求し、その責を取らせるつもりでいる。」


 皇太子ルワンの今まで見た事も無い毅然とした表情から、その責がどれ程重いかを表している様で、フィスティアの背筋には冷たいものが走る。


「……ルワン様…」


「フィスティアもそのつもりでいてくれ…これに関わった者共は例え身内であったとしても容赦はしない。」


 それだけ言うと、フィスティアに背を向け皇太子ルワンは部屋を出て行ってしまった……


 そして、皇太子ルワンの宣言通り、関与ある者達の粛清が始まる。食後に嗜んでいたワインに毒が仕込まれていた様で、ワイン番、給仕長、当日の給仕係が牢に繋がれ、王の侍女達までもが引き立てられて行く。


「お待ち下さい!私は無実でございます!」


 引き立てられて行く侍女達から出る叫び声がその日王城内に響き渡った……

 

 

 誰の指図で王は暗殺されたのか、それが明確になるまで皇太子ルワンの言葉通りに数ヶ月経つ今でも時折城内では誰のものとも知れぬ悲鳴が響いている。


「なんとも、穏やかではありませぬわね……」


 ニーナはなるべく皇太子妃フィスティアが心煩わせずとも良い様にありとあらゆる事に気遣ってくれた。城内にいるのに何週間も皇太子夫婦が顔を合わせていない事もざらでありまた周知の事実で、フィスティアが寂しく過ごさない様に気を使ってくれているのだ。喪中の為に華やかなことはできないが、フィスティアの好きなお菓子や花は皇太子夫妻の寝室から消える日は1日ともなかった。






 緊張を強いられるような日々も流れ行き、前国王崩御から一年後を迎える今日は皇太子夫妻の戴冠式が執り行われる。


 国内外に追及の手を緩めようとしなかった皇太子ルワンの働きにより、国王暗殺に関わる主謀者たる者達の大半は捕らえられたと思われた。が、周辺国へと逃げ果せた者もおり、ガーナードからの引き渡しの要求とそれを拒否している国家間の諍いへと発展しかねない状況にまで事態は傾いてしまっていた。


 その様な中で行なわれる戴冠式の準備にも皇太子ルワンは姿を見せず、フィスティアは一人寂しくドレスを合わせ、招待状を書くのだった。



「皇太子ルワン様のお越しです。」


 きっと皇太子ルワンと会うのは式会場となる大聖堂であろう、とフィスティアはそう思っていたのだが、思いがけずに侍女がその訪室を告げたのだ。


「まぁ!…お帰りなさいませ。ルワン様…」


 城内にいたであろう皇太子ルワンだったが、夫妻の寝室に帰って休むことがなかった為にどれだけ久しぶりに顔を見るのだろう?

少しだけフィスティアを見つめ、表情を緩めてくれた様に思う皇太子ルワンだが、その顔には疲れが色濃く張り付いて、見ているフィスティアの方が胸が苦しくなるくらいだ。

 

「遅くなって、済まなかった…」


「何を申されます?ルワン様、お体は?」

 

 何よりも顔色が悪い……つい、心配でそっと皇太子ルワンの頬に手を伸ばす。優しく頬を撫でてあげたい。


 が、皇太子ルワンはフィスティアのその手が頬に辿り着く前に、はしっと握りしめてしまった。


「フィスティア、我らは今日から王冠を抱く者となる。そして、其方はこの国の希望でもあるのだ。その覚悟は良いか?」


 皇太子ルワンの手は熱い…この国を背負う覚悟と熱意と…悲しい程に今は希望よりも復讐の炎に燃えている……


「はい…このフィスティア、心してお受けいたします…!」


 貴方様のお心が少しでも軽くなります様に……

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