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ヴラート戦、からの変化。

先の展開に悩んでて、なかなか執筆が思うように進まない……( ̄▽ ̄;)


今回はミアスとヴラートの戦いです!少し短めですが、お楽しみください!

「どうしたぁミアスとやら! 貴様の力とはそんなものかぁ!」


「くそっ」


 ヴラートの猛攻にミアスは思った以上に苦戦を強いられていた。右手にヌアザの剣、左手にはルーの槍を装備し、身体強化も行っているのにも関わらず、ヴラートの技量はさらにその上を行っていた。


「ふんっ、《即斬》!」


「やべっ?! 《回旋》!」


 ヴラートの武技に、咄嗟に反応するもののなんとか刃が身体に当たるのを防いだだけで、ミアスは大きく体制を崩してしまう。


「そこだぁぁぁぁぁぁ!」


 ヴラートが唸り声を上げ、ミアスの胸元に剣を滑り込ませる。


 《『超反応Lv2』に上昇しました。》


 たが、ミアスがそう簡単にやられるはずもなく、凄まじい反応速度で体をひねりながらヴラートの剣を蹴りあげる。


「なにぃ?!」


「《断ーー裁》!」


 そしてそのまま放った武技、《断裁》による斬撃がヴラートへ向かって飛んでいく。


 ヌアザの剣、ルーの槍どちらからも放たれた二本の斬撃は、外すことなくヴラートに直撃する。


「ぬぅぅぅぅぅぅうぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」


 しかし、斬撃でヴラートに傷がつくことはなく、剣で二つの斬撃を受止め、地面に削って後退しながらも、無傷のままミアスの武技をはじき飛ばした。


「んなっ?! まじかよ!」


 まさか斬撃を受止め、弾き飛ばすなんてことをするとは思わなかったミアスは惚けた声を出す。


「はぁ、はぁ。なぜ《弱化結界》内でそこまで動ける?!」


 ミアスはヴラートの技量に驚いていたが、ヴラートはそれ以上にミアスの力に驚いていた。


 ミアスは、その問いに身体強化をかけ直すことで答える。


 《『身体超強化Lv3』に上昇しました。》


 急激に体内に魔力が巡ることによって、溢れた魔力が放出され、物理的な迫力と存在感を周りに示す。


 《弱化結界》が貼られた当初に比べて、ミアスの魔力操作は格段に精度が上がっていた。《魔力支配》のスキルレベルは最大のため、スキルのレベルとして現れる訳では無いが、上位スキルへの進化も近い。


 《弱化結界》内では魔力が乱れるものの、それ以上の精度で魔力を操作してしまえば意味はない。


「なっ……《弱化結界》が効いていないのか?!」


 まさか、ミアスがこの短時間で急激な成長を遂げているとは思わないヴラートは、ミアスの魔力とは身体強化を見て、《弱化結界》が効いていないのだと判断した。


 そして、何かを決意したような表情をし、懐から1つの瓶を取り出した。


(なんだ? 中に魔力がこもって……は?)


 その瓶の中身を見ていたミアスは、とんでもない事に気づき、すぐさまヴラートに向かって走り出す。


 瓶の中に入っている液体は、魔力を含むだけじゃない。その中身には、ミアスであればこそ感じ取れるものだった。


(なんで()が入ってる?!)


 そう、瓶の中に入っていたのは、紛れもなく()だった。なんの魂かまでは分からないものの、生命に宿っていたことは明白であり、ヴラートはその魂の混ざった液体を一気に煽り、飲み込んだ。


「ぐお、ぐおおぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ヴラートの変化は劇的だった。瓶の中身を飲むと同時に、魔力が急激に増幅し、性質も変わっていく。魔力だけではなく、身体もヒューマンのものから牙や、爪、鱗といった竜の要素を混ぜたようなものに変化していく。


「ガァァァ!」


 大気を震わせるほどの咆哮を上げたヴラートは、既にヒューマンではなくなっていた。


 目は充血し、爬虫類のような鋭く細長い瞳孔が爛々と輝き、手足の肌は硬い鱗に覆われている。口には牙が生え、指の先には鋭い爪も生えていた。


「はははは! 見ろ、これが新しい力だ!」


「竜種の魂を吸収したのか?!」


「ほう? よくわかったじゃないか。貴様の言う通り、竜種の魂とやらを吸収したのだ! くくく……下劣な生命が力を持ってるなど、馬鹿げた話だと思っていたが、こうして我らヒューマンの力となるならば許せるというものだ」


 ヴラートは気分が載っているのか、ペラペラと喋り始める。フォリア王国の兵士達も、ヴラートの変化に思わず進軍の手を止めこちらを見ていた。


「ペラペラと……不気味な姿になったくせに随分と機嫌がいいな」


「ふん、他種族との共存をする貴様ならば分かるのではないか? 種族の違いは()の違い。故にその力を取り込めば種族の限界を超えることが出来る! くはは、素晴らしいことだろう!」


 ヴラートが喋る度に、荒れ狂う魔力が迸る。ミアスは顔を顰めながら会話を続ける。


 ヴラートのやっていることはおぞましいことかもしれない。だが、ミアスも魂を吸収して力を得るという行為は、何度も行ってきている。それ故に、ヴラートに嫌悪感はあるものの完全に否定するような論理をミアスは持ち合わせていない。


 ヴラートとミアスの間にあるのは、この村にヴラートが現れた時から変わらない。侵略者、つまり敵であるという事だけだった。


 深呼吸し、落ち着いてその事実を念頭に置いて、ミアスは再び武器を持つ両手に力を込める。


「ふぅ……」


 戦いで高ぶった気持ちを抑え、思考をリセットする。身体の隅々まで感覚を行き渡らせ、今までで最高の集中力をもって、ヴラートととの第二ラウンドに望む。








お楽しみいただけましたか?

魂を吸収する。敵であるヴラートがやるのと、主人公であるミアスが行うのとでは、同じ行為なのに受ける印象が違いますね。


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