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魔法具、からの戦闘開始。

評価、ブックマークをつけて下さる方、本当にありがとうございます。お話を書いていると、その1ptが救いになります、これからもよろしくお願いします!


ようやくミアスの戦闘回です!

「まさか……他種族に情が湧いたとはいいませぬな?」


「ヴラート、長い付き合いだ。分かるだろう?」


 ヴラートの問いに、ミズキははっきりとは答えない。だが、その答えで十分だったのか、ヴラートは疑いを確信に変え、懐から魔法具を取りだした。


「こちらヴラート、姫がご乱心なされた。()()の許可を求む」


 通信機の役割があるのか、取り出した魔法具に向かってなにやら呟き始めるヴラート、その様子を見ていたミアス達も、不穏な空気を感じとったのか動き始めた。


「お、おいミズキ。お前がこの村に逃げようとしてるのバレバレだったんじゃないか?」


「う、うむ。バレてないと思ったのだが……」


 ミズキの行動は、ミアスを見つけてからかなり杜撰だった。そもそも、元から国王はミズキの一挙手一投足に注意して目を向けていたため、この村に逃げようとしていることはバレていた。


 そのため、国王の息がかかったミズキの側近、ヴラートにいざと言う時の作戦は用意されていた。


「……御意。総員、戦闘準備」


「「「はっ!」」」


 通信機の向こうにいる存在から、作戦の許可をもらったヴラートは、軍の指揮を執る。


 だが、いくら兵士が精鋭とはいえ、《祝福》持ちのミズキに、複数のユニークスキルを持つミアス達を相手にするのは難しい。


 そのため、ミズキ達には余裕と困惑の表情が浮かんでいた。


「……ヴラート、まさか勝てると思っているのではないだろうな。ここまでの日々で私の力を理解していないとは思わなかったぞ?」


「まさか、あなたの化け物具合をわかっていないわけが無いでしょう。そのための作戦です」


 そう言うと、ヴラートは懐からもうひとつ魔法具を取りだし。起動する。


「んぐっ?!」


「ミズキ?!」


 魔法具を起動した瞬間、ミズキは胸を抑えて倒れ込む。


「ふふふ、さすがの剣姫も魂への攻撃は効きますか」


「魂だと? ……んぐ?!」


 時間とともに、苦しさが増していっているのかミズキは意識を保つのもやっとの状態で倒れ込んでしまう。


「ミズキ! 大丈夫か?!」


「ぐぁぁ?!」


 ミアスの呼び掛けに対しても、ただ苦しそうに叫ぶだけでまともな返事は返ってこない。


「よし、化け物は虫の息だ。《弱化結界》を貼って進軍開始だ」


 魔法具の効果で一番の脅威であったミズキを押さえ込んだのを確認したヴラートは、軍を村へと進める。それと同時に、村を囲むように四方から魔力が立ち上り、上空で結びつくと村全体に結界が貼られてしまう。


「これは……魔力が乱される?」


「そうだ。《弱化結界》の中では魔力が乱れる。我々には効果がないがな!」


 ミアス達に効果があったことを確信したヴラートは、一気にミアス達へと斬り掛かる。ヴラートに続くようにして、軍もまた隊列を維持したままミアスたちへと迫る。


「ファル!」


『わかっている! 主はその女子をさがらせい!』


 ミアスの呼び掛けに答え、ファルがその巨体を全面に押し出しながらブレスを吐くことで軍を抑えようと試みる。


 紅蓮の炎がフォリア王国軍を飲み込むように広がっていくものの、なんの効果もないかのごとく、兵士達は炎を抜けてきてしまう。


『ぐぬ、魔力が乱されて上手く魔法が練れんか。なら……これでどうだ!』


 《弱化結界》の中では炎が効かないと判断したファルは、大きく息を吸い込み、魔力を乗せた咆哮を放つ。


 音の爆弾とも言うべきその声は、兵士たちの足を止めるものの、恐慌状態に陥るような兵士はいない。すぐさま進軍を開始する。


 だが、その二回の足止めで、短いながらも時間を稼げたため、ミアス達はミズキを下がらせ前線へと戻ってくる。


「ありがとな、ファル」


『うむ』


 短く返事をするファル。


 前線に戻ったミアスは、全力の身体強化をかけるものの、《弱化結界》の力は思った以上に強く、五割も力を発揮できていなかった。


 アイラやブーデンもまた、同じように弱体化してしまっている。


「どうすんだよミアス。これはやべぇぞ」


「やるしかない。弱気なこと言わないブーデン」


 《弱化結界》と、目の前の敵の質と量を考えたブーデンは弱気な発言をし、すぐさまアイラに咎められる。


 アイラは既にやる気満々のようであり、ミアスの横に並んだ。


 そしてミアスもまた、ヌアザの剣を取り出しやる気満々の様子でフォリア王国軍に相対する。


「やらなきゃ村がやられる。そんな事は許さない。ブーデンとアイラは左右から来ようとする敵を倒せ。ファルは入口で援護を頼む。もし別がいて村がやばかったらそっちの援護を頼む」


『わかった。主は?』


「突っ込む。入口にたどり着く前に殲滅してやる」


 殺意の籠った声で、ミアスは大盾を構え、綺麗な隊列を維持したままの前衛兵士へと一気に突っ込んでいく。


「はっ! 血迷ったかミアスとやら! 《弱化結界》の中では、この数を相手に単騎で突っ込むとは!」


 ヴラートは突っ込んできたミアスを見て、笑い声をあげる。


 だが、その笑いは続くことは無い。


「おらぁ!」


 突っ込んだミアスの一撃で、前衛の重装兵士の盾が真っ二つに割られる。


 馬鹿な、前衛は騎士の中でも精鋭。しかも大盾の素材はただの金属じゃあない。高純度の鉄と一級の鍛冶師によって作られた業物。それが布のように切り裂かれるだと?! そんなヴラートの驚きは、それだけでは止まらなかった。


「くそっ、ならーーこれでどうだ!」


 剣では広範囲の敵にダメージを与えられない。そう考えたミアスは《四種の神器》スキルを使って、ヌアザの剣を持たない方の手に《ルーの槍》を持った。


 シンプルな形の槍だが、細かな装飾は魔力を流す回路のようになっていて、ミアスが魔力を流せば、刃に魔力が流され切れ味が増加する。


 そして、その槍を、ミアスは振り抜いた。


 金属がひしゃげる音と、男たちの悲鳴が戦場にこだまする。


 ヴラートは顎が外れるのではないかというほど口を開け、声にならない声をあげてしまった。ミアスの槍の一振で、鍛え抜かれた兵士が空を舞う。それが《弱化結界》の影響を受けた者がやったのだから、ヴラートを含めたフォリア王国軍への影響は大きい。


 《『ダーナ剣術Lv2』、『ダーナ槍術Lv2』に上昇しました。》


「まだまだぁ!」


 ミアスの頭の中にアナウンスが響く。スキルレベルの上昇と共に、槍と剣の同時装備という不自然な状況にもある程度対応することで、さらにミアスの攻撃力はあがる。


「か、囲め! 囲んで倒せ!」


「り、了解!」


 ヴラートの指示で、兵士達はミアスを囲むように展開するものの、間合いに入った次の瞬間には身体が宙に舞っているため、誰もミアスを止めることが出来ない。


「くそっ、所詮は()()()か。どけ、私が行く!」


 ここにいる兵士の多くは、精鋭と呼ばれる者たちであり、ミズキが裏切った時の保険として優秀な兵士が集められていた。中には馬鹿な貴族をおさえるために仕方なく受け入れた兵士もいるものの、多くが真面目に訓練をした兵士だった。


 だが、ミアスとまともに戦えるような兵士はいない。それはなぜか。


 そもそも、ユニークスキルやエクストラスキルを持つなどの、抜きん出た力を持った者は兵士にならないからだ。


 力は持つものは、何かに縛られることを嫌う。そのため、国の持つ軍というのは個の力ではなく、数の力を重要視していた。だが、例外はある。


 圧倒的な個の武力には、数では対応できない時がある。そういう事態のために、軍にも抜きん出た力を持つものはいる。ヴラートもまた、個の力を持つとされた人物だった。


「《擬似祝福》発動!」


 そう叫びながら、ミアスに近いレベルの身体強化をかける。近いというのは、ミアスが《弱化結界》の効果を受けているという前提の話だが。


 何かしらのスキルを発動させたヴラートが剣を抜き放ちミアスにきりかかる。その太刀筋は鋭く、ミアスの技術であっても互角、いやヴラートが優勢になるほどの実力があった。


「うぉぉおおおお! 貴様らは左右から展開しろ! こいつは私が抑える!」


 ヴラートがミアスと互角の戦いを繰り広げている間に、兵士達は左右から村に向けて展開していく。


 だが、そう簡単には村に入れない。


「……こい」


「轢き殺してやるよ、ヒューマン」


 槍と拳、それぞれの武器をかまえ、戦意と殺意を滾らせたブーデンとアイラが兵士たちの行方を阻む。


 戦闘は、激化していく。



最近ミアスの無双感ある戦闘が少なかったので、ここからはタグの無双に恥じぬ、ミアスの戦いをお楽しみください!


もし良ければブックマーク、評価を残してってください!

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