異変、からの再開。
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エルフとコボルトが来て一週間が経過した。
コボルト達は俺の配下となったことで、ジャゴラ達同様ムキムキになって建築や開拓、農作業に勤しんでいる。
ムキムキになったのは男性だけで、女性はより豊満で美しい見た目になったというのが正しいが。
エルフ達はというと、元々戦闘能力が高いことと、森での行動に慣れているということから、森での採取の護衛や、村の周りの偵察を行ってもらっていた。
また、魔法についても詳しいため、村の皆に魔法での戦闘技術の講習を行ったり、ダタラ達との共同作業で魔法具の開発を行うなど、色々な仕事をこなしていた。
「出来た、出来たよミアス君!」
そんなエルフ達のまとめ役、美しい赤髪を持つラルフリートが、相変わらず野原で日向ぼっこをしているミアスの元へと、何かをもって駆け込んでくる。
「ラルフ? 出来たって……魔法具か?!」
「うん! 簡単な物だけどね、炎の魔法具だよ」
そういってラルフは大事そうに抱えた魔法具をミアスに見せた。
開閉式の箱のようなものの中に、真っ赤に染まった魔鉄が入っている。
魔鉄の表面には紋様のような溝が掘られていて、魔力感知を使うと、その紋様にそって魔力が流れているのがわかった。
「この紋様の形で効果とか威力が決まるんだ。今回のだと、一瞬だけどか火柱が上がるってところかな」
その効果はミアスが思った以上に物騒だった。
「意外と戦闘向けのを作ったんだな」
そういうと、ラルフは少し困ったような表情をする。
「本当は生活に便利なものを作ろうとしたんだけど……案外難しくてさ、火柱を上げるっていうシンプルな効果を持たせるので精一杯だったんだ」
「いやいや! これもすごいと思うぞ!」
せっかく作ってきたものを否定されてように捉えられたかもしれないと、ミアスは慌てて否定する。
「フフ、冗談だよ。慌てる姿はかわいいね、ミアス君」
だが、悲しそうな振りをしたのは冗談だったようで、軽く笑いながらラルフは明るい表情に戻す。
「けど難しいのは本当なんだ。あんまり魔法を使う時にこうやってやったら魔力が変化するって意識しないでしょ? だからそれを形として反映させるのって難しいんだー」
ラルフの言う通り、基本的に魔法を使う時は、こうしたら魔力が変化する、こうしたら魔法の威力や形を変えられるというように、具体的な手順を意識している訳ではなく、イメージや想像力を元にしている。
そのため、無意識のうちにやっていることを形に反映させるのは難しかった。
「言われてみれば、魔法を使う時あんまり深く考えてないな」
「でしょー。僕もそうなんだよ。精霊魔法を使う時なんて完全に任せてるし」
「え、精霊魔法ってなんーー」
「ミアス様! ラルフリート様!」
思わぬ単語がでてきたところで、偵察に出ていたエルフが血相を変えて飛び込んでくる。
「どうした?」
「た、大変です! フォリア王国と思われしき軍がこちらへ進軍しています!」
「「なに?!」」
本当に驚きの事態だった。
「ま、まずいんじゃないミアス君?!」
「落ち着けラルフ、とりあえず皆に知らせて戦いに備えるんだ。ちなみに……軍を率いてた奴がどんか奴だったか覚えてるか?」
「確か……金髪で長髪の女性だったと思います」
「……ミズキだな。数は?」
「500は超えています」
「多いな……」
ミアス達の村は総勢でも500を超える程度。しかもそれは女子供も混ぜた数のため、実戦で戦える数となるともっと少ない。
ただ、ミアスを筆頭にアイラやファル、ブーデンにラルフリートといった面々は大きな戦力を持っている。
「詳しいことは皆がいるところで聞くから、とりあえずは会議室にいってくれ」
「わかりました!」
ミアスの指示で、エルフは急いで会議室の置かれているミアスの家へと向かう。
「ミズキか……」
自分達を弱いとは思っていない。だが、ミズキや、ミズキに従っていた男たちの実力から考えると、余裕のある戦いではなさそうだとミアスは表情を厳しくしてフォリア王国の方を眺める。
「また会いたいとは思ってたけど……一番嫌な形だな」
敵国に近いフォリア王国の王女であっても、ミアスはなんだかんだで意識してしまっていた異性であるため、その心境は複雑だった。
だが、ミズキと、村のみんなを天秤にかけるようなことは無い。ミアスにとって守るべきものは家族と仲間、ミズキやフォリア王国の兵士はそこに含まれていない。
「……やるしかないか」
小さく、覚悟を持った声でミアスは呟く。来るべきフォリア王国との戦いにむけて。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
村の中でも、各種族の代表者とミアス、ミアスの家族が一同に会議室に集まる。ファルは入れないため、窓から覗いているが、参加していることに変わりはない。
「……以上が、報告になります」
エルフの報告を聞いた会議室には、重苦しい雰囲気が漂っていた。
「……まさかフォリア王国が動くとはな。あの騎士共、適当なこと報告したんじゃねぇだろな?」
ブーデンが苛立たしげにそう呟いた。
「違う。あの怯え方なら素直に伝える」
『我も同感だな。この村の戦力と地理的位置を知ってて尚、攻める理由があるのだろう』
その発言で、なぜフォリア王国が攻めてくるのかと議論が盛り上がる。
戦時前ということで、少々気がたっている分、いつもより語気は強く、あまり平和的な話し合いとは言えないが。
「みんな、一回静かに」
だが、ミアスがそう言うと全員が即座に大人しくなる。
本来ならば、どんなことであれミアスが命じれば全員が素直に従う。それが配下というものであり、実力主義のこの世界では普通の事だ。
しかし、ミアスはそんな事は求めていない。自分がリーダーである自覚もあるし、文句もないが、何か村に関することがあれば、全員で話し合って決めたいという気持ちがあった。
「ありがと、まず、フォリア王国がなぜ攻めてきたのか。それは今重要じゃないよな?」
落ち着いた声で話し始めると、会議室の剣呑な雰囲気が静まる。
「大事なのは、皆を守るために戦いに備えるってことだ。俺は、皆が無事に済むなら逃げるって言うのでも全然いい。ただ、逃げてもここは獣王国とフォリア王国の狭間、たぶん永遠に逃げ続けるのは無理だ」
「……そうですな、女子供もいますから」
「逆に、ここで勝てば俺たちの事を改めて脅威だと認識してくれるはず」
「迎え撃つってこったな。策はあんのか?ミアス。強いのだけで向かったところで勝てる保証はないぜ?」
ミズキや、その部下が混ざっていれば軟弱な軍隊では決してないはず。今までのような一方的な戦闘は望めない。
「……」
全員を守る。それはとても難しいことだ。
ミアスはどうすれば全員を、自分をミアス様と呼び慕ってくれる大切なみんなを守ることが出来るのか必死に考え続ける。
《高速思考》を限界まで使い、様々な道筋を考えるものの、確実にみんなを守れる手は思いつかない。
敵の戦力も、ミズキの実力も正確には測れない。ミアスの知らない魔法や技術があるかもしれない、策を練るには時間は足りず、不確定要素が多すぎた。
「ミアス」
思考の海に沈んだミアスを、アイラの可愛らしい声が引き上げる。
「……アイラ?」
「大丈夫、みんな弱くない。守られてるだけじゃない」
「だけど、俺は誰一人かけて欲しくないんだよ」
「それは、みんなも一緒。どうしようもなくなったらミアスは一人で戦う気でいる」
「っ……」
最終的にどうしようもなくなれば、ミアスは一人で敵を抑えてみんなを逃がすつもりでいた。
それを言い当てられたことでミアスは驚く。
周りを見渡せば、会議室の面々は全員がミアスの身を案じるように、不安そうな視線を向けていた。
「大丈夫。みんなで、みんなを守る」
そんなミアスに、アイラは強い意志の籠った目で言葉をなげかける。
「……分かった。みんなで、この村を守ろう」
「そうですな、みんなで守りましょうぞ!」
「そうだな、お前のことも守ってやるよ、ミアス」
ミアスがそう言うと、会議室の雰囲気は明るくなり、全員で、この大切な村を守ろうと決心する。
だが、それを嘲笑うように、村の入口付近に大きな魔力の反応が現れる。
「っ?! くそ!」
「ミアス!」
アイラの静止も聞かず、ミアスは身体強化をかけて窓から飛び降りた。
風を切りながら村を走り抜け、魔力の反応がある村の入口までたどり着く。
ミアスの目に入るのは、何百もの鎧を着た兵士。どれもが並ではない魔力を持った軍隊が、一糸乱れぬ隊列で村へと槍を構えている。
兵士たちの後ろには、空間属性魔法でできた巨大な扉があり、そこから次々に兵士が現れる。
そして、金にかがやく髪を靡かせながら、一際大きな存在感を示す、ミズキが現れる。
「また、会ったな。ミアス」
久しぶりの再会は、両者が望んだものではなかったようです。
これからの展開、ご期待ください!
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