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アンオブタニウム、からのダイデンとの話。

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よければ、感想やブックマーク残して言ってください!

「こりゃあ、アンオブタニウムだな」


 ミアスが持ち帰ってきた金属を、ダイデンは叩いてみたり、覗いて見たりと様々な方法で調べていた。


 そして、なんらかの魔法を使ったことで解析が終わったのか、大きくため息をついて解析結果を伝える。


「やっぱり俺の解析で出た名前と一緒か。どんな金属なんだ?」


 ちなみに、解析にはかなりの時間がかかったため、ジャゴラに見つかったミアスは仕事をする羽目になっていた。


 そのおかげか、若干表情に疲れが見えている。


「アンオブタニウム、別名、《望まれた金属》だな」


「《望まれた金属》?」


「そうだ。鍛冶師って言うのをやってるとな……稀にどうやっても金属の性質上、上手くいかないってことがある。素材の限界ってやつだな。だが、《望まれた金属》アンオブタニウムはそれを解決しちまう」


 ダイデンは、解析に使った器具を拭きながら、アンオブタニウムについて語り続ける。


「アンオブタニウムは、鍛冶師の願いに答えてどんな性質の金属にもなれる。まぁ、これはお前さんの魔力を受けたミスリルが変化したものだから、炎属性によってるし、アダマンタイトやオリハルコン、上位の生命から取れる素材ほどの硬度はないがな」


 硬度の高い素材として出てきた単語に興味が湧くものの、ダイデンがしみじみと話しているため口を挟む訳にも行かず、ミアスは真剣に話に耳を傾ける。


「あぁ、お前さんはあまり金属について知らねぇか。まずは一般的な武具に一番よく使われる鉄がある。まぁ鉄の中にも色々と種類があるんだが……用途に合わせてそこは使い分けてるって感じだな」


 ダイデンの仕事モードは終わったのか、戸棚の奥から酒を取り出してくる。


「ほら、お前さんも飲め」


「もらうよ、俺も仕事は終わらせたからな」


「お前さん、よくサボるくせにやり始めたらしっかり取り組むな」


 ダイデンは、解析を行っている時にミアスが仕事をしている様子を見ていたのか、酒の注がれた杯を渡しながらそんなことを言う。


「なんだよ、見てたのか?」


「そりゃあそうだろ、ジャゴラの声が響いてたからな」


「……なるほど。それで、鉄の他の鉱石は?」


 ミアスは自分の仕事ぶりの話よりも、鉱石の話に興味が尽きないのか酒をぐいっと飲み干して話に戻る。


「そう急ぐな。宴は明日なんだろ? 今日は静かに飲みゃいい」


 ダイデンはそう言いながら、空になったミアスの杯に酒を注ぐ。


「……ありがと、静かに飲むって言っても。ダタラ達の声が響き渡ってるぞ?」


「ガハハ、ダタラならば静かな方だ。それで、鉄の他の金属、だったな」


「そうそう、めっちゃ気になる!」


 ようやく話が始まるのかと、ミアスは少し身を乗り出しながら話を聞く。


「ふむ……まずは今回のアンオブタニウムが変化する前の物質、ミスリルについてだ」


「おー! いいね、気になるところだ」


「ミスリルの特徴は魔力への適正。あと、武器や防具としての性能は鉄よりも上ってとこだな」


「魔力への適正……それって魔力を吸い取るってことか?」


 ミアスは魔境での出来事を思い出しながら尋ねた。


「吸い取る、とは少し違う。加工したミスリルは特定の属性に特化した性質を持つ。その性質の魔力を強化し、ほかの魔力を弾くんだ。だが、加工前はそうじゃない。何にも染まってないからこそ、全てを吸い取るってわけだな」


「へぇ、そんな性質があるのか。今度はミスリルも取ってこなきゃならないな」


 今回の魔境探索では、壁に埋まっていたミスリルは掘れなかったし、ミスリルゴーレムもアンオブタニウムに変化してしまった。


 だが、そもそもミアスは魔境を吹き飛ばしてしまっていることを思い出し、不味いという表情をする。


「あ、そういや俺……魔境吹き飛ばしちゃったんだよな」


「ガハハ、聞いたぞ? 魔法で吹き飛ばしたんだってな……とんでもねぇ。だが安心しろ、魔境は再生する。だからこそ無限の鉱脈としての価値があるってわけだ」


「再生?!」


 まさかの事実にミアスは驚きの声を上げた。


「そうだ、再生する。まぁ吹っ飛ばしたってことは暫く時間がいるだろうが、再生することには変わりないだろ」


「……びっくりだ」


 魔境の中にいる生き物も再生するのか、そんな疑問がミアスの頭に浮かぶものの、いま聞きたいのは鉱石の事であり、話がそれれば聞づらいため、とりあえずは鉱石の話に戻っていく。


「あとは、魔鉄か? これは魔法具向けの金属だな。魔力を保持して伝達できる」


「なるほど、魔境の中で魔鉄と鉄を切り比べたんだけどさ、魔鉄の方が柔らかかった気がするんだよな」


「普通はどっちもきれねぇよ。まぁ魔鉄は武具には向かねぇな。魔力に適性がある分鉄よりも打撃や斬撃に弱い」


「やっぱりそうか。けど、魔力に適性があるんだったら……色んなことに利用出来そうだな」


「そうなんだよ。魔法具は造り手の技術次第でどんな形にもなれる。だけどなぁ、俺たちは魔法自体に詳しくない。だからそこまで高度なものは作れねぇんだ」


 魔鉄を扱う技術はあっても、肝心の魔法についての技術がない。鍛冶属性魔法という魔法は使えても、それでは鍛冶に関しての魔法具しか作れないというわけだ。


「じゃあエルフに聞くのはどうだ?」


「そう、まさにそうなんだ! お前さんのおかげでこの村にエルフが来てくれたからな。ダタラの技術も発展するって訳よ。それよりもお前さん……巫女の嬢ちゃんといい感じらしいじゃねぇか」


 金属の話から、急に色恋事の話になる。


 ミアスはそう言われて、思わず顔を逸らして酒を煽った。


 その反応が意外だったのか、ダイデンは目を丸くして驚く。


「……なんだ、そういうことには興味が無いと思ってたぞ」


「俺もそう思ってたんだけどさ、他種族とも子供が作れるって聞くと急にな」


「なんだ、そんなことを気にしてたのか! ガハハハハ!」


 ミアスが気にしているポイントは、ダイデンのようにこの世界で生まれ育ったものすれば、子供がよく悩むような内容であり、見た目は大人で性格も、少々子供っぽくはあるものの成熟したミアスがそんなことで悩んでいるのは意外と言える。


「笑うなよ、俺だってちょっとびっくりしたんだから」


「ガハハ、すまんすまん。だが、子供ができるとわかった今、思った以上に意識してしまってるんだろう?」


 笑ったことを謝り、孫を見つめるような視線でミアスに尋ねた。


「……してるな。ラルフもそうだし、ミズキもそうだし」


「ミズキってぇのはフォリア王国のお姫さんか。アイラの嬢ちゃんはどうなんだ?」


「アイラに向ける愛情は恋愛って言うよりも家族が強いからな。大切なのは間違いないけど……」


 娘、というほどではないにせよ妹や家族といった意識が強いため、恋愛対象と言われると違っていた。


「まぁ、意識したってことは悪いことではねぇだろ。あとはお前さんが好きにすればいい。ダタラも、ヒューマンも、ゴブリンも、コボルトも、エルフも、誰もお前さんの行動に文句はない。信じているからな」


 一切の嘘がない、本心からの言葉でダイデンはミアスにそう告げた。


「……思ったよりも俺は慕われてるっぽいな」


 気恥しさからか、冗談めかしてそう返すと、ダイデンは気に入ったのか豪快に笑った。


「慕われてるに決まってるだろう! どれ、夜は長い、次はその話と行こう」


「じゃあなんかつまみでもとってくるか!」


「お、お前さんも分かってるじゃねぇか。よし、行くぞ!」


 そうして、二人だけの静かな宴会は、夜が耽けるまで続くのだった。

お楽しみいただけましたか?


今回はダイデンとのまったりした日常会でしたね。ミアスのハーレムがもしかしたら来るかも?!……少なくともミアスは異性を意識し始めたのは間違いないです( ̄▽ ̄)


よければ、ブックマーク、感想、評価残してってください!


特に感想は、いつも見ていただいてる方に感謝を伝えれる場所のひとつなので、一言だけでも良いので残していただけると嬉しいです!

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