案外早かった二度目の魔境探索、からのエルフ
この伸び方は……!
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ダタラの里長、ダイデンからの用事を済ますため、ミアスはブーデンとアイラを連れて魔境へと向かっていった。
ファルを連れていこうとも思ったのだが、鉱脈となれば洞窟のように細い道があると考え、ファルだと入れない空間があるかもしれないと今回は留守番となった。
といっても、ファルは村人達に人気なため、村にいても仕事は尽きないのだが。
「ミアスよぉ、今回は鉱脈探しに行くだけだろ? 戦闘はねぇんじゃねぇか」
戦闘が無さそうだと考えているのか、若干テンションが低いブーデンがそうミアスに尋ねる。
「わかんないぞ、もしかしたらオークが侵攻してる可能性があるし、コボルト達から攻撃されるかもしれないだろ?」
「お、なら案外着いてきたのは正解か? 歯応えのある奴がいることを願うぜ」
「俺は戦闘にならず、穏便に鉄を取れることを願うよ」
そんな会話をしながら、ミアス達はどんどん進んでいく。
全員が軽く身体強化をかけているため、かなりの速さで木々の隙間を駆け抜けていく三人。しばらくすると緑生い茂る森林から、ゴツゴツとした岩肌が露出した景色へと移り変わっていく。
「……! 魔力感知にひっかかった」
だいぶ目的の場所に近づいたからか、魔力感知にコボルト達のものと思われる反応がひっかかる。
「……ミアス?」
せっかく目標の場所を見つけたというのに、ミアスの表情は厳しい。
「ブーデンの望んだ状況かもな……。襲われてるっぽい」
「なに?! じゃあさっさと行こうぜ!」
「賛成。コボルト助ける」
「あ、おい2人とも!」
コボルトの里が何者かに襲われてることを教えると、アイラとブーデンは身体強化を強めて一気に向かっていってしまう。
ミアスも少し遅れてそれを追いかけた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
岩石に囲まれた空間。ところどころの岩肌からは、鉄を含むであろう鉱石や、キラキラと輝く岩石、魔力を含んだ金属など、様々の鉱石が姿を見せていた。
そんな空間に、怒号が響き渡る。
「ブゴォォ! 鉱脈を空け渡せば命だけは助けてやろう!」
本来はコボルトの住処となっているその場所には、大量の武装したオークが我が物顔で居座っていた。
目的は鉱脈の確保。戦争を行う獣王国にとって、金属は欠かせない資源であるため、ひとつでも多くの鉱脈を求めていた。
しかも、ここの鉱脈はかなり上質の金属が取れるため、余裕のない中、わざわざ多くのオークを出兵させての確保だった。
「なにさ、命は助かっても所詮は奴隷か子を産むための道具だろう? ここは渡さない! 帰りなよ!」
そんなオークの軍団に立ち向かうのは、コボルトーーではなく、10人ほどのエルフだった。
エルフ達は優れた魔力操作で身体能力を強化し、弓を構えて臨戦態勢をとっている。
数は少ないと言えど、オーク達に侵攻を躊躇させるだけの迫力があった。
「さすがはエルフ、よくわかっているじゃないか。貴様らの国を滅ぼした時は楽しかったなぁ」
オークは下卑た笑みを浮かべながらエルフに言葉を返す。
エルフ達はオークの発言に、心底恨みと殺意の篭った視線を向け、今にもはち切れんばかりに引いた弓を放とうとしていた。
「ブゴォォォ、そもそもなんでエルフがコボルトに味方する? 身体で籠絡されたかぁ?」
エルフの反応が余程気に入ったのか、オークは鼻息を荒らげながら話し続ける。
「心底気持ち悪い種族だな……。僕たちを受け入れてくれたコボルト達に恩を返す。ただそれだけだ!」
「そうかよ、なら……望み通り蹂躙してやるよォ! ブゴォォォォ!」
お互いに啖呵を切り、エルフ側から矢が放たれることで戦端が開かれる。
「ブゴォォォォ?!」
エルフのはなった矢には魔力が込められており、オーク達の鎧を貫き、一撃で命を奪っていく。
と、言ってもエルフの数は少なく、いくら連射したとはいえオーク達の突撃を止めることは出来ず、接近戦に押し込まれてしまう。
「くっ……みんな! 後ろに通す訳にはいかない! 踏ん張るよ!」
「「「はい!」」」
先程オークと言葉を交わしていた短髪で、唯一の赤髪を持ったエルフが、他のエルフ達を鼓舞する。
エルフ達は弓を背中にかけ、ナイフを使って近接戦闘を行う。その技量は高く、オーク達は攻撃を与えることが出来ない。
だがそれでも、数の差は埋められない。
エルフ達は少しずつ相手にしなければいけない数が増えていき、後ろに通せばコボルト達を守れないという枷がついているため、距離をとって得意な距離で戦うことも出来ない。
「キャア?!」
そしてついに、エルフのひとりがオークの一撃をくらい大きく不利な状況に追い込まれる。
「ブゴォォォォ、あそこだ、行けぇぇぇぇ!」
オークの指揮官はそれを見逃さず、崩れたエルフに攻勢をしかける。
「しまった!」
赤髪のエルフや、他のエルフも援護しようとするものの、正面の敵を抑えるのに精一杯で援護に行けない。
崩されたエルフはギリギリのところで耐え続けるものの、オークの指揮官が振るう一撃が、吸い込まれるようにエルフの首へと向かっていく。
「ーーたすけて!」
「任せる」
「ブゴォォォォ?!」
咄嗟に出た言葉に、聞いたことの無い声で返事が返ってくる。
エルフとオークの間に割って入ったアイラは、拳で斧を叩き割りそのままオークを蹴り飛ばした。
「へ?」
「なに?!」
「ブゴ?」
突然の出来事に、赤髪のエルフも、オークも、全員が呆気に取られた表情をする。
「オラオラオラァ! 俺が抜けてからすっかり怠けた軍になっちまったかぁ!」
そんなオーク達を挟むようにして、ブーデンの槍が血飛沫を上げて暴れ回る。
「ブゴォォォォ! なぜオークが?!」
「うるせぇよ!オラァ!《旋回》!」
「「「ブゴォォォォ!?」」」
ブーデンが槍を振るう度にオークが吹き飛んでいく。
アイラもまた、エルフ立ちに接近したオークを薙ぎ倒していくため、オーク達の軍は混乱に陥っていた。
「ぶ、ブゴォォォォ! 相手はたかが二人だ! 抑えろぉ!」
「二人じゃないぞ? 三人だ」
「ブゴォォォォ?!」
軍の混乱を収め、鼓舞しようとした指揮官の目の前に、ヌアザの剣を構えたミアスが現れる。
そして、次の瞬間には指揮官のオークの身体は真っ二つにきりさかれる。
「ブゴ、た、隊長?!」
「隊長がやられたぞ!」
指揮官が一瞬で倒された事で、オーク達は最早完全に士気を失い、武器を手放すものまで現れた。
それを見たアイラとブーデンは、抵抗するものだけ蹴散らし、戦意のないものには手を出さずに放っておく。
「な、何?! 強すぎない君達!」
「えーと、コボルト……じゃあないよな。何者?」
「エルフだよ! コボルト達は奥にいる!」
エルフの特徴は、もはや神秘的ともいえる美貌と、尖った耳、そして弓を持っているという所から、まさかエルフじゃなくコボルトと間違えられるとは思わなかったのか、赤髪のエルフは必死に否定した。
「そうか! じゃあコボルトの味方してるってことだよな?」
「そうだよ、それで? 君たちは何なのさ」
「俺たちは……何者かと聞かれるとなんとも言えないけど、オーク達獣王国の味方でも、フォリア王国の味方でもない」
「何それ! 別の国から来たってこと?」
「そういう訳でもないんだけど……うーん、立場を説明するの難しいな」
ミアスは改めて自分の立場を説明しようとすると、案外明確な説明は出来ないと感じたのだった。
「けど、君たちの味方なのは間違いない」
「……わかったよ。今は信じる、後で事情は聞かせてね。今は……その豚共を肉にしなきゃ」
よほど恨みが深いのか、赤髪のエルフはミアスに向けていた子供っぽい表情から、感情の抜け落ちた殺意しかない目線をオーク達に向ける。
「……投降した奴は殺さない方がいいんじゃないかと思うけど……いや、好きにしてくれ」
殺さない方がいいと言った瞬間、殺意の籠った目線を向けられたため、ミアスはすぐさま考えを否定する。
「えへへ……あの豚共を一方的に……。やるよ! みんな!」
薄暗い目をしたエルフ達は、もはや統制も何も無くなったオーク達を次々に殺していく。
「こわ……」
エルフとの初めての出会いに、ミアスは恐怖を覚えるのだった。
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