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ファルの成長、からの空間属性魔法。

祝、10000PV達成!


毎日更新を掲げて三週間、ついに一万PVを達成することが出来ました!

これも、いつも読んでくださる皆さんのおかげです!ありがとう!


お祝いの感想とか、欲しいなぁって思ったり|´-`)チラッ

「助かった、ファル」


『気にするな。にしても……決め手にかけるな』


 アイラの打撃では、ダメージを与えることは出来たとしても、致命傷にはならない。かといって、ファルの炎はハイエストフロッグが体表から出す粘液によって効きずらいため、これも致命傷にはならなかった。


「おっきい敵、難しい」


『純粋な耐久力と体格だけでこうも決定打を与えることが難しくなるとは……』


 ファルもアイラも、ここまで巨大な敵を相手にする想定はしていなかった。


 同体格ならば、技術でも力でも勝てるだろう。多少体格差があっても負けることは無い。だが、ここまで体格に差があると、いくら技術で勝っていようが埋められない自力の差が出来てしまう。


「……俺には無理。ファルの一撃ならいける?」


『やってみせよう。少し時間を稼いでくれ』


 アイラの問に、自信の籠った返事を返すファル。


 アイラは、その返事を聞いてすぐさまハイエストフロッグへと駆け出し、時間を稼ぐため速度で翻弄し始めた。


 ハイエストフロッグの動きはそこまではやくは無い。それに、攻撃も大雑把なものが多いため回避に専念すればかわすのは難しいことではない。


『グガァァ!』


「遅い。そんなのは当たらない」


 ハイエストフロッグは中々アイラに攻撃が当たらないことに苛立ったのか、大きな前足を振り回しながら暴れる。


 一撃一撃が空間を揺らすほどの威力を持っているものの、技術も速さもないためアイラなは当たらない。


 そうして、アイラが時間を稼いでいる間、ファルは自身の身体を巡る魔力に意識を集中させる。


 大きな体全体に魔力を目まぐるしく循環させ、発熱機関を利用しながら魔力を炎へと変換していく。


 ファルの《炎属性魔法》のレベルは5。ミアスのように上位スキルに進化しているわけではない。


 だが、ミアスに負けていられないという思い。そして、竜神としてのプライドがファルの成長の壁を破った。


 《炎属性魔法》が、ミアスの持つ《炎王属性魔法》を超える、更なる上位スキルに進化する。


 エクストラスキル、《竜炎属性魔法》へと。


『《赤火砲》!』


 エクストラスキルにより、高密度で高火力の炎へと変換された魔力が、ファルの口元で収束され一筋の光となってハイエストフロッグの胴体を焼き貫く。


『グァ?!……グァァァァ!』


『ぐぬ?! 仕留めきれんか!』


 だが、微妙に狙いと外れたのか、ハイエストフロッグの命は既のところで残っていた。


 しかし、そんなハイエストフロッグの頭上に、一人の女の子が飛び上がる。


「これで終わり」


『グギャ?!』


 ハイエストフロッグの脳天に、アイラのかかと落としが炸裂する。


 その一撃で、風前の灯火だったハイエストフロッグの命はつき、巨大な体は海に力なく横たわる。


「勝った!ファル、すごい」


『そうだろう!我は凄いのだ!グハハハ!』


 着地してきたアイラに褒められ、大きく笑い声をあげるファル。二人はハイエストフロッグを倒したことで一気にレベルが上がったため、高揚感からテンションが高めなのだった。


 そんな2人に、魚人型の生命を相手していたミアスが近寄ってくる。


「見てたぞ二人とも!凄かったな!」


 ミアスもまた、テンションが高かった。戦闘でレベルが上がったこともあるものの、ミアスは純粋に家族の成長を喜んでいたのだ。


 ミアスに頭を撫でられ、嬉しそうにするアイラ。そして、アイラを誉めつつミアスと自身の成長を話すファル。


 種族は違えど、そこには家族ともいえる繋がりがあった。


 パチパチパチ。その家族の団欒に、拍手の音が響く。


「素晴らしい戦いだったぞ。ミアス」


「素晴らしい戦いをしたのは俺じゃなくてファルとアイラだ」


「うむ、そうだな。高威力のブレスに高い身体能力と格闘技術。ヒューマンならば即刻我が国の軍にスカウトしているな!」


 ミズキは、素直にファルとアイラの戦闘を評価する。ヒューマンならば、という発言も嫌味や思想の押しつけではなく、純粋な褒め言葉として送ったものだろう。


「……にしても、そいつの素材はどうするのだ?」


 ミズキは、ハイエストフロッグの死体を見上げた。


「あー、本当はいい素材になりそうだし全部()()()()()()()ところだけど、この大きさじゃ無理だ」


「ふむ。そうか、ならば私が買い取ってもいいか?」


 ミアスの言葉に、何処か確信を得たような表情をしつつ、ミズキはハイエストフロッグの素材を買い取ると言い出す。


「え、どうやってだ?」


「空間魔法だ。このようにな」


 ミズキが魔法を使うと、何も無い空間から剣が出てくる。


「なんだそれ?!便利だな……」


「ふふふ、そうだろう!ギリギリだが、この死体を収納出来るスペースはある。代価は……これくらいでどうだ?」


「な、払いすぎです!姫!」


 ミズキが空間魔法で取りだした袋を見て、ミズキに従う男が止めに入る。


「この素材なら妥当だ。どうだ?ミアス」


 ハイエストフロッグの価値からすれば、袋の中に入った金の量で適正なのか、袋の口を少し開けて中に入った金貨をミアスに見せつつ交渉を続ける。


 だが、ミアスは金になんの興味もなかった。なんといっても使い道がないのだ。フォリア王国には入れないだろうし、獣王国で使えるとも思えない。


「いや、金はいい。素材も持ってっていいぞ」


「なに?それでは対価はいらんということか?」


 ミアスの返しに、ミズキは少し不快な声色で返す。


 王族であるからなのか、それともプライドからなのか、ミアスたちの力で倒した物を、何の対価も払わずに貰う気はミズキにはない。


 だが、ミアスはすでに対価を貰っていた。


「対価は貰ってる。……ほらな?」


 そう言うと、ミアスの顔に近くに魔法で作られた穴のようなものが生まれる。


「なっ! 空間魔法だと?!」


「まさか、今()()覚えたというのか……?」


 ミアスが対価と言って手に入れたものは空間魔法だった。《解析》スキルを使用し、なんとか再現したのだった。


 だがこれは、先の戦闘で魚人から《水属性魔法》を入手していたため、魔法への造詣が深まった事で、ようやく出来たことだった。


 しかし、それでもミズキ達にとっては今日一番の驚きを与えていた。


 魔法スキルの獲得、それは簡単なことではない。まず、自分に向いた属性でなければ行けないということと、それは実際に訓練を積んでみなければ分からない。


 そのため、魔法スキルを獲得するには、努力と才能と、そして運が必要とされている。


「馬鹿な! そんな簡単に獲得出来るものでは……!」


 男たちは化け物でも見るような目でミアスを見ている。


 だが、ミズキは目を爛々と輝かせ、人生最大の獲物でも見つけたような視線をミアスに向けている。


「素晴らしい……! 素晴らしいなミアス! いいぞ、素材の対価は空間魔法でいい」


「わかった。便利な魔法をありがとな!」


「くっ……」


 ミアスの純粋な感謝の言葉に、男たちは呻き声をあげミズキはさらに笑みを深める。


 ミアスは気づいていなかった。


 今回の魔境探索で、最もフォリア王国への危険性を示したのは、ハイエストフロッグを殴り倒す膂力を持つアイラでも、城壁を簡単に崩すようなブレスを吐くファルでもない。


 ミアスこそが、最も危険な存在だと、フォリア王国、()()ことフォリア=アルシア=ミズキに示してしまったことに。

お読みいただきありがとうございました!


空間属性魔法を手に入れましたね。これからもミアスの成長は止まりません。お楽しみに!


よければ感想やブックマーク、評価を残していただけると作者もいつも読んでくださる方を知れるので、よければ足跡代わりに残してってください!

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― 新着の感想 ―
[良い点] おめでとう。 [気になる点] ミアスは彼の前世と将来の神の両方のすべての記憶を覚えていますか? [一言] 私はミアスと彼の家族の成長を見たいと思っています。 ミアスには各種族のヒロイ…
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