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フォリア王国、からの騎士団。

お楽しみ頂けましたか?


少しずつ、ポイントが伸び始めています!とても嬉しいです、ありがとうございます。


もし宜しければ、感想やブックマーク、評価をいただけると嬉しいです!

「フォリア王国から税の取り立て、か」


 宴から1週間ほど経ち、進化したことによる体の変化にも慣れた頃、ミアスはジャゴラから一枚の羊皮紙を受け取っていた。


 当然、開拓村の技術で生み出されたものではなく、この村が発足した時に、ジャゴラが国から渡されたものだ。


 内容は2年間の税の免除というものであり、その2年というのは去年で終わっていた。


 そのため、近々フォリア王国から税の取り立てが来るらしい。


「……んー、確かフォリア王国は他種族に対して排他的なんだよな?それなのにこの村の現状を見たら怒るどころか気を失いそうだな」


 ヒューマン、ゴブリン、オーク、竜、複数の種族が共存しているため、フォリア王国から良い印象をもらえるとは考えずらい。


「そもそも、税って何収めるんだ?金?」


「いえ、開拓村は基本食料ですな。なので税自体は問題では無いのですが……」


 そこでジャゴラは言い淀む。そしてどこかバツが悪そうにミアスから目を離す。


「どうした?」


 ミアスがその様子を見て、先を促すと、ジャゴラは意を決したように机を叩き立ち上がった。


「私たちの主はミアス様のみなのです!私たちを捨てるように開拓村に追いやった王国に与える物など何一つないというのが村人の総意なのです!」


 鼻息に効果音が着くんじゃないかというほど興奮するジャゴラに、ミアスは少し引き気味に対応する。


「そうはいってもなぁ……払わなきゃ今度は王国から攻撃されるかもしれないだろ?そうなるとフォリア王国と獣王国、両方を相手に……」


 両方を相手にしなきゃいけない。そう言いかけたところでミアスの口が止まる。


 ふたつの国に挟まれるように、この村は位置している。


 そんな位置にある中で、両国を相手にすればあっという間に滅びてしまう……そう最初は考えた。


 だが、それぞれの国の立場になって考えてみれば、すぐに村が滅ぶということは無いかもしれない。


「ブーデン、獣王国には余裕が無いんだよな?」


「そうだなぁ。フォリア王国との戦争に軍備を割いてるはずだぜ?」


 そう答えるうちに、なんとなくミアスの言わんとしてる事が見えてきたのか、ブーデンはそのまま言葉を続ける。


「……それに、この村は謎だらけだ。常に監察してりゃあその異様さから警戒されるだろうし、監視の目が無かったとしてもただの開拓村だと思われることはねぇな」


「って考えると、獣王国はそんな得体の知れない村を攻めたりしないよな?」


「こっちから攻めねぇ限りはな」


 獣王国からすれば、フォリア王国との前線は他にいくらでもあり、わざわざこの村を攻めて基地に変える必要は無い。


「……フォリア王国もそれは同じだよな?」


「そうですな、わざわざこの村を攻める必要は無いと思いますが……まだフォリア王国はこの村を普通の開拓村だと思ってるのでは?」


「そうだな。だから今回税の取り立てに来た時、この村のことを知ってもらうのさ。そして俺たちは獣王国にも、フォリア王国にも与することはない立場をねらう」


 どちらの国にとっても、手出ししずらい存在としての立場を狙う。


 ミアスの家族を見ればその異様さは伝わるだろうし、そもそもこの村を攻めたとしても、その先には互いに敵国がある。


 ふたつの国に挟まれたという状況こそが、村を攻めずらくする理由となっているのだ。


「そ、それでは!この村は独立するということですな?!ミアス様の元で!」


「お、おお。そういう事だな。俺も別に誰かの下につきたいとは思わないし」


 そのミアスの発言を聞いて、ジャゴラは全身で喜びを表現しながら村人へと伝えるべく、会議室を飛び出ていった。


「……あれ、待てよ?俺の元で独立ってことは……俺が長だってはっきり決まっちゃった?もしかして、仕事増える?」


 ジャゴラに言った言葉を反芻すると、ミアスは自身の仕事が増える可能性に気づく。


 そんなミアスの肩に手を乗せて、ニヤニヤした顔でブーデンが声をかける。


「頑張れよ、ミ、ア、ス。応援してるぜ!俺は戦闘専門だからよ!」


「ミアス、頑張れ」


 仕事を押し付けられることを警戒したのか、我先にと会議室から出ていくブーデンとアイラ。


「……やっちまった」


 ミアスの後悔の声が、広い会議室に虚しく響いた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ミアス達の村に向けて歩く集団がいた。


 全員がヒューマンで構成された50人ほどの集団。鎧を来て、騎乗しているものもいれば、冒険者らしき格好で周囲を警戒するものもいる。


 税の取り立てには少々物騒ではあるものの、獣王国との戦争状態である今、前線に近い開拓村へ行くのには十分な警戒が必要だった。


「……あのぉ、隊長さん?」


 そんな集団の中、冒険者のような身なりの男が崩れた敬語で騎乗した騎士に話しかける。


「なんだ?」


「依頼を受けといてなんですがねぇ、開拓村に税として払えるものなんてあるんですかい?他の開拓村からは小遣いにもならない程度のものしか取り立てられなかったんでしょう?」


 冒険者の崩れた敬語に不快感を示しながらも、隊長と呼ばれた男は冒険者の質問に答える。


「……なくとも搾り取るのだ。どうせ開拓村は此度の戦争で滅ぶ。ならば少しでも搾り取るべきだろう?金も、食料も、あとは……わかるな?」


 そういって隊長は笑顔をうかべる。


 冒険者も、それで隊長の言いたいことを理解したのか、上機嫌で仲間の元へと戻っていく。


「ふん、冒険者というのは……所詮は平民か。おい、お前らも羽目を外しすぎるなよ?腰が抜けて歩けなくなっては笑いものだぞ?」


 隊長が騎士達に声をかけると、笑い声と気の抜けた返事が返ってくる。


「まったく……だが、税の取り立てなどという役割を押し付けられた腹いせだ。私も存分に楽しむとしよう」


 隊の士気の低さを嘆きつつも、つまらない役割を押し付けられたため、しょうがないと考え、隊長もこれから待っているであろう開拓村での()()()を想像し、鼻息を荒くする。


 これから彼らを待っているのは、そんな楽園ではなく、彼らにとっては地獄とも言える所だとは微塵も考えずに。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「私はフォリア王国第三騎士団所属のものだ!税の取り立てに来た。村長はいるか?」


 ぞろぞろと多くのヒューマンを連れ、隊長は村へと声を張り上げる。だが、不思議と誰一人としてその声に現れるものはいない。


 しばらくすると、大柄の男が一人現れた。


「な、なんだお前は?」


「私はこの村の村長、ジャゴラです。税の取り立てと申しましたね?ですが、私たちに払うものはありません」


 取り付く島もなく、ジャゴラは税の取り立てを拒否する。


 あまりのスムーズな拒否に、隊長は驚き言葉が直ぐに出ない。


「な、な、何を言っているのだ?!反逆ととられてもいいというのか!」


「はい、私たちは主を見つけたのです。なぁ、みんな?」


 ジャゴラが村へと振り返り、声をかけると、ぞろぞろと村人達が出てくる。だが、村人はヒューマンだけではない。ゴブリンやオークが混ざっていた。


「ゴブリン?!それにオーク?!貴様ら……禁忌を犯したな!」


 ゴブリンやオークといった存在を容認できないフォリア王国の騎士達は、すぐさま剣を抜き戦闘態勢をとる。それに合わせて冒険者達も剣を抜き、村人達へと武器を向ける。


 だが、村人達に動揺はない。


「どれを残しますかな?ミアス様」


 ジャゴラが声をかけた先、騎士たちを挟むように現れたミアスはファルとアイラ、ブーデンを連れていた。


 普段から危険と隣合わせの冒険者は、ミアス達の異様な雰囲気を感じ取り、騎士達はファルの迫力に思わず後ずさりする。


「んー、そうだな。戦ってからでもいいが、聞くとしよう。降伏したいやつは?」


「ふざけるなぁ!我ら騎士が降伏などするわけなかろう!かかれぇ!」


 ミアスの提案を跳ね除け、隊長はミアスへと武器を構えて切りかかろうとする。


「あー、やっぱだめか。じゃあこれならどうだ?」


「ひぐっ?!」


 ミアスは方法を変え、全身から強烈な殺気を混ぜた魔力を放出する。その魔力に当てられ、馬は本能的な恐怖から暴れだし、騎士達も心臓をわしずかみにされたかのようにその場で蹲る。


「もう一度聞くぞ?降伏するか?」


 降伏しなければ、自身たちに待っているのは()のみだとはっきり分かるほどの殺意。


「こ、こうふーー」


「降伏などするかぁ!おみゃいらは!悪しき存在なのだァ!うおおおお!」


 冒険者の声をさえぎり、隊長と呼ばれた騎士が声を震わせながらミアスにきりかかる。


「遅い」


「なにぃ?!」


 だが、ミアスは剣を素手で受け止める。


「し、真剣だぞっ?!なぜ斬れん!」


「斬れ味悪い。あとお前の技量が悪い。スキルレベル2とかだろ?そんなんで俺を斬れるわけない」


 スキルレベルを言い当てられた騎士の表情は、憤怒と絶望に染る。だが戦意はきらさず、またも剣を構えた。


「クソぉぉぉ!《燕返し》!」


「お、武技か!」


 騎士が放った武技は、ミアスが出したヌアザの剣にいとも簡単に受け止められる。


 斬撃が返って来るように二度放たれる武技、《燕返し》。技量が近ければ有効な一撃になったのかもしれないが、ミアスと騎士にはその程度では絶対に埋ることの無い大きな壁がある。


「こうか?《燕返し》」


 そして、その壁の厚みを教えるように、ミアスはすぐさま武技を再現して騎士の首を飛ばす。


「うん、なかなかだな。最後に聞くぞ?降伏するか?」


「「「降伏します!」」」


 自身の隊長と、ミアスの間にある圧倒的な強さの壁を感じ取った冒険者と騎士達は、完全に心を居られ、武器を捨て土下座する。


「一件落着、だな!」

今作品も、少しずつ文字数が伸びてきました!これからも毎日投稿を続けていきたいと思います!


皆さんは、今作品で好きなキャラや技、設定はありますか?ぜひ感想でお聞かせください!


小説家になろう勝手にランキングの下部リンクを踏んでいただけると嬉しいです!

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