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宴、からのダグザの大釜。

今話はお楽しみいただけましたか?


少しずつ、ポイントが伸び始めています!とても嬉しいです、ありがとうございます。


もし宜しければ、感想やブックマーク、評価をいただけると嬉しいです!

「それじゃあ、戦勝と、俺の進化を祝いまして!乾杯!」


「「「「乾杯!」」」」


 ミアスの乾杯の音頭と共に、村人達が一斉に飛び上がり戦いの勝利と、ミアスの進化を祝う。


 村人達は、ちょっとした祝い事であっても大袈裟な宴を開く。


 それはいつ死ぬとも分からない開拓村の文化であり、いつ死んでも悔いがないよう、精一杯楽しもうという考えからきている。


 たが、今回の宴は村人達にとっても全く新しいものだった。


 料理は、今までと比べ物にならないほどおいしく、なんといっても巨大な森喰竜の肉がメインとして提供されているのだ。


 ダタラ達の演奏でただのバカ騒ぎから、陽気な打楽器のリズムに合わせて踊り出す村人も現れる。


 ミアスが思い描く宴、まだ要望はあるものの、かなり再現されていた。


「……うっま!なんだこれ美味すぎだろ?!」


 そんなミアスは、森喰竜の部位の中でも、最も美味である心臓付近の魔核をとりかこむ肉を食べていた。


 魔核というのは魔力を生み出す機関であり、その周りの肉は濃厚な魔力を常に受けているため、魔力が染み込んだ上質の肉となる。


 しかも、森喰竜は草食に近いため、肉に臭みはなく、柔らかい。


 そんな肉を食べて、ミアスはこの世界に生まれてから最大の食の喜びを感じていた。


「美味すぎる!なぁファル!」


『うむ、これは美味だ。この木の実から作られたソースがよく合う』


「そうかぁ?俺は塩まぶして焼いたのがいちばん美味いと思うぜ!」


「ブーデン、馬鹿舌」


「あぁ?!なんだとアイラ!」


 ミアスの家族とブーデンは、少々騒がしくしながらも、なんだかんだ楽しそうに仲良く食事をする。


 ブーデンは喧嘩腰なものの、それは元の性格によるものであるため本気で怒っている訳では無い。アイラも、別にブーデンが嫌いな訳ではなく、なんとなくいじると面白いという理由でやっているだけで、本人は楽しんでいる。


「いやー、本当に美味いな。魔力が溢れてくる感じだ……ていうか本当に溢れてないか?」


 ミアスは森喰竜の肉を食べながら、なぜか魔力量がほんの少し上昇している事に気づく、


「あぁ、高ランクの生命を食べるとたまに成長したりすんだよ、レベル上がってんじゃねぇか?」


 ミアスの呟きを聞いていたブーデンの声で、ミアスはステータスを確認する。


「ん!本当だ。レベルが3上がってる」


「だろ?俺は昔食べたことあるから上がんねぇけど、ファルとアイラも上がってんじゃねぇか?」


『……上がっているな。しかも10近く。竜だから相性が良かったのか?』


「さぁ?俺はオークの事しかわかんねぇよ」


 ファルもアイラもレベルが上がっているものの、その上がり幅には差があるようだった。


「相性があるんだな。にしても、食事でレベルが上がるんだったらスキルとかも手に入りそうだよな!」


 ミアスは食事の手を止めることなく、そんな冗談を言った。


「まさかだろ、そんな簡単に手に入っちゃあ困ーー」


『む、スキルを入手したぞ』


「はぁ?!」


 そんなことがあるはずがないと否定したそばから、ファルがスキルを入手する。


『土属性魔法というスキルを手に入れた』


「まじかよ……ミアスもだが、お前らは成長力がおかしい」


 ブーデンは、ミアス達家族の成長速度に戦慄する。


 といっても、ブーデンもミアスの配下になり、魂の繋がりができたことで以前よりも強くなっているのだが、比べる対象が揃いも揃って成長速度が異常なためあまり気づいていなかった。


「……やっぱ相性なのか?よし。村人の中にもスキルを入手したヤツがいるかもしれない。探すぞ!」


 そうしてミアスはジャゴラの元へと走っていく。


 道中、打楽器のリズムで踊る村人に捕まり、一緒になって踊りを始めるミアス。


 そうして、宴は夜が明けるまで続いていった。






 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






「ふざけるなぁ!」


 獣王国、その王宮の中で長年獣王国の中で権力を持つ宰相が、有り余る力で机を粉々に打ち砕く。


 周りには誰もいない。だがそれは、見えないのであって、魔法で姿を隠した兵が何人も宰相の周りを囲んでいる。


「どうして開拓村ごときに負ける?!しかもブーデンまで帰ってこないとは!」


 彼は、開拓村に戦力を送りそこを前哨基地にするという計画を獣王に提案した張本人だった。


 だが、ミアス達の出現によって計画は失敗続き、おまけに隠し子として生んだ子供たちを、本人達も知らないまま政治や軍の中枢部に潜り込ませるという作戦もあまりうまくはいっていなかった。


 ブーデンも、本人は知らないが宰相の隠し子であり、この作戦で功績をあげれば軍の中でも多少の権力を持った地位につけるところだった。


「くそ……基地を作れなかった事は問題ではない。このままでは獣王国が王国に()()()()()()


 獣王国の宰相とは思えない発言をしながら、宰相はふらふらと部屋の壁に手をつく。


 宰相が魔力を流すと、壁に埋め込まれた魔道具が反応し、獣王ですら知らない秘密の部屋の扉が開く。


 そして宰相は、秘密の部屋へと姿を消していく。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 宴が終わった次の日、村は体力が尽きて倒れた村人で埋まっていた。


「……悲惨。みんなはしゃぎすぎ」


「まちがいねぇな。日が出るまで踊り続けるなんざ訓練でもやらねぇ」


 そんな村人立ちを見つめながら、元気に森喰竜の肉をつまみ続けるブーデンとアイラ。


 2人はあまり踊りには興味を示さず、ひたすら食べ続けていた。


『多少でも動ける者は我が運んでやる』


 ファルは、力尽きた村人達を家に返すため、一人一人に声をかけながら大きな背中で運搬をしていく。


 ミアスの家族の中で、最も村人を気にしているのはファルかもしれない。


 ミアスはというと、一人森喰竜の骨を見つめていた。既に巨体からとれる肉のほとんどは消費され、内蔵は薬やポーションの素材に、鱗や発熱機関はダタラ達が武技、防具の素材にするべくもちかえっている。


 そのため、骨だけが残っていた。


 本当は骨も素材にすると言われたのだが、ミアスがどうしてもと言って残したのだ。


「んー、こいつなら出来るかな?魂は……残ってない。うん、やってみるか!」


 そういってミアスは、『四種の神器』スキルを発動し、大釜を出す。


 そして骨を分解し、次々に大釜の中に入れていく。


「ふんふふんふふーんっと!」


 徹夜で踊り明かしたにも関わらず、元気なミアスは鼻歌を歌いながら作業を続けていく。


 最後に残った頭蓋骨を大釜にいれて、『炎王属性魔法』で火をくべる。


「……あとは」


 大釜の中身が煮たり始めたのを確認したところで、ミアスは自身の腕を軽く切りつけ血を注いでいく。


 すると、ミアスの血に反応するようにして大釜の中身が光だす。


 光は次第に弱くなっていき、大釜も少しずつ薄くなっていく。そして、大釜も光も消えたところで、一匹の小さな森喰竜がミアスを見つめていた。


『ギュオ?』


「おー!本当に生まれた!おーい、アイラ、ブーデン!生まれたぞ!」


 ミアスの声を聞き、アイラとブーデンは食べる手を止めてミアスの元に集まる。


「……本当に生まれた。大釜すごい」


「すげぇな。素材とミアスの血を溶かせば生命を生み出せるって聞いた時は何言ってんだと思ったが……本当にやるとはなぁ」


 ミアスの『四種の神器』の中のひとつ、ダグザの大釜の持つ力は、生命の再生ともいえるものだった。


 骨や肉などの素材と、ミアスの血を混ぜ込むことで素材に使った生命と同じ種族を生み出す。


 だが、素材の量が少なければ生み出す生命の再現率が低く、生まれた時の力も弱くなる。しかし、逆に言えば素材をそのまま使えば強さもそのままの分、敵意といった人格面も再現されてしまうという効果だった。


「骨しか使わなかったからランク3で弱めだけど、その分人格とかも生まれたてって感じだな。ほらほら、ミアスでちゅよー」


『……主、その言葉遣いは怖いぞ』


 赤ちゃん言葉で森喰竜をあやすミアスのもとに、声をひきつらせたファルがやってくる。


 ファルのおかげで、村人の大多数が家に帰り、宴の後片付けも終わりが見えているらしい。そして仕事を終えたファルはミアスのもとに来たということだ。


 そんなファルを、森喰竜は憧れの目線で見つめていた。


『……む?』


「ギュイ!」


「なんかファルに懐いてるな。よし、ファル!お前が名付けろ!」


『なに?!なぜ我なのだ?主が生み出したのだから主がつけるべきだろう』


「んー、確かに俺の血をわけだけど、感覚的には出産を手伝ったみたいなもんだし。ファルやアイラみたいに魂から作り出したのとは違うんだよなー。ってことでファル、頼んだ!」


『む……まぁそういうことならば我が名付けよう』


「頼むよ。別に名付けを任せたからってこの子を放置する気は無いし、立派な仲間だ。大切に育てるさ」


 そういってミアスはファルにしがみついて背中に登ろうとする森喰竜を抱き上げ、希望通りファルの背中に登らせる。


『……よし、決めたぞ。お前の名はダースだ』


「キュイ!」


 ファルの名付けが気に入ったのか、ダースは背中の上でぴょんぴょん跳ねる。ファルはその様子を、まんざらでも様子で見ている。


 こうして、ミアスの仲間がまた一人増えたのだった。ただ、自身で別の種族の生命を、わずかな時間で生み出すという異次元の行いをすることによってだが。


 それが、どれほどこの世界で珍しいことなのか、彼は全く気づいていない。



種族:ニアノーブルオーク

ランク:5

名前:アイラ

レベル:63

パッシブスキル

『物理攻撃耐性Lv2』

『斬撃耐性Lv1』

アクティブスキル

『魔力操作Lv3』

『魔力感知Lv4』

『身体強化Lv5』

『格闘術Lv5』


エクストラスキル

『剛力Lv3』


ユニークスキル

『神々の祝福Lvー』



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


お読みいただきありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] あ、大釜って武器である大鎌の誤字じゃなくて、マジで調合とかする用の大釜だったのか。
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