森喰竜討伐、からの異変。
少し短めです。ポイントの伸びが止まりつつあります……!みなさん、ご協力お願いします!
ミアスの指示で、アイラ、ブーデン、オーク達、そして村人の中から何人か腕に自身のある人々が森の奥へと向かっている。
狙いは宴のメイン、森喰竜。
「ブーデン、本当にこっち?」
「あぁ?本当だよ、見ろ。そこに大きな足跡と根から落ちた植物があんだろ?」
ブーデンが指をさした方向には、確かに足跡と根から抜け落ちた植物が散乱していた。
「これは森喰竜が通った跡だ。あいつは森の植物を食い荒らしながら進むからこうなんだよ。にしても……こいつはデケェな」
「たしかにデカい。ブーデン、そういえば森喰竜のランクを聞いてなかった」
「ランク?あー、7だったかな」
7という数字を聞き、アイラは顔を顰め村人達は絶望的な表情をする。
「ランク7は荷が重い。俺もニアノーブルオークに進化したけど、ランクは5。勝てない」
ファル同様、アイラも新たな種族に進化したことで、強さを手に入れていた。だがランク7を相手にすることは荷が重い。
「あのな、ランクっていうのは目安であって強さを正確に表すものじゃねぇ。現にミアスはランク2だけど強えだろ?大丈夫だ、心配すんな。それよりもアイラ、その俺って言うの違和感がすげぇぞ?」
「これはミアスの真似。だから止めない」
ランクの差が絶対的な強さの差とは言えない。それはミアスを例にあげられればアイラもすんなりと納得出来た。
だが、ブーデンが気になったアイラの一人称を変えることは納得出来ないらしい。
「そうかよ……。お、この気配わかるか?」
アイラの反応に胡乱気な表情をしていたブーデンは、何か大きな気配を感じてアイラ達にも気配を感じている尋ねる。
今までのブーデンならば、そんなことは聞かずにすぐさま一人でとび出ていくのだが、ミアスの味方になって以来、村人やオーク達、アイラに戦闘技術を教える役割を担っていたため、自然とそんな質問ができるようになっていた。
「……ん、わかった。感じ取れる。これが森喰竜?」
「多分な。よし、いいか?作戦を確認するぞ。まず、アイラがおびきよせる。そして俺が足を止めたところを全員で囲んで倒せ。いいか、奴の体表はめちゃくちゃ硬ぇ。だから目とか弱った場所とか、あー、そこら辺は自分で考えて出来るか。じゃあ作戦開始、行くぞ!」
「「「応!」」」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アイラ達が森喰竜の討伐を行っている頃、ファルは村人達と食料の調達を行っていた。
そこでのファルの役割は主に護衛、それと大量の食料の運送係だった。
『……さすがに重いわ!我とて動けん!』
だが、いくら巨体のファルとはいえ村人全員で食べても何日か食い繋げるような量の食料を運ぶのは無理だった。
ファルの背中には大量の食料でいっぱいになった籠と、なぜかファルの背中に乗って移動しようとしている村人が乗っている。
『そもそもなぜ乗っている!』
「……ちょっと楽したくて」
『正直だな!だが許さん!降りろ!』
正直に理由を告げる村人の服を甘噛みすることで器用に背中から下ろしていく。
村人達は若干名残惜しそうにしているものの、さすがにやりすぎたと感じているのかファルの背中に載せた籠から自分たちが持てる分の食料を持って、村へと帰る。
ファルもまた、この十日間のほどの間で、良い意味でも悪い意味でも村人達との関係を深めているのであった。
だが、そんなファルは自身の主が今何をしているのかを思い浮かべる。
『主め……指示の中に自分が何をするか言っていなかった。さては……さぼっているな?』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふわぁ。眠いな」
ファルの予想通り、ミアスはサボっていた。
新しい宴の形を提案し、みんなに指示を出すところまでは、みんなの代表、長としての役割は果たした。
だが、自分は一人、自宅の屋根の上で暖かな陽の光を浴びながら、のんびりとした時間をすごしていた。
ただ、そんな彼も本当に何もしていない訳ではなく、次の進化先について悩んでいた。
「……進化先がなぁ。どれにすればいいんだか」
ファルやアイラが進化した時、ミアスも同じように進化しようと考えた。だがその候補がどれもミアスにしっくりくるものではなく、彼は悩んでいた。
進化の意思を示すと、頭の中に進化先候補が浮かんでくる。
《進化先》
原初の生命(獣竜) ランク2
リザードマン ランク3
ハイドレイク ランク4
オークジェネラル ランク5
ヒューマン ランク3
ダーナ ランク3
「んー、やっぱり悩ましいな」
原初の生命は前回と変わらず表示されている。括弧内の獣竜というのが変わらないのは、ミアスは魂を取り込むようなことをしていないからだと考えていた。
次にリザードマン。これも前回と変わらない。
ハイドレイクというのは前回の進化の時に表示されていたドレイクから進化したものだろうし、オークジェネラルというのもブーデンの話からするとオークの上位種であるということが分かった。
ヒューマンは今の種族ニアヒューマン(竜)から、更に人型への進化が考えられる。
わからないのは新しく表示されたダーナという種族。村人達はもちろんのこと、ブーデンでさえも聞いたことがない種族だという。
だが、その事をブーデンに聞いた時、この世界で新たな種族やスキルが見つかることはなんら珍しいことではないという事も伝えられたため、ミアスはこのダーナという種族を新しいものだと考えていた。
「んー、人型からあんまり離れたくないし、上3つはないな。オークジェネラルとヒューマンも知ってる種族だから微妙だしなぁ。やっぱりダーナか?」
どんな種族かはわからないが、なんとなくダーナという種族が気になっているミアス。
「だけどなぁ、ブーデンの話じゃあ進化先の候補は知識とかスキルとかで変化するらしいし、新しいのが出てくるまで待ってもいいんだよな……って、何だ?」
進化先を悩んでいると、ミアスは自信の内側、魂に違和感を覚える。
「なんだこの感覚……んぐ?!」
そして魂の一部が、跳ねるように暴れ始めるような感覚とともに、思考が制限されていく。
ーーますか。
「なんだ?!」
ーーたしは。ーーーす。
「くそっ……?!」
頭に響く謎の声と共に、思考が塗りつぶされ、魂が乗っ取られていくような感覚を覚える。
だが、強烈な生存本能と、ミアスの魂本体の影響で様々なスキルが発動する。
《『神々の祝福Lvー』が発動。堕ちた神の魂を分離……失敗。》
《『神々の呪いLvーが発動。堕ちた神の魂を統合……失敗。』》
《『混沌Lvー』、『邪神Lvー』が発動。堕ちた神の魂を再構築、吸収……成功。》
「……だはっ?!なんだったんだ?」
そしてようやく、魂が元の形に近づき、思考もミアスの制御下に戻る。
だが、突然の自体を把握する前に、一瞬でもミアスの手元を離れた思考が、世界のシステムに進化の意志を示してしまう。
そのため、ミアスの身体に変化が起きた。
《進化の意志を確認。種族、ダーナへの進化を始めます。》
「へ?いやいや、確認してないって!」
すぐさまミアスは否定する。だが、そんなミアスの願いは叶わず、新たな種族への進化が始まるのだった。
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