執事、豚と決闘します。
その言葉で会場がざわつきはじめました。表舞台に出てきた神聖国の皇子が執事をしていることなど誰も知らないからである。
「ご存知だったのですか?兄上。」
人混みから弟と皇帝が現れました。
ちよっと待ってください。ご存知だった?とは。
「予言だな。」 「予言……。」
「セバスちゃんの予知能力怖い。」
「セバス!お前いつの間に気付いていたんだ!!でもあれだぞ。リーゼロッテが嫌だったら台無しになっていたぞ!」
え!?
「そのー折を見て発表しようかと思ったんだがな…知られてしまっては仕方がない。スカーレット公爵家令嬢リーゼロッテ・B・スカーレットとシンセシス神聖国継承権第一位セバス・ホーエンハイム改めハイル・バース・シンセシスの婚約を機にアルカディア連合首長国と神聖国の友好条約を結ぶことになった。またこの2人が嫌だったとき、婚約は破棄し、条約を結ぶことになっていた。」
はぁ!?
はぁぁあ!?
はぁぁぁぁぁぁぁあ!?
会場全体がどよめいた。もちろん私も。
「な、なんでセバスが驚いているのよ。」
「いや…お嬢様の縁談を潰そうと嘘を言ったつもりでしたが、まさか本当になるとは。」
「というか、貴方の能力に予知能力あったはずよね?
「ありますが…その能力は使ってはいないはずです。」
こそこそ話していましたが、旦那様にいちゃいちゃするなと叱られてしまいました。解せぬ。
「というわけで、兄上も着替えましょう。皇子姿の兄上をリゼさんもみたいでしょう?」
「はい。かっこよかったのでもう一度みたいですね。」
「着替えてまいります。40秒で支度いたします。」
着替えに行くついでに第二王子をちらっと見たら呆けておりました。哀れなり。
皇子服に着替え戻ってくると、第二王子が唾を撒き散らしながら喚いておりました。
「こんな恥をかいたのは初めてだ。貴様に決闘を申し込む。」
恥ってその肉体で初めてとかないでしょうに。
それよりも決闘ですか。
「ほう。お前ごときに俺を…正気か?」
「あ…あれは何か企んでる。」
「セバス〜殺しちゃダメよ。あれでも王子なんだから。」
「兄上の戦っているところ見たいです。」
「王様。あれとめなくてもいいの?死んじゃうよ?」
「いい!何度言っても聞かんやつだから、死の淵まで追いやってやれ!」
皆さんとめないんですね。それと駄王もなんやかんやで楽しそうですね。
「馬鹿にしやがって!!殺してやる!!」
メタボ王子は汗と唾を撒き散らしながら私にそう言ってきました。ほう。殺す…いいですね。
「正直面倒だがやってやるよ。精々足掻けよ?そんでないとたのしめないからな。それと殺すと口にしたからには覚悟を決めろよ?殺していいのは殺される覚悟のあるやつだけだ。覚えておけ。」
「あーあ。俺しらねぜどうなっても。」
「彼に殺すって言っちゃったな。まぁいいか息子でも屑だし豚だし、調教してもらえるなら。」
さぁ訓練場に向かいましょうか。それとあの豚がニヤニヤしてる。気持ち悪い!!【心読】で卑怯なことを考えているので、その思惑ごとやってしまいしょうか。