お嬢様、個人戦に出ます。
本日は学年の個人戦です。闘技場にやってきましたが出場しない生徒もいるため満席です。なので闘技場の壁に座りながら私とレン様は観覧します。予選は各ブロックに分かれて潰し合いをします。勇者、カケル様、お嬢様は違う組み合わせになりました。
貴族の方々は自分の優秀さを見せるためにアピールするらしいです。勇者とカケル様は自分の腕試しというわけです。
お嬢様のブロックになりました。お嬢様はちまちましたことが嫌いなので、飛ばされた途端に魔力探知で相手を索敵し、弌ノ型【雷業一閃】と拾ノ型【雷騰雲奔】の技を繰り出して一瞬にして殲滅しました。
お嬢様以外には興味がないので出番まで本を読みましょうか。適当に屋敷から拝借したのですが、【禁断の愛】とよばれる本ですね。大貴族の男性と平民の男が愛し合うゲテモノですね。誰がこれを仕入れたのでしょうか。
「おーいセバスチャン。準決勝だよ。」
「え?いつの間に…お嬢様の活躍が。」
「そう言うと思ってお嬢様の所だけ撮影したぞ。」
「ありがとうございます。」
意外にもこの本が面白かったです。男同士もどうかと思いましたが案外侮らないですね。身分の差、更に同性に恋してしまった葛藤…なかなか深いですね。作者は誰でしょう。…いえ見なかったことにしましょ。メイド長が著作というのは間違っております。
取り敢えず準決勝を見ましょうか。相手は勇者のようですね。
開始直後、雷業一閃にて斬りますが勇者の編み出した星炎剣術弌ノ型【星河逸天】が衝突した。互いに弾かれたが、お嬢様が弍ノ型【雷轟電撃】を繰り出しました。六撃の波状攻撃を勇者に出しますが、聖なる障壁に守られた為無傷でした。一瞬の隙を見せたお嬢様に勇者は四ノ型【流星光底】を出しました。お嬢様の頭上に流星のように流れる斬撃が襲いかかりました。しかしお嬢様は蕾光を発動して高速移動して斬撃を避けました。お嬢様は勇者の行動パターンを予測して次の行動に移しました。勇者を撹乱するために不規則に移動しながら隙を伺いますが、勇者は中級殲滅魔法【流星雨】を繰り出しました。凄まじい範囲攻撃で動きを制限して次の技を繰り出した。伍ノ型【披星戴月】と呼ばれる薙ぎ払いによる攻撃がお嬢様に迫ります。お嬢様の中で何かが弾けたように思えました。動きが尋常ではありませんでした。さらに瞳の形が変化しているのに気づきました。何かと思っていた時、勝敗は決しました。勝者はお嬢様でした。
意識を失いかけ倒れかけたお嬢様を勇者は抱えて戻って参りました。