俺、故郷への歓迎を受ける。
「大丈夫ですよ。お嬢様だけは守りますから。」
「ほんとうに?」
「えぇ。私は行きますけど、お二人はどうしますか?」
「お前、いくら何でも知ったからには生徒に行ってこいって言えねぇだろ。」
「先生も行くなら、俺もいくぞ。」
「では、行ってまいります。」
「娘に怪我をさせるなよ。」
旦那様に見送られ、空間を切り裂いて【霧惑の森】最深部に入りました。
ここは魔力量が莫大に多いため、3人とクロウが入った瞬間に気絶してしまいました。
魔法が使えない原因の一つとして魔力濃度が高いために引き起こる現象です。
私はその濃度に合わせているので魔法が使用できるということと、常時発動している【選択下魔法】にて周りの魔力を一定に選択しているためです。
ここの魔力を浴び続けた結果、封じ込まれていた魔力が目覚め、ほぼ無限の魔力になってしまいました。
気絶して御三方も生きていれば魔力が飛躍的に上がることでしょう。
俺は整った髪をぐしゃぐしゃにして、着ている服を着崩し、タバコを吸い始める。執事業はしばらく休みだな。
「おい、クロウは巨大化して男を乗せろ。」
《口調…まぁいいにゃ。了解にゃ。》
《お嬢は?どうすんの?》
「あぁ?俺が運ぶに決まってんだろ?」
《お前、キャラ違くないか?》
トールがそう言うが無視して、リーゼロッテを抱え昔の寝床に走って移動した。
よく見ると地形も大分変わっていた。10年も来ていなければそうなるか。王がいなくなったから暴れ回ったのだろう。
巨大な大木にたどり着いた。天に届くほど伸びる大木、そのウロで俺は寝ていた。大型種よりも聳え立つ枝まで飛びながら上へといきウロに入る。
この木は、世界樹とよばれる神聖な大木だという。濃度が高いのはこれが原因だとさ。
お嬢を寝床に置くと大木の周りに大型種の反応があり集まって来ていた。
《マスター!みんなが会いたいってさぁ!》
ウロから数キロ飛び降りて着地すると獰猛な魔物があちらこちらにいた。最強はやはりドラゴンだろう。
「よう。王が来たぜ。里帰りにな。」
ドラゴンたちはブレスで歓迎してきた。普通なら防ぎきれないのだが、空気と重力を選択してブレスを掻き消した。
ブレスを防いだ後、ドラゴンたちは、頭を俺に下げ服従の意を示した。
《この森を出て弱くなっていないか心配していたが、より凶悪になっているな。我らが王よ。人間を連れて来たのはどういった事だ?》
まぁ普通はそうだよな。考えてみればありえないことだ。関係ないけどな。