執事、依頼から戻ってきました。
取り敢えず邪魔が居なくなりました。くるりと令嬢たちに振り返り満面の笑みで近づきました。ルダイ様は自分の生徒だと言うのに止める気はない様です。
「大丈夫ですよ。手荒な真似はいたしません。」
(顔の血痕がなければなんでもなかったんだかな)
「スカーレット公爵家の執事たるもの、催眠を掛けるなど容易にできます。」
「他の使用人に変な疑いをしないでくれます?」
「さぁ私の瞳を見てください。」
セバスは腰を下ろし令嬢たちに瞳を見せる。瞳は形を変えて六芒星となり幻術を掛けた。
令嬢たちは恐怖により脳が麻痺してさらに強力な催眠が掛かる。
「今日のことは忘れなさい。貴方たちは何も見てない。」
《ナニモミテナイ…ナニモミテナイ。》
虚ろな顔で涎を垂らし、洗脳は完了致しました。
吊るされているロープを切り離し、令嬢たちの破れた服装を縫い直して、寮の各部屋に強制的に転移させた。
「ふぅー無駄な体力を、使ってしまいました。ではお嬢様。依頼も達成したことですし、戻りましょうか。」
殺気を消して、一息入れお嬢様に振り向いてにこりとそう告げました。
「何も…言わないわよ?」
「だな。それと執事は顔の血を落とせ。笑顔が怖いから。」
「かしこまりました。少々失礼致します。」
近くにあった泉まで一瞬にして移動し、顔を洗い、戻ってきた。
「魔力は感じなかったけど。それは?」
「これはスカーレット公爵家使用人の必須スキル【瞬歩】でございます。」
「確かにメイド長もやっていたかもしれないわね。」
(あれが一般スキルだと?あれはSSSランクでも難しいはずだろ?習得してんのは序列1位と3位くらいだぞ。)
スカーレット公爵家使用人はこれを習得して、やっと一人前と呼ばれるのです。
そうしてギルドに戻り、お嬢様の依頼完了の旨を受付にて報告しております。