執事、ハッピーベアーに感謝されます。
警戒しながらも進むお嬢様。進むにつれ血の匂いが濃くなり、嗅覚が優れているため鼻を押さえて顔を顰めしまうお嬢様。
ルダイ様も顔を顰めますが、お嬢様を介抱しながら進んでいく。
そして少し開けた場所に出た瞬間、お嬢様方は目を疑うような光景がありました。
「え……。」
そこには、勇者の取り巻きである公爵家を筆頭に、手首を縛られて木に吊るされていました。傷はないようですが、服は際どい位置を切り裂かれていました。
そして大木に勇者が磔にされながら鼻血を出して気絶していました。血の匂いは勇者の鼻血という訳です。
巣があるのかハッピーベアーが困っているかのようにウロウロしていました。
お嬢様は正気に戻り、勇者たちを無視してハッピーベアーに近づいていきました。
「ねぇ貴方私に蜜を分けてくれるかしら?」
《がうわうわー!がるるるがう!》
※あれなんとかしてくれ!蜜はわけれやるから!
「……。」
身振り手振りでハッピーベアーはお嬢様に説明しております。
お嬢様は嫌な顔をしながら悩んでおります。
令嬢たちが『助けなさい』と喚いておりますが、ルダイ様は無視しております。私も気配を消して気づかれないようにしております。
「わかったわ。」
《ぐふるるかう!》
※感謝!
ハッピーベアーが、大変嬉しそうに頭を何度も下げて感謝しております。
というかこれ旦那様がやったことですよね?
「セバス…あれをやりなさい。気絶しても構わないから私は蜜をもらってくるから。」
お嬢様。絶対わたしに丸投げしましたね。
私は気絶している勇者に回復魔法を掛けてあげます。骨が軋む音や気持ち悪い音を立てながら傷を治していきます。勇者はひどい悲鳴を上げながら気絶してしまいました。
もうちょっとボキャブラリーを持って欲しかったです。