執事、お嬢様の初クエストに同行いたします。
お嬢様方はクエストボードに移動して依頼書を確認しております。Cランク一覧を見てみると、採取系や少しではあるが討伐系もあるようです。
「お嬢様。こちらはいかがでしょうか?」
私は一つの依頼書を取りお嬢様に見せます。
「えっと、ハッピーベアーの蜜の採取」
「良いんじゃないか?最初のクエストにしては。」
「ハッピーベアーは温厚ですからそうそう戦闘にはならないと思います。脅…お願いすれば譲って貰えるかもしれません。」
(今…脅すとか言いかけたような)
「これにするわ。でも場所がわからないです。」
「草丘の森はここから少し離れた場所にあります。」
「近くていいわね。」
お嬢様は方向音痴でありますからね。地理にめっぽう弱いです。お嬢様は依頼書を受付に持っていき、受注しこちらに戻ってきました。
「俺も着いていくかな。授業での参考になるかもしれねぇからな。」
「ではお嬢様。行きますよ。」
私は【無限】から空間転移魔法陣が刻まれたナイフを取り出して、ナイフに座標を入力して空間に突き刺しました。それを下に引き裂くと、空間の外は森が広がっておりました。
「では、私は着いていくだけなので、危険と判断した場合のみ手を出します。」
「当たり前です。それとそのナイフどうなっているの?」
「企業秘密です。」
私たちは繋げた草丘の森に入っていきました。ハッピーベアーがいるのは森の中腹付近ですね。
「良いところですね。」
木漏れ日が溢れる森となっているので気持ちが良いです。
時々小動物が横切っております。まぁ危険な魔物がいるにはいるのですが、そのためお嬢様は警戒をしているようです。
私も自然と気配を消していたようで、ルダイ様が一瞬攻撃してこようとしておりました。
「なぁそれやめてくんねぇか?反応するのが大変なんだわ。」
「無意識ですので申し訳ありません。なら気配を消しておきますが…」
「だめよ。」
「わかりました。ルダイ様諦めて下さい。」
「この甘い匂い…あっちです。それと微かに血の匂いがします。」
「そうですね。」
「わかった。注意する。」
お嬢様は並外れた嗅覚の持ち主です。方向音痴ですが匂いのする方へ行きました。獣道を外れて進みます。
お嬢様…微かな血の匂いが分かるとは私は感服いたしました。
何もなければいいのですが。