執事、キメラを手懐ける。
《くそ!ごめんな!あいつのせいで元に戻せなくて!哀れな魂に救済を!》
死神は悔しそうにキメラを見ています。自身の武器である死槍を構えてあります。
《ところでよぉマスター。肝心の勇者さまはキメラに蹴っ飛ばされて気絶してるぜぇ》
「はい?」
ドカスが差した方向を見ると壁に激突して瓦礫に埋もれて倒れている勇者の姿がありました。役に立ちませんね勇者のくせに。
「スカーレット!ここは危険だ!お前は生徒を非難誘導と共にお前の父親を呼べ!」
ルダイ様は真面目な顔になり両手剣を構えております。さすがは【夜叉】ですね。
「しかし…いえわかりました。でもセバスは置いておきます。」
私は執事なのでお嬢様からは離れられません。
《協力してもらうぞ。人間たちよ。》
すでに禁忌召喚をした不届き者の生徒はキメラにより噛み殺されています。
複数の血を流したことにより、頭部はカランライガー、胴体はレックスライオン、翼はドラゴンのような感でした。
全体的に猫ですね。救いましょう。
「その必要はありません。ここは私にお任せくださいお嬢様。」
「ちょ、セバス!」
お嬢様が慌てて呼び止めますが、私はキメラに近づいていきます。
安心してください。この猫にやられる程度なら執事などやっておりません。
私は少し殺気を放ち、
「私と戯れ合いますか猫!」
『ぐる!』
キメラは耳を隠し震えながら伏せ状態になりました。可愛いです。
「「はぁぁぁあああ!!!」」
「これでよろしいですか?お嬢様。」
お嬢様ににっこりと微笑んでお辞儀をしました。
「えっ、えっと…。」
「何を呆然としていらっしゃいますか。そんな暇はございません皆様方。」
キメラのみ殺気を5割程度当てた為、本能的に逆らうなと命令されているでしょう。
「それで死神様、如何いたしましょうか?」
《ぁあ!それなら魂の調整が出来るゆえ、暫くそのままでいてくれるか?》
「承知いたしました。」
魂の調整は死神の固有能力であります。
召喚者の魂を使ってキメラ化を解除してあるべき姿に戻す魔法なのです。
死神が魔法を唱えると3色の混じり合った光の球体は輝き出して淡い紫色の炎となり現れました。
そして炎がきえると大きかった図体は小さくなっていた。
「サイズダウンしましたね。」
虎とライオンの混合種であるライガーを思わせるようなキメラとなりました。
猫来ました。