私見:詩人の条件
幸福者に詩は書けないという
満たされているから
満たされていることが日常だからだ
足りないと思う者が
足りないと思う理由や
足りないと思う部分について
足りないと思う分だけ
ことばで補おうとするのだ
ことばに寄りかかり委ねるのだ
幸福者に詩は書けないという
幸せを表すのに
幸せ以外のことばは要らない
いま、幸せでない理由も
これから、幸せになるための課題も
むかし、幸せになった日の要素も
両手の指で足りないどころか
転がる石の数ほど挙げられるのに
詩を書きたい私は
満ち足りたくない私
そして
詩を書けない私は
満ち足りてない私
ことばを繋げない私は
自分で自分を満たせない私
私が一番嫌いな私