俺と彼女と朝ご飯
よろしくお願いいたします!
次の日ーー
目を開けると、見知らぬ天井が見える。
「どこだここ……ってそうだ俺、姫乃さんの家に住み始めたんだった。今何時だ?」
時計の針は既に八時を回っている。
「やばい、早く朝ごはんの準備しないと」
俺は急いで着替えキッチンへ向かった。
「おはよう橘君、昨夜は良く眠れた?」
そこにはエプロン姿の姫乃さんがいた。机には既に二人分の朝食が置いてある。と言っても焼いたトーストと玉子焼き。凄い組み合わせだ。
「ごめん寝すぎた、久しぶりのベットだったから」
「大丈夫、大丈夫。じゃあ、朝ごはんは今度から私が作るよ」
「いいの?でもそれって冷凍食品じゃ……」
「いいからコレを食べてみなさい!」
姫乃さんは自信げに玉子焼きを指すので俺は玉子焼きを一口食べた。
「えっ美味い!!何この玉子焼きって、姫乃さんって料理出来たの?」
「出来ないけど、玉子焼きだけは美味しく作れるんだよね。橘君に食べて貰いたくて作ったんだ」
彼女は、はにかんで笑った。
かわいいかよ……
でも、意外な特技を見つけたな。
毎日作ってれば他の料理にも興味が湧くかもしれない。
「ありがとう、これなら毎日食べたいぐらいだよ。これから俺の為に作ってくる?」
「あ、え、うん毎日作るよ!!」
彼女はすぐに後ろを向き料理道具の片付けを始めた。
何あれ姫乃さんから湯気が見えるんだけど。
なんか俺、へんな事言ったかな?
それにしても料理道具の片付けは出来るんだ……
朝食を二人で食べ終えた後ーー
「じゃあ今日は家全体を掃除します!」
「えーー」
「えー、じゃありません。じゃあまずは昨日の続きから」
「はい……」
それから、俺と姫乃さんは掃除を始めた。
それにしても、やっぱり段ボールの数が以上だ。
「何でこんなに段ボールが多いの?」
「それは、私の趣味がフリマサイトでの買い物する事だからだよ」
「なるほど、でもなんでフリマ?他のショッピングサイトじゃなくて?」
「甘いね橘君」
姫乃さんは何か言いたそうに、人差し指を振る。
「フリマサイトはね、人の愛が詰まってるんだよ!」
姫乃さんは自慢げに言い放ったが俺にはあまり伝わらなかった。
「どういう事でしょうか?」
「そういうことだけど?」
いや、わかんないよ。どういう意味なの!?って強くツッコミたい……でも、あんな純粋な眼差しで見つめられると無理だ。
俺は諦め、話題を変えた。
「へぇ、それはすごいねー。じゃあ次はどこを掃除しよっか?」
「橘君の部屋は?」
「残念、俺の部屋は凄く綺麗です!姫乃さんの部屋でも掃除しようかな」
「いや、無理無理無理。大丈夫、本当に大丈夫だから!」
姫乃さん全力で拒否されてしまった。
俺はふざけて言ったつもりだったんだが……
こんなに拒絶されるとなんか悲しい……
俺が少し落ち込んでいると姫乃さんのスマホが、鳴った。どうやら、メールが来たようだ。
「ねえ橘君、今からお姉ちゃん来るって!」
そう言うと姫乃さんはスマホのメール画面を見せる。
『芽衣今からそっちに行くからな。お姉ちゃんが、そのお手伝いさんって奴を見定めてやるよ』
まじか!?そう言えば、姫乃さんのお姉さんって重度のシスコンだった気がする。あんな隠し撮りも見つけたし……
「お姉さんに俺の存在ってどう伝えたの?」
「ん?お手伝いさんと一緒に暮らしてるって伝えたよ。そしたら、返信は帰って来なかったけどね。まあ大丈夫でしょ」
大丈夫じゃないよ、俺が!!
どうしよ男と暮らしてるなんて知られたら……
「どうしたの橘君、顔真っ青だよ?」
「だ、大丈夫だよ姫乃さん」
「あと、それと姫乃さんって呼ぶと、どっちか分からないから芽衣って呼んでね」
え……それはさらに、事態を危ない方向に進める気がするんだけど。
「うーーん」
「嫌なの?」
姫乃さんは悲しそうな顔している。
ここで流石に無理とは言えない……
「わかった芽衣さん」
「じゃあ、私も凪君って呼ぶね」
「う、うん」
お姉さんの前で二人とも名前呼び!かなり不安だ。
「あっ、お姉ちゃんそろそろ着くって」
「わ、わかった」
やばい、俺お姉さんに殺されるかも……
俺が不安と緊張で腹を痛めていると、家の甲高いチャイムが鳴り響いた。
ありがとうございます!
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