俺と彼女と夜ご飯
よろしくお願いします!
俺が姫乃さんのお手伝いさんって何すればいいんだろうか?
「ところで姫乃さん、お手伝いさんってどんな事すればいいの?家事全般って言っても、やっていい範囲があるでしょ?」
「そうだね。とりあえず、掃除と夜ご飯だけ作ってくれればいいかな?あとは追々決めていこうよ。でも、私も出来るだけ手伝うよ。出来るだけね」
最後の念押しに少し違和感を感じたが、俺は住まわせて貰う立場なので、何も言わずに了承した。
「わかった、じゃあ今から夜ご飯の準備していい?」
「いいよ、ありがとう!」
彼女は満面の笑みで俺を見る。
女の子に余り慣れていない俺に、その笑顔は効果抜群だった。
やばいすごく可愛い。顔がニヤけそう……
いやいやいや、頑張るんだ俺。早く姫乃さんに慣れるんだ。キモがられたら終わりだぞ。
ふぅー……
一呼吸置いて気持ちを整えたあと俺は質問する。
「冷蔵庫の食材使っていい?」
「えっ!い、いいよー……」
なんでそこで目を逸らすんだろう?
何か見られたくないものでも入ってるのか?
冷蔵庫に??それは無いか。
俺は足下に無造作に散らばっている段ボールを見事に避け、冷蔵庫を開けた。が、そこには栄養ドリンクや、ヨーグルト類などしか入っていない。
「ちょっと姫乃さん、使えそうな物が何も入ってないんだけど??」
「その下の引き出し……」
彼女に言われ冷凍庫を開けると大量の冷凍食品が出てきた。
なるほどそう言うことか……
「姫乃さんって、いつもカップラーメンや冷凍食品で済ましてるの?」
「う、うん。でもたまに外食もするよ!」
そこは自炊じゃないんだ……
仕方ない今日はとりあえず冷凍食品で済ませますか。
明日、帰りスーパーで食材買ってこよ。
とりあえず俺は冷凍庫の一番上にあったチャーハンを炒めなおし、姫乃さんと一緒に食べ始めた。
「いや、冷凍のチャーハンてこんなに美味しかったっけ」
「それは、姫乃さんがいつもレンチンだからじゃない?」
「それも、あるかもね」
そういうと、彼女はスプーンを離さずに大きな口でチャーハンを頬張り、食べ続ける。
それにしても、姫乃さん美味しそうに食べるな……
「どうしたの?橘君も食べなよ」
「あ、うん。いただきます」
どうやら俺は、姫乃さんの食べるところをずっと見ていたようだ。とんだ気持ち悪い奴じゃないか。
危ない、危ない。
俺が食べ始めると今度は、彼女の食べる手が急に止まった。
「姫乃さんこそどうしたの?」
「んー、レンチンじゃない事もあるかもだけど、やっぱり誰かと一緒に食べるから美味しいんだよ!」
「そうなの?」
「そうだよ絶対!だからこれから宜しくね」
彼女は改まってもう一度よろしくと言ったが、食べる事に気をとられてた俺は、完全に不意打ちを食らってしまう。
「……うん、よろしく」
可愛いっ……そ、その不意打ちは反則だろ!
耐えるんだ俺、刑務所には住みたくないだろ。
そうだ周りを見よう。
俺は部屋の汚い部分をみて自分の少し舞い上がっている気持ちを落ち着かせていた。
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