第8話 心理研究部(お喋りしまくろうの会)
パンっと銃声を真似たかのような高い音がこの教室に鳴り響く。
その音とともに、カラフルな紙屑が宙を舞い部屋の中に散らばっていく。
「クラッカーなんて・・・なんで持ってるんだよ」
俺はここ4階の学習室4の教室に入ったとともにその高い音が鳴った。
ここは俺たち心理研究部(お喋りしまくろうの会)の部室となり、5人部員が集まったことで正式に部として認められたのだ。
「これで5人集まったね、じゃあ・・・一応自己紹介だけする?」
先頭を切って花蓮がそう言うと各自自己紹介を行った。
メンバーは部長である俺、花蓮、勇魚、結衣そして俺が屋上の階段から降りた時にぶつかった時や、退学させて欲しいと求めてきた金髪で巨乳な女の子の長谷部 真里だ。
どうしてこの退学させたい人がいる長谷部が俺たちの部活に入った過程としては、俺たちは生徒を退学させるために協定を組み、なるべく一緒にいようと長谷部が言ったからだ。
ちょっとした誘惑に負けてしまった俺は・・・ものすごく後悔している。
そんなもの知るか!と非協力的な態度を取ろうとした瞬間俺が屋上にいたことを先生にバラすと言われ、俺は何も言えなくなった。
また、別に屋上にいたことがバレるか、もし退学させることが失敗したときのリスクを考えると後者の方が危険すぎるが、俺は生徒を退学させようなんて気はさらさらない。
なんとか長谷部を説得して、退学させるなんていう物騒な考えを取り消してもらうために俺は協力することにした。
まあ・・・その場合は俺の願いを聞いてくれるのかはわからないが。
それに、長谷部も心の光は見えない・・・この真相を明かすために俺は長谷部と近づくことに決めた。
「先輩!私をこの部に誘ってくれて嬉しいです!」
そう言いながら、長谷部は俺に抱きつき、その大きな胸を俺の肩に当ててくる。
純粋にやっているように見せかけて、俺にはなんとなくわざとやっているのだろうなと感じた。
結衣や花蓮の目が少しだけ険しくなるのは察し、俺は慌てて長谷部から離れた。
素のこいつは・・・もっと恐ろしいってことを誰も知らないんだろうなぁと俺は1人考えていた。
「それで、誰を退学させるんだよ」
屋上への階段を塞いでいる目の前の長谷部はここから逃してくれなさそうな目をしていた。感情が読めないが、こいつは表情が少しわかりやすい。
「私と同じクラスの1-1の安藤 侑芽」
俺は長谷部の携帯から顔写真をもらい、ついでに長谷部のアドレスももらった。
こんな感じで女子のアドレスは貰いたくなく、俺は少し肩を竦ませるもそんなことはお構いなしに長谷部は語り続ける。
「こいつは・・・私のこの体が羨ましいせいか無視、暴力、窃盗など酷いことをしてきます・・・」
長谷部の表情はすごく怒りに満ち溢れていて、今心の光がもし見えたのなら、とても真っ青に光っていただろう。
「わかった・・・方法はどうするんだ?」
「それはもう全部任せます、もし上手くいかなかったら・・・わかりますよね?」
後者のセリフを言った瞬間、とてもニコッとした笑顔でそう言う長谷部に俺は恐怖を覚えた。