第7話 寝込みと屋上
私は・・・光夜のことが好きだ。
幼稚園くらいの頃から2人で遊ぶことが多く、家にも何回も泊まったりした。
小学生の頃に光夜の両親が事故で亡くなってしまった時も私は光夜の隣にいてずっと支えてきた。
「光夜・・・幼なじみだから・・・私はだめなの?」
結衣はベッドに寝転がり、窓の外を見て、光夜の部屋の電気に灯りがついていることを確認した。
光夜と結衣の家は隣同士で窓から侵入したことも昔はあった。
「・・・空いてる」
ベッドから窓を見ると光夜の部屋の窓の鍵は閉まっていなかった。
ダメだってわかっているのだが・・・体はもう止まらない。そのまま私は光夜の部屋の窓を開け、光夜の部屋へと侵入した。
「寝てる・・・私がこんなことしてるなんても思っていないだろうな」
昨日のキスについて光夜は何も意識していなかった。所詮私は幼なじみで光夜はそう思っていて、何も進展がないんだろう。
私はそうわかっているのだが、諦めることなんて出来ず光夜の横に寄り添うようにベッドの横になった。
「光夜って昔から'鈍感'だよ・・・どうして私の気持ちが伝わらないの?」
光夜の顔をただジッと見つめていると自分は何もしているのだろうと罪悪感に駆られ、泣きそうになる。
自分の気持ちが伝わらないもどかしさからも、一歩踏み出すこともできない自分も嫌になる。
一応キスはしたのだが、学校では何も進展はなかった。
「それに・・・どうして光夜のはわかんないんだろう・・・」
私はそう呟きながら、光夜の身体の上にまたがり、そのまままたそっと唇を触れ合わせた・・・
「おはよ!光夜」
「ああ、おはよ」
俺は自分の席へ着くと、前の席の親友の勇魚がいつも通り元気に話しかけてきた。これはいつも通りの日常であり、ルーティーンだ。いつも通り勇魚と話して学校への鬱憤を晴らす。
「そういえば、昨日姫野さんと2人で喫茶店に行ってとうだったの?」
「なんもない・・・ただちょっと話して終わりだ」
昨日のことはあまり話したくなく、あからさまに俺は話題を変えた。
「そういえば、勇魚はどうして部活に参加しようと思ったんだ?」
話題変えや俺が気になっていたことを確認するために、俺は勇魚にそう問いかけた。
「んー・・・なんだろう、姫野さんに言われたらつい参加したくなった・・・としかいえないかも」
勇魚自身理由があまりなさそうな感じでそう答えていることを知り、俺は少しの予想を立てた。
姫野花蓮の目を見ると・・・逆らえなくなるのではないかということだ。
超能力かその類は普通の人であれば信じないかもしれないが、俺自身能力があるためその可能性を捨てることはできない。
「わかった、サンキューな」
そう言うと、俺は咳から立ち上がり屋上へと向かった。
屋上は4階の階段を登るとあり、まず4階には教室がほとんどないため誰も近寄らないが、屋上の入り口の前に女の子が立っていた。
「・・・先輩、待ってましたよ」
それは・・・この前ここの階段を降りたときにぶつかった、1年生の巨乳で金髪の女の子だった。
その子の胸を見るとまた目を離すことはできず、心の光も昨日と同じく見ることはできなかった。
って、そういう問題じゃなく、どうして俺を待っていたんだ?
「・・・なんで俺を待っていた?」
俺は恐る恐るそう質問をすると彼女はゆっくりと口を開けそう答えた。
「私は先輩が教室を出た後、向かう先を推測し、屋上だと判断したため先回りしてここまできました。」
俺はその発言に何か引っかかるものを覚えた。
俺より先へ来る・・・?
俺は決して急いでいたわけではないが、歩く速さは目の前の華奢な女の子よりは早いであると予想できる。だから、俺より先へ来るなんて俺の視界に映るはずだ。
しかし、俺が屋上までくるのにみた人は2.3人ほどでこんな目立つ子はいなかった。
「ところで、お嬢さんは俺になんの御用で?」
俺はそのことに言及はせず、なぜ俺を待っていたのか理由を聞くことにした。
「実は・・・先輩に退学させて欲しい人がいるんです」
退学させて欲しい?
なぜ俺にそんなことを頼む?
そもそもなんでそうなった?
てか、こんなことを考える子なのか?
俺の頭の中でこんなに訳の分からないことを考える日が来るとは思わなかった。
最近女の子に振り回されすぎた。
普通を求めていたのに、どうしてこんなイレギュラーな場面ばかり起こる。
「断ると言ったら・・・?」
「もし、私の願いを聞いてくれたら・・・なんでも言うことを聞きますよ?」
そうニコッと微笑み、肩を少しすくませ、胸を強調したポーズをとり、俺に向かって前屈みになる。
そうして強調された胸に俺は目を奪われ、ほぼ条件反射で
「わかった・・・話を聞こう」
そう答えてしまった。