◎スイーツが苦手という意中の殿方に渡します
「それで、話ってのは?」
「あのね。実は、渡したいものがあって……」
朝に下駄箱へ入れておいた手紙を、ちゃんと読んでくれたんだ。嬉しい!
興奮と緊張で高鳴る胸を抑えつつ、私は、紙袋から半透明な袋とリボンでラッピングしたマフラーを取り出した。
「セーター?」
「あっ、いや。マフラーなんだけどね。ほら、スイーツは苦手だって言ってたから」
「いや、餡子が駄目なだけで、それ以外の菓子は普通に食えるんだけど?」
「えっ、そうだったの?」
あちゃー。私ってば、とんだ勘違いをしていたものだ。
穴があったら落っこちたいくらい恥ずかしい気持ちになっていると、更なる追い討ちを掛けられた。
「悪いけど、形の残るものだと、カノジョが嫉妬するから受け取れないな」
「そっか。そうだよね、あはは。それなら、渡せないね……」
「ゴメンな。クリスマスにカノジョが出来たこと、伝わって無かったんだ」
「ううん、いいの。気にしないで。じゃあね」
いたたまれなくなった私は、マフラーを紙袋に戻しつつ、逃げるように立ち去った。
きっと、さっさと告白しなかった私が悪いんだ。賢くて優しい性格の男子が、ずっとフリーなはずないじゃない。