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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
第二章

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第七十三話 前編 追憶令嬢13歳

ごきげんよう。レティシア・ルーンですわ。

ステイ学園の2年生です。

平穏な生活を夢みる公爵令嬢です。


5年1組にお邪魔しています。

サイラス・グランド様は、相談に伺うといつも快く迎えてくれます。ですがいつも一瞬固まるのは何故でしょうか?先触れはいらないと言われたのですが、やはり先触れを出したほうがよろしいでしょうか?次回はきちんと面会依頼をしましょう。

リオは生徒会のためすでに教室にはいません。相変わらず視線は集めていますが、周囲に聞こえないように声の大きさだけは気をつけましょう。

リオの席に座る私の正面にグランド様が座っています。シエルがお茶とお菓子を出したので先に一口をつけます。グランド様の好みはわからないので、甘さ控えめなお菓子とルーン自慢の香りの良いお茶を用意させました。


「相談って改まってどうしたの?」

「ノア様のことを教えてくださいませ」

「どうして?」

「知りたいからですわ」

「例えば?」


いつも温和なグランド様に先程から物凄く警戒されています。貴族は勝手に調べるものなのに、直接聞いたら驚きますよね。私も逆の立場なら警戒します。でもエイベルは絡め手は通じません。エイベルを習って直球でいきますわ。グランド様の警戒の色のある瞳を見つめて、よわよわしく微笑みます。


「なんでもいいんです。できれば好きなタイプやお友達になる方法を教えていただきたいです」

「本人に聞かないの?」

「私は避けられてますので」


グランド様の笑顔が固いです。まずは警戒を解くべきですが内容的に難しいですわ・・。やはり直球勝負は駄目でしたか。ポンコツエイベルと一緒にするのは失礼でしたわ。


「ノアは人当たりはいいと思うんだけど…」

「私がノア様に向上クラブに毎回参加してほしいとお願いしたからだと思います」


私がグランド様を尋問するのは理由があります。

ノア様を令嬢モードの笑顔で脅しました。私はアリス様とノア様にこれ以上は関わるつもりはありませんでした。ですがノア様の態度が紳士としてあるまじき態度、あまりに冷たいのを見るに見かねて情報収集に来ております。

アリス様は一緒にいるだけで幸せそうですが、令嬢への対応として駄目ですわ。あれで上位貴族とは認めませんわ。エイベルよりも酷いんですよ!!でも平等の学園なので厳しく指摘はできません。ただ笑顔で見つめるだけですわ。気弱な令嬢設定を忘れるところでしたわ。グランド様の警戒するお顔をよわよわしい微笑みを浮かべ受け流します。


「なぜそんなお願いを?」

「一緒にいると幸せだからですわ」


アリス様がこの上なく。ノア様が一緒にいるだけで自然に笑みが零れます。

お姉様とは姉妹とは思えない素直さですわ。これはマートン侯爵が溺愛するのもわかります。噂の真偽は知りませんが。

アリス様の可愛さを思い出した所為でしょうか?グランド様の顔色が悪くなりました。私は治癒魔法は設定上使えませんし、リオのことはグランド様にお任せです。その逆も然り?


「グランド様、体調が悪いですか?リオを呼びましょうか?」

「大丈夫。気にしないで。リオは呼ばないで。頼むから」


珍しく厳しい物言いで拒否されました。私は気付きましたわ。

様子のおかしいグランド様の原因が。

いつも仲の良いお二人ですが今は喧嘩中ですのね。エイベルもよくお友達と喧嘩をしてますし、殿方はいつになっても子供ですわ。

笑みがこぼれますね。喧嘩ができるのは仲が良い証拠らしいですわ。リオに良いお友達がいて心強いですわ。私はお友達とは喧嘩をしたことはありませんが、大好きな気持ちもよくわかりますわ。私にとってセリアみたいな関係ですよね。


「リオはグランド様のこと大好きですから大丈夫ですわ」

「え?」


驚いた顔のグランド様に私の知っているリオ兄様を教えてあげましょう。グランド様には敵いませんが私も子供の頃のリオを知ってますのよ。


「リオ兄様も時々頑固ですのよ。きっと素直になれずに言えないだけですわ。きっと今頃落ち込んでらっしゃるかもしれませんわ。仲直りができることを祈ってますわ」

「なにか勘違いしてない?」

「私はお二人の味方ですから」

「優しく微笑む場面じゃないよ。さすが従兄妹。話を聞かない所がそっくりだよ」


グランド様がリオのようにブツブツ言ってます。やはり癖は似るのかしら。喧嘩は当人に解決させるのが一番ですわ。喧嘩してることは知られたくないと思うので気づかないフリをしましょう。本題に戻ります。


「私の心に留めますのでご安心ください。本題に戻りますわ。冷たいノア様の心を開く方法を教えてください」

「冷たい?お菓子でもあげたら?」

「無理でした。アーモンドクッキー渡したのに、無表情で受け取っていただくだけでした」

「珍しいな。馬が好きだよ」

「馬の世話を一緒にすればいいですか?」

「馬の手入れは自分でしないだろ」

「学園では遠乗りはできませんよね。っというか馬に乗れるか怪しいですわ」

「乗馬できないの!?」

「ノア様はお願いすれば乗馬を教えてくれますか?」

「リオに教われば?」

「リオだと意味がありませんわ。」

「…。馬、乗れないんでしょ?安全のため監督生が必要な案件だと思うよ」

「私に監督生の資格があれば…。試験受かる気がしないから無理ですわ。ここはエイベルにお願いするしかないですか…」

「ルーン嬢、落ち着こうか。リオに頼めばいいよ」

「リオですと練習になりませんわ」


たぶんアリス様は見惚れてしまって練習に集中できません。集中できない訓練は危険が伴います。

ノア様にリオと練習している所を見られたら誤解されてしまいます。



「リオじゃ駄目なの?喧嘩したの?」

「喧嘩してませんわ。家の関係上リオには頼れませんわ。

噂になりたくないんですが、誰にも見つからずに乗馬の練習をする方法はありますか?」

「訓練場を貸し切りにするしかないんじゃない?それで結界を使えば」

「名案ですわ。ありがとうございます!!」


結界ならリオの魔石を使えば用意できます。

エイベルの所に行きましょう!!

駄目です。今日は生徒会ですわ。シエルに使いを頼んで、内密に面会依頼しましょう。


「馬以外でノア様がお好きなことはありますか?」


「うーん。結構武術好きだから訓練や手合わせなら喜ぶと思うよ」

「さすがお兄様ですわ!!頼りになりますわ。グランド様、ありがとうございました。」

「ルーン嬢待って。ノアとリオどっちが好き?」

「?リオですわ。でもグランド様達の邪魔をしたりしませんのでご安心してください。グランド様は頼りになりますわ。また相談にのってくださいね。失礼しますわ」

「なんか勘違いしてるよね!?今のところは大丈夫か・・・。暴走しないといいけど」


ブツブツ言ってるグランド様に礼をして移動します。

エイベルへの手紙を書いて、アリス様にも書きましょう。

たぶんやります!!と即答すると思います。

結界についても調べ直しましょう。訓練場の使用許可と申請方法確認しないといけませんね。

やることはたくさんありますが可愛い後輩のために頑張りましょう。

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