第六十九話 追憶令嬢13歳
ごきげんよう。レティシア・ルーンです。
ステイ学園の2年生です。
私は昨日ノア・グランド様とアリス・マートン様の痴話喧嘩?に巻き込まれました。
事情説明の謂れはないのですが、なぜか朝からリオの部屋で朝食を食べてます。私では収拾がつかなかったので、兄のサイラス様を呼ぶのをリオにお願いしたのがいけないんでしょうか。でもあのまま収拾がつかずにアナ達に危害が加えられれば生徒会が呼ばれたかもしれませんわ。いつも報告するように言われてますが、でも実際には役員の手を借りずにすんでいます。やはり報告の義務もありません。怒られるほどの内容でもありませんし。ノア様を睨んだのがいけませんでした?でも見られていませんし。
「シア、考え込むのは後にして食べようか」
現実逃避させてもらえませんでした。マール公爵家の懐かしい味のするスープを口に運びます。
リオは昨日から機嫌が悪く一晩でも機嫌は直りませんでした。
グランド様、助けてください。グランド様もお招きすれば良かったですわ。さすがに早朝のご招待は迷惑なので今からはお呼びできませんわ。目の前の料理に首を横に振ります。
「私、食欲が・・」
「食べさせようか?」
「食べますわ」
「目の前の皿、ノルマだから」
私の目の前にはサラダにスープに果物にサンドイッチが二切れもあります。サラダとスープを食べたのでこれ以上はいりません。
朝は食欲がなく、あまり食べたくありませんわ。
「朝はそんなには」
手を止めた私にリオが涼し気な笑みをみせ、私の後ろに視線を向けました。
「シエル」
呼ばれた声に嫌な予感がします。口を開こうとするとリオに視線で制されゾクリと寒気がしました。
「お嬢様は紅茶とプリンが朝食です」
「シエルが許してる理由は?」
「食べていただければいいかと。昼と夜は比較的召し上がられますので」
「シア、食事はきちんとしろって言われてるよな」
「朝以外はちゃんと食べてます」
「本当に?」
時間があればですが。そんなことは口にできないので、怖いリオの目から視線を逸らさず必死に笑みを浮かべてごまかします。
「シアに筋力も体力もつかないのは食事の所為だったか。しっかり食べられないならこれ以上訓練しても時間の無駄だ」
体が震えてきましたわ。これは一歩間違えれば本格的なお説教が始まります。
リオが怖い。これは逆らったらいけないですわ。
「食べます」
「シエル、朝もしっかり食べさせろ。食べないなら俺に報告」
「わかりました」
シエルは私の侍女なのに。
仕方ないから手を動かして食べます。食事よりも読書の方が有意義ですしお腹が苦しくなるほど食べると体が重たくなりますのに。怖くて言えませんが。
無理矢理お腹に入れて食後のお茶を飲みながら、リオに聞かれるまま昨日の事情を説明します。生徒会は関係ないので説明する謂れはないのですが、怖いリオには逆らえません。
説明を終えるとリオがため息をつきました。
「後輩に勉強を教えるのはいいが場所を考えろ」
「3組なら安全ですよ。私のこと知らない方ばかりですわ」
「それが危険なんだよ。なんで特別室を使わなかった?」
「特別室は教室から離れた場所にあります。1年3組のアナ達が特別室を使うことで貴族に絡まれたら可哀想です」
「ちゃんとシアの立場を教えないと彼女達のためにならない。シアと関わる危険性を知った上でどうするか選ばせるべきだった。何も知らせず勝手に守るのは傲慢だ」
私は自分で関わる人間を選べないんでしょうか。
あんなに純粋に後輩に慕われるのは初めてだったから大事にしたかったのに。
それにルーン公爵令嬢としても必要な関わりだと思いました。アナやロンが常識を理解できてないのはルーン領の教育の不備でもあります。領民の素直な声を聞けるのもありがたいです。でもルーン公爵令嬢だとあんな風に関われませんわ。
私はルーン公爵令嬢だからやっぱり公爵令嬢としての私をわかってくれる人でないとだめなんですかね…。それは寂しいですわ。セリア達とのやり取りさえいけないことですわよ。ルーン公爵令嬢は常に民の模範となるように。感情を殺してずっと微笑んでいるのは羨望の眼差しを受けても遠巻きです。生前の私は陰でお人形と囁かれてましたのよ。学園生活だってこんなに色んな感情が動かされるものではありませんでした。
「せっかくできた後輩ですのに」
「彼女達を利用されないように、周りに隠れて関わってたんだろ?誰にも気づかれずに」
ポツリと零した本音に突きつけられたのは正論です。
私との関わりを誰にも知られなければ安全だと思ってましたわ。
「勉強会を開くなら場所を変えて。あと必ず誰か付添いを。一人は駄目だ」
どうしてでしょうか。
リオの言葉は正しいのに、イライラしてきました。
嗜めるように言うリオをじっと睨みます。
それでも私はルーン公爵家に恥じることなどしていません。リオにそんなに色々言われる筋合いはありません。リオに従う謂れもありません。他家のことへの口出しは厳禁ですわ。
それでもリオの言う公爵令嬢らしく、感情を出さないように令嬢モードの笑みを作ります。
「わかりましたわ。私の浅はかな行動でご迷惑をおかけして申しわけありません。以後はお手を煩わせないように気をつけますわ。失礼しますわ」
「シア!?」
リオの呼び止める声を無視して部屋を出ます。シエルが心配そうな顔をしていますが空気の読める侍女は話しかけてきません。
リオの顔など見たくありませんわ。
私はリオに迷惑をかけずに生活していけますもの。
もうリオの背中を追いかけていた子供ではありません。一人で立っていられますもの。
試験期間も無事に終わりました。心配なのは武術の成績だけです。
生徒会に関わらないように問題を起こさないように細心の注意を払っています。令嬢達には声を掛けられる前にトンズラしました。リオのことは徹底的に避けています。ありがたいことに試験勉強のためクロード殿下のお傍を離れたエイベルがノア様への質問対策に本を貸してくれました。そして騎士についての説明をしてくれました。多くの騎士と連携を取る近衛騎士団長の家系だけあり非常にお勉強になりましたわ。エイベルが頼りになるなんて意外でしたわ。でも脳筋なので武術関係以外のお勉強は苦手なようで仕方がないから教えてあげました。
何度かリオと目が合いましたが、声を掛けられる前に去っております。試験期間は社交を抑えてもらっているのでマール公爵家の社交もありません。試験の後はルーンの社交で忙しくエディと回る予定です。エドワードはどんどん頼もしくなり任されている仕事も多いですが私のエスコートを笑顔で務めてくれています。一人で構いませんって言ってもエスコートは僕の役目と頼もしい笑顔を見せる姿につい笑みがこぼれてしまいましたわ。可愛らしい年頃のご令嬢よりも私を優先させるのはいささか心配ではありますが。
アナ達は申しわけありませんがシエルを通じて当分は会いに行けないと伝えてお菓子と手紙の差し入れをしました。そして定期的にシエルを使いに出して、アナ達が勉強に困っているなら教えるように命じてあります。シエルが私の侍女と知る者は3組にいないので大丈夫でしょう。
アナ達やリオとのことは誰にも話していません。リオを避ける私を見てセリアに反抗期突入おめでとうと言われました。意味がわかりません。
ハンナと一緒に図書室に向かっていると誰かに付けられている気配に足を止めます。
振り返るとアリス・マートン様でした。私をじっと見つめているので関わりたくありませんが口を開きます。家格の高い者から声を掛けるマナーを守っているようなので。
「ごきげんよう。どうされました?」
「ルーン様、申しわけありませんでした」
頭を下げるマートン様に驚きを隠して、周りを見渡すと視線を集めています。まさかまた火事をおこしたいんでしょうか。生徒会には関わることは嫌ですわよ。
「いえ、お気になさらず。どうか顔を上げてくださいませ」
「少しお時間いただけますか?」
以前と違い気の強い口調ではなく、淑女らしい仕草に向けられる瞳には敵意は感じられません。後輩の頼みを断るのはあまりよろしくありませんわ。ただ二人は危険です。貴族は感情を全て隠すもの。侯爵令嬢らしく敵意を淑女の仮面で隠している可能性も否定できません。なにより彼女はマートン侯爵令嬢です。うちの政敵のパドマ公爵家の取り巻きの一族。どんな思惑があるのかわかりませんわ。巻き込んで申し訳ないですが、頼りましょう。隣で話が終わるのを待っているハンナを見つめると笑顔で頷いてくれました。
「私の友人のハンナが一緒でも構いませんか?」
「もちろんです」
頷いたマートン様に了承を伝えて案内されるままに足を進めると日当たりのいいサロンに着きました。個室のサロンではないことに少しだけ緊張が解けましたが足を踏み入れると後悔に襲われました。大きなサロンを貸し切りにしていましたわ。取り巻きが大量に待ち受けていたらどうしましょう。危なくなったらハンナを連れて逃げましょう。弓はありませんがポシェットの中にあるセリアの眠り薬を撒いてトンズラですわ。一応、ポシェットの中身の効能は全て聞いたので理解しております。
案内された席に座ると控えていたのは侍女が一人だけでしわ。
マートン様が侍女の出したお茶とお菓子に口をつけました。
そしてお茶を飲みながら言いたいことがありそうな目で見られています。おもてなしをお断りするのは無礼なので、笑みを浮かべつつ内心は警戒しながらお茶に口をつけるとほのかな苦みがありましたがこれは添えられている甘いお菓子に合わせたもの。おもてなしとしては相応しい組み合わせですわ。
「あの…。グランド様のことお姉様には内緒にしていただけませんか」
人払いして呼び出された理由がわかりました。マートン侯爵令嬢がグランド伯爵子息を追いかけているのは情報としては価値が高い。でも学園内でのことは、お父様に望まれない限り情報を話すつもりはありません。シエルが報告しているかもしれませんがそれは私の領分ではありません。どこの家も情報収集に力を入れるのは仕方のないこと。私は他家のことなので関わるつもりもありません。噂を広めて、二人を曝しものにするつもりも。
「わかりましたわ」
「ありがとうございます!!どうすればルーン様とマール様のように仲良くなれますか!?」
マートン様の気まずそうな顔が一気に明るくなりました。私に意見を求められることに驚き、そっと足を踏むと痛いので夢ではありませんわ。
そして確実に勘違いされてます。私とリオの関係を。
「ハンナ、どうしましょう。私には難題ですわ」
「レティシア様・・。事情がわからないんですが」
助けを求めたハンナの弱った笑みにうっかりしてましたわ。ハンナは社交界とは関係のない世界で生きてるので情報を知っても利用できません。私では目を輝かせているマートン様の欲しい答えは用意できません。
「ハンナに説明してもいいですか?ハンナの人柄は保証します」
「ハンナ様、私はノア・グランド様をお慕いしています。でも嫌われてて」
言葉を濁すマートン様はハンナに様付けしてますわ。勢いよくすぐに話しはじめたことに驚きますが。私の言葉を警戒したほうがいいと思いますよ。利用するつもりはありませんが・・。でも用意されたお茶も話を聞く姿勢もお姉様よりマトモでしょうか?
「お辛いですね」
「今までは派閥も違うので中々接点もなく、クラスも違いますし―」
「ノア・グランド様のどんなところがお好きなんですか?」
「社交デビューの時に転びそうなところを支えてくれたんです。そのときに頑張ってって微笑まれて、素敵で」
ノア様との話をするマートン様にハンナが優しい笑みで相槌を打っています。
ブレア様達を連れてきた方がいいかしら?待って。社交デビューのパーティで支えられたところはわかりますよ。ノア様、ダンスに誘わなかったんですか?社交デビューの令嬢と言葉を交わすなら、ダンスに誘うのは暗黙のルールですわよ。きっと料理かお友達との話に夢中だったんでしょう。
「それは好きになってしまいます」
「お父様にお願いして縁談を打診してもらったんですが断られてしまいました。お姉様はグランド伯爵家をお嫌いみたいで・・・」
私だけ空気が違いますわ。実はエイミー様の恋の応援もブレア様達にお願いしてます。私がいないほうがうまくまとまりそうなので。レオ様よりもリオとの時間を作ってくださいと輝かしい笑顔で送り出されましたわ。報告したリオは笑いながらブレア様達の意見に賛同しました。
縁談の打診?マートン侯爵が娘を溺愛してるという噂は本当だったんですね。愛娘の美しさと気立てのよさを夜会で長々と語っていましたわ。ご令嬢達は不在でしたが。当主が令嬢を過剰に褒めるのはいつものことなので突っ込みはいれずに聞き流していましたわ。遠回しに魔力のない私を相応しくないと言う棘を拾う優しさは私にはありませんでしたわ。
「侯爵家令嬢として政略結婚の覚悟はありましたが、お父様がグランド様の了承を得られたら婚約させてくださるって」
政略結婚の必要性をわかっていたことに安堵しましたわ。
マートン侯爵は娘に甘いんでしょうか?うちの派閥からグランド伯爵家を抜いて取り込みたいなら娘を送り親交を深めるのも有効ですわ。マールとグランドの親交は深いので外よりも中から崩すほうが。上位貴族とはいえ侯爵令嬢なら伯爵家を牛耳れるほどの社交レベルは求められますわ。そう簡単に社交の天才揃いのマール公爵家との関係を崩せるとは思えませんけどね。本音は言えませんが。
「優しいお父様ですのね」
「でもお姉様とお母様は反対してます」
溢された言葉に思わず、目を見張ったのでお茶を一口飲んでごまかし笑みを浮かべます。
当主の命令に反対ってやはりマートン侯爵家はおかしくありませんか?
「それはお辛いですね。相談も、」
「はい。お友達にも話せなくて・・・」
確かに侯爵夫人が反対しているなら取り巻きの令嬢達には話せませんわ。ノア様がアリス様に無礼を働いていると喧嘩を売りに行っても困ります。火のない所に火事を起こすパドマ公爵家の取り巻きは非常識の塊です。
真剣な顔で話すハンナとマートン様を眺めながらお茶に口をつけると温かいものに替えられました。さすが侯爵家の侍女。お菓子も足されてますわ。
「ルーン様はマール様とはどうされたんですか?」
突然向けられた縋られるような視線に驚きお茶が変な所に入りそうになりました。
「うちは両当主が決めたことです。この婚約には私達の意向は確認されてません」
「そうなんですか…。私はどうして嫌われてるんでしょうか」
下を向いて辛そうな声を出すマートン様。
私の知っているノア様は、
「ノア様はマイペースな方です。自分のペースを乱されることや面倒なことがお嫌いです。悠々自適に過ごしたいから3組を選ばれました。ノア様は1組に入れる教養は身に付いてますのに」
マートン様が茫然とした顔をしてハンナさえも固まってます。貴族としては理解できない考えだと思います。生前の私も二人と同じ反応いえ、上位貴族の恥ですわ。ご自分の立場を思い出してくださいと笑顔でありえませんと切り捨てて殿下の側近候補から外した自信がありますわ。
「ありえませんわ」
即答したマートン様の気持ちはよくわかりますわ。
でもノア様と仲良くなりたいならこれではいけないと思います。
「そんなノア様は嫌い?」
「そんなことありえません」
迷いなく即答するマートン様は本当にお慕いしているんでしょう。私にとっては恋とは怖いもの。でもどんな姿も受け入れられる存在がいるのは少しだけ羨ましい。私にはきっとできないことですもの。
「でしたら、ノア様の世界を否定しないで寄り添えるかだと思いますわ」
「寄り添う?」
「お話するときノア様の言葉をよく聞いてください。そしてきちんと考えてあげてください。貴方の価値観を押し付けて否定するとノア様はお話ししたくなくなると思います。こないだもそうではありませんでした?」
人は伝える手段として言葉を持っています。どんなに言葉を掛けても通じないこともあります。通じない言葉は無意味ですわ。でも掛けた言葉を全て流され、無かったことにされるのも辛いことです。ノア様の考えは上位貴族としては受け入れられません。でもグランド伯爵家が正さないなら、そのままでいいと言うことだと思います。ノア様の行動に口出す権利があるのはグランド伯爵と王家です。明らかに相応しくない行動をしないかぎり、うちも他家も口を出しません。グランド伯爵夫妻はきちんとしている方なのでお考えがあってのことだと思います。
マートン様が下を向いて無言です。
「ノア様の言葉を否定してばかりでしたわ。だから嫌われたのかな・・」
よわよわしい声のマートン様。流石に突き放すのは良心が痛みますわ。正直、関わりたくありません。でも反省してきちんと向き合おうとするなら、
「ノア様には婚約者はいません。まだ手遅れではないと思いますわ」
「どうしたら私と話してくれますか?」
ゆっくりと頭を上げた弱った顔のマートン様に優しく見えるような笑みを浮かべます。マートン様も整った顔立ちをしています。女の子は笑顔が可愛いとクラム様が良く言っていますわ。私が迷惑かけてもお礼の言葉と笑顔だけで十分と。どんなに酷い手合わせをしても笑顔でお礼を言えば皆様は次も是非と友好の握手を求めてくださいます。私よりも顔立ちが整っていると自負するマートン様の妹君の笑顔なら尚更効果があるでしょう。
「選択授業や偶然お会いしたときに笑顔で挨拶してください。可愛い令嬢に笑顔で話しかけられ、嫌がる殿方はいませんわ。まずはお友達を目指しませんか?」
「ルーン様は私のこと応援してくれますか?」
残念ながら頷くことはできません。
「協力はできませんが貴方の思いが叶うことを願ってますわ。」
「お姉様と紛らわしいのでアリスと呼んでくださいませ!!またお話してもらえますか?」
「お話するのは構いませんが、貴方のお姉様が怒ると思いますわ」
「いつものことですわ」
姉妹の関係性は気にしませんが、これは判断を間違えれば危険なことだと思います。
「ハンナ、どう思いますか?」
「アリス様の取り巻き次第です。アリス様のお友達で口が堅くレティシア様を悪く思っていない方がいれば同行させてもらえれば。アリス様とレティシア様が人目を集めますので、場所は選ばれたほうがいいかと思います。お許しいただければ私が仲介します。私はレティシア様のように人目を集めませんから」
「気持ちはありがたいですが、危険なことは控えてください。ハンナは」
「お友達は助け合うものですわ。いざとなれば助けてください」
私の言葉を遮り冗談を言うハンナの優しさは美徳ですわ。
「もちろんです。ハンナのためなら私個人がいくらでも。いつもお断りされてしまいますのに。アリス様、二人で会うことはしません。ハンナに無礼を働かないと約束していただけるなら時間は作ります」
「わかりました」
「先輩として力になれるかはわかりません。お約束を守っていただける限りは後輩を無下にすることはしませんわ」
「レティシア様、ハンナ様ありがとうございました」
頭を下げるアリス様は悪い子には見えません。
ノア様との件は恋ゆえの暴走だったのでしょうか。
先輩として後輩のお願いは断れませんので、時々お茶に付き合うくらいは構いませんわ。
私はお茶とお菓子を楽しみながらアリス様とハンナの二人で話す姿を眺めていました。ハンナを同行させて良かったですわ。私は恋というものはわかりません。ノア様のことを話すアリス様は可愛らしいと思いますがきっと私には縁のない世界ですわ。




