閑話 伯爵令息の苦労日記
俺はサイラス・グランド。
グランド伯爵家次男でステイ学園の5年生。
目の前にいる友人はマール公爵家の三男。容姿端麗、頭脳明晰、冷静沈着、文武両道、才色兼備等彼の優秀さを称賛する言葉は止まらず令嬢に大人気の男。どんなことをしてもリオに見惚れる令嬢達は読書する姿にうっとりと見惚れている。リオはどんなに視線を送られても、目の前に落とし物をされても反応しない。難しい本を爽やかな顔で読んでいる男の心の内に気づいているのは俺だけかもしれない。本を読むペースの速いリオが朝から開いている本のページがいっこうに進んでない。令嬢達はあんなに眺めているのに気づかない。周囲は気付いていないが俺の友人は暴走癖がある。頭が良くて権力があるやつの暴走が厄介なことを目の前の男のおかげで俺はよく知っている。
「リオ、ページが進んでないけど悩み?」
「自分の迂闊さを呪ってる」
「なんで?」
「なんで俺は監督生の試験を今年に受けなかったんだろう」
「資格持ってなかったら、ルーン嬢の訓練付き合えないだろ?そのために2年の時に試験受けたんだろう」
「そうだが・・・」
「ルーン嬢が入学する前にできることはすませたかったんだろ?」
「そう思ってたんだけど・・」
どんなことも余裕綽々の男が言いよどむのは珍しい光景である。
リオが溺愛している婚約者のレティシア・ルーン嬢は2年の野外訓練中。
訓練とはいえ監督生と男友達と一緒の外泊はリオには耐えられない。気になって仕方がないんだろう。
楽しそうに準備してた彼女はリオの心配なんて気づかない。
昔、ターナー伯爵家の訓練でビアードとルーン嬢が森で一泊しかもルーン嬢が頬を叩かれたと聞いた時のリオはやばかった。
ターナー伯爵家の修行からようやく帰り、頻繁に彼女に会える日々が帰ってきたことに喜び外泊した休養日明けのリオの機嫌は正反対。
涼し気な顔でビアードに会いに行き、婚約者が世話になったお礼にと訓練に誘っていた。嫌な予感がして同行した俺の予感は的中。訓練好きのビアードは快諾してしまった。
その後の一切笑えなかった。
いつもは武力行使せず、精神攻撃でズタズタにするのが得意なのに、訓練と称して心身共にボロボロにしていた。治癒魔法があっても後輩を瀕死に追い込むのはまずいから必死に止めたよ。笑顔でキレてるのに周りが気付かないから不思議だよね。ロベルト先生だけが感心して見物していた。
ズタボロにしたビアードに先輩として親切にアドバイスもしていたよ。棘を含んだ言葉はビアードには聞こえているかわからなかった。でも「俺のシアに近づくな」と最後に呟いた言葉がリオの本音である。緊急時でもあのルーン令嬢の頬を容赦なく叩けるビアードも凄いけど・・・。
今思うと自分が会えない間に絆を深めた二人への嫉妬もあったんだろう。
ビアードとルーン嬢はターナー伯爵家で一緒に修行を受けていたからか、仲が良い。ビアードが言うには一緒に訓練させられることも多く、面倒見るようにターナー伯爵夫妻に頼まれていたらしい。
ルーン嬢はビアードにだけは礼儀を気にせず喧嘩するから心配と嫉妬とまぁ色々と複雑なんだろう。ポンコツ、打倒エイベル!!と意気込んでいるのに、楽しそうに二人で喧嘩してるもんな。それでもルーン嬢が一番懐いてるのはリオなのは一目瞭然なのに余裕が持てない哀れな友人だ。
ルーン嬢は美人で気立ても良いから男に人気ある。美しい青い瞳を細めて上品に微笑む仕草に見惚れるものも多い。騎士を目指す男にとっては守ってあげたいと思う令嬢そのものである。クロード殿下を魅了した計算高い魔性の女、権力で理不尽な婚約を結ばせた女、リオへの止まない称賛と同じくらい彼女に似合わない噂が流れている。それでも彼女を見ると悪評など頭から抜け夢中になる男も多い。
リオが外敵駆除してるから彼女自身は人気があること気付いてない。強くなりたい、味方を増やしたいと一生懸命な彼女はリオが過保護に守りすぎてるからか危機感が育たない気がしてならないけど。
「ルーン嬢、森での訓練慣れてるから大丈夫だよ。スワンが一緒なら尚更。なにがそんなに心配なの?」
「あの森には蛇がいる」
本から顔を上げたリオがポツリと呟く言葉を耳で拾った。聞き間違い?
「まだ蛇が駄目なの?」
「蛇を見せたことない。徹底的に遠ざけた」
沈んでいる声に嫌な予感がする。温暖な気候で生き物が生息しやすいフラン王国。結界に守られている王都の森には魔物が出ない。自然に繁殖する動物達を用もなく駆除することはない。
そして、野外訓練に向けて真剣に勉強するルーン嬢をリオが狩りに連れて行っていた森には蛇が生息している。とくに繁殖時期である蛇の活動は活発で、森に行けば探さなくても自然に目にするものである。フラン王国に生息する蛇の解毒薬は全て揃えられているため脅威を覚える必要はそれほどない。それでも、
「バカなの?」
「蛇除けの魔法陣を持たせるべきだった。いや、先に森の蛇を駆除が先決か。なんで突然場所が変わったんだよ!!いつもの森なら問題なかったのに。当日に変更っておかしいでだろう!?この授業事態潰せば、」
「そっちじゃない。リオが魔法陣を書いたら規則違反。駆除すれば生態系が狂うよ。落ち着きなよ。楽しそうに準備してただろう?授業を潰したら悲しむよ」
「生徒会役員なら随行したっていいよな?全て眠らせれば」
「落ち着いて。彼女には緊急用の連絡手段も用意されてるし、監督生見習いも付いてるから」
「シアは記憶がないんだよ。あの日の記憶は…。シアにあるのは外で遊んで怒られた記憶だけなんだよ。蛇の話を聞くと引きつけ起こすから、うちの書庫には蛇の資料は全て別の場所に。もちろんルーンにもない。なんで野外訓練なんてあるんだよ。そんなもん訓練なんていらない」
「リオのように器用な人間ばかりじゃないよ」
物騒な呟きを漏らす友人が固まるほど動揺させることができるのはルーン嬢だけだ。
彼女は覚えてないだろうけど、初めて出会ったのは確か俺が6歳、彼女は3歳かな。
マール公爵家に蛇を贈ってはいけないのは暗黙のルールである。これはそのルールができる前の話である。
貴族の世界では贈り物を通して親睦を深めることもある。
マール公爵が珍しい物を好み、収集家というのは有名である。マール公爵夫人主催のお茶会で贈り物にと美しい蛇が贈られた。ターナー伯爵家出身のマール公爵夫人は蛇を見ても動揺はせず、美しい笑みを浮かべて感謝を告げた。特殊なマール公爵夫人とは違い美しいとはいえ贈られた蛇に怯える夫人が多かったため、篭には布が被せられ置かれていた。
不幸なことに器用な蛇が篭の扉から抜け出し誰一人気づかなかった。
ルーン嬢はルーン公爵夫人がマール公爵邸でお茶会に参加するときはリオ達に預けられていた。
マール3兄弟の中で一番明るく気さくな次男のレイヤ様が面倒を見ていることが多いけど、その日はルーン嬢はリオと庭で遊んでいた。ポカポカとした気持ちの良い日、花冠を夢中で作るルーン嬢と眠気に襲われながらうとうとと見守るリオ。風の結界に守られ虫さえも管理されている安全な庭園に危険が潜むなんて俺さえも思わなかった。二人は近づいてきた蛇に気付かす、蛇はルーン嬢の足に巻き付いたらしい。ルーン嬢の悲鳴が聞こえ、ルーン公爵夫人が駆けつけた。
ルーン公爵夫人がリオの腕に巻き付く蛇を放り投げ、ルーン嬢がマール公爵夫人に保護されたのを見た瞬間にリオは倒れた。ルーン嬢が泣き叫びマール公爵夫人が慰めても通じず、倒れたリオが運ばれた扉の前でポロポロと涙を流しながらずっと離れなかったらしい。
お茶会に参加していた母上から聞いた話。お茶会の席から突然マール公爵夫人とルーン公爵夫人の姿が消え、さすがターナー伯爵家出身と朗らかに笑い事態を冷静に観察していた母上のほうが流石だと思う。そして蛇の記憶を覗くように提案するのも。公爵夫人の不在に混乱していたお茶会の中で唯一冷静さを保っていたのは母上だけだろう。気配を消して見学しに行ったのも。
俺はその日は父上に連れられてマール公爵と面会の見学をしていた。マール公爵は外国からの要人の護衛を父上に一任している。マール公爵家が組んだ視察の予定に合せた要人警護。王族の警護にはビアード公爵家が動くが、随行している貴族の警護はうちが任されている。
父上は将来的にはこの役回りを俺にやらせたいらしい。ビアード公爵家は王家に忠実だが接待役には向かないらしい。よくわからないが求められる通りにやるだけだ。
青い顔の執事が部屋に現れた。
マール公爵に囁く声を聞きとり、リオが倒れたことに驚いた。
マール公爵との話し合いは中止になり、立ち去ったマール公爵を父上が追いかけて行った。
俺は置いて行かれたのでリオの部屋を目指した。
侍女達の話声に耳を傾けると蛇の持つ弱い麻痺性の毒はすでに解毒されている。眠るリオとリオの部屋の扉から離れないルーン嬢を見かねて部屋の中に椅子を用意して座らせたらしい。
部屋を覗くとリオはぐっすりと寝ていた。ルーン嬢の不在を不思議に思っているとバタンと音がして、視線を向けるとリオが起き上がっていた。
「シア!?」
「リオ、起きたのか。大丈夫?」
「サイラス?シアは?」
「無事だよ。俺が来た時はここにいなかったけど」
「シアの泣き声が聞こえて、待っててって」
「夢じゃなくて?」
「この辺濡れてるし、まだ暖かい。まさか!?」
リオがびしょびしょに濡れているシーツを手で撫でて、焦った顔で庭園に続く開いている扉を見て、ベッドから降りようとした。
「俺が行くから休んでて」
まだ俺も子供だったから慌てて大人を呼ぶことに気付かなかったんだよ。
庭園に急ぐと泣き声が聞こえてすぐに見つけた。キラキラとした銀髪の小さい女の子が茂みの中にいた。ポロポロと涙を流しながら、花を見て首を横に振ってまた違う花に手を伸ばす。
薔薇の茂みに手を突っ込もうとするので慌てて腕を掴んで止めた。彼女の服も手も砂で汚れていて、小さい手からは血が流れている。
「何してるの?」
「なんでもなおるお花。りおにいさまに、せんせいが、ウンディーネ様、」
嗚咽まじりの言葉を繋ぎ合わせると、おとぎ話にあるどんな病気も怪我も治す青い花を必死に探していた。祈りを捧げて探せば見つかると思っている純粋な彼女に本当のことは言えなかった。ボロボロの手をハンカチで包みながら、
「はなして、さがすの、たくさんお祈りして、さがすの」
ずっと止まらない涙を流しながら、睨む彼女に怒る気もおきずに嘘をついた。うるんでいても意思の強そうな青い瞳を持つ少女は真実を教えても受け入れない気がした。
「その花はもうリオに渡したよ。お薬にして飲んでもらった」
眉を吊り上げて俺を睨んでいた青い瞳が大きく見開いて首を傾げた。
「みつけた。のんだ、りおにいさま、なおる?」
単語を繋ぎ合わせて、彼女の手を解いて頭に付いている葉を落とした。
「治るよ。もう薬が効いて起きるんじゃないかな」
「ありがとう!!いえ、ありがとうございます。ご無礼をお許しください、ノーム様」
スカートの裾を持ち、綺麗な礼をした彼女が駆け出した。向かうのはリオの所だろう。念のためゆっくり追いかける。
部屋を覗くと扉のすぐそばでリオに抱きついて号泣するルーン嬢。リオはベッドで休めって言ったのに、部屋をウロウロしてたんだろうな。いつも落ち着き、他人に全く興味のないあのリオが大事に抱きしめながら頭を撫でている。
俺はリオがあんなに穏やかに優しく笑うなんて知らなかったよ。
「ごめんなさい。わたしのせいでリオにいさまが」
「シアが無事でよかったよ」
あとでさらに事情を聞いて驚いたのはこの時は蛇を贈った夫人への粛清が行われていたらしい。公爵子息と公爵令嬢を危険に曝した家は姿を消した。邸は更地になっていた。
この日からマール公爵家に蛇を贈るのは禁忌になった。
そして、リオの部屋は結界で覆われていたため誰も付き人はいなかった。まさかルーン嬢が破って外に出るとは誰も思わなかったみたい。ルーン嬢を慰めるためにお菓子を用意して戻ってきた侍女が汚れているルーン嬢を見て顔を真っ青にしていた。それでも抱き合う二人の邪魔はせず、静かに控えていた。
ようやく泣きやんだルーン嬢をリオが抱き上げてお菓子を食べさせて笑わせていた。精霊様が助けてくれたとニコニコと笑顔で話すルーン嬢を見つめるリオの顔はわかりやすい。
この時、俺はルーン嬢がリオにとって特別だと気づいたのに、リオはなかなか気づかなかった。
ルーン嬢が特別だと気づくのに3年もかかるのは予想外だった。
確か9歳頃かな。
私用でリオから俺に会いに来ることはない。先触れもなく突然うちに訪ねて来た。
マール公爵子息の接待は最優先、訓練をしていた俺はすぐに中断して待たせている自室に向かった。
扉を開けるとお茶を飲んで待っていると思ったリオがカップをひっくり返していた。
汚れたのは床であり、リオが無傷なのは流石だけど。
さすがに2杯ひっくり返したからもうその日はお茶を出すのは止めたよ。
リオは下を向き何も話さず、沈黙が続いていた。様子のおかしいリオをどうするか悩んでいると、ようやく顔を上げた。
「俺おかしいかもしれない」
今のリオがおかしいのは俺にもわかるよ。リオがお茶をひっくり返すなんて、他国に宣戦布告されるよりもありえないことだと思ってたし。空気を読んで口にはしなかった。
「なにが?」
「シアが可愛くて仕方ない」
リオの真顔で呟いた言葉に俺はお茶を吹き出しそうになった。
ルーン嬢は誰が見ても可愛いと思う。
何度か挨拶したけど、小柄で美しい銀髪に色白の肌に人形のように整った顔立ち。綺麗な青い瞳を細めて可愛らしく笑う彼女は将来絶対に美人になると思う。レイヤ様に抱っこされて子供らしく笑う顔もさらに可愛い。マール公爵邸の妖精という通り名を兄上から聞いた時は驚いたけど納得したよ。
近くにいすぎて、今更ルーン嬢の可愛さを自覚したのか?さすがにあのレベルを普通と認識するなら友人の審美眼が心配になる。
「今更?」
「冗談で婚約してって言われたら、驚いて何も手につかなくて、シアの顔見れなくて」
手で顔を覆ったリオの指の隙間から見える頬は赤い。うん。読めたよ。挙動不審の理由もよくわかった。
「へぇ」
「でも俺はロリコンじゃない」
ロリコン?
首を横に振っているリオはもしかしてバカなのかな。ルーン嬢は小柄だけど、
「3歳差なら合法じゃない?」
「従兄妹だ」
フラン王国の法で許されていない婚姻は直系同士。祖父母と孫、親と娘、兄弟と姉妹である。たとえ義理でも養子であっても家族の縁を結べばその対象とは一生婚姻は許されない。廃嫡されてもそれは変わらない。血が近すぎると魔力の継承に影響が出るらしい。血を濃くしようと直系同士の縁に拘り子孫が遺せず滅んだ家があるらしい。俺は母と関係を持つなんて恐ろしくて考えたくない。
従兄妹同士の婚姻は問題はなく、珍しい話でもない。そんな常識をリオが知らないはずはないんだけど。
「結婚できるね」
「結婚」
黙ったリオの顔がさらに赤くなる。こんなにわかりやすい友人は初めてだ。
「想像した?自分の隣で綺麗なドレスを着て笑ってるルーン嬢。顔、真っ赤だよ」
「やっぱり……」
鈍いよな。赤面して両手で顔を覆って固まってるリオなんて初めて見たよ。
「思ってる通りだと思うよ」
何度かこのやり取りを繰り返し、認めるまでの挙動不審がおかしくて笑いを堪えるのが大変だった。
さすがに腹を抱えて笑うのはリオが帰るまで我慢したけど。
自覚してからリオのルーン嬢への溺愛が始まり、マール公爵邸を訪問してもルーン嬢に偶然会うことはなくなった。
リオが自覚したのに神様は意地悪で、すぐにルーン嬢が殿下に見初められた。
俺はどう慰めたらいいか悩んでたけど、リオは気にせずルーン嬢を溺愛してた。
ただ神様はリオを見捨ててなかったんだ。
ルーン嬢の無属性がわかり、王妃候補から外れた。
その後リオとルーン嬢が婚約。
ルーン嬢には申しわけないけど、無属性の君に感謝してるんだ。
彼女を守るために一心に努力する一途な友人の恋が叶うチャンスだから。
魔力さえあればクロード殿下の婚約者に指名されたのはルーン嬢だっただろう。それに殿下の婚約者に選ばれなければ、公爵家の嫡男が彼女に縁談の申し入れをしただろう。ルーン公爵家は本家の男児を他家には出さない。ルーン本家の男児は治癒魔導士としてルーン領で魔導士の育成や統治に当たっている。
他家に出すのは令嬢だけ。そして宰相一族であり国で一番栄えているルーンの後見が欲しい家は多く、公爵家三男のリオが婚約者に選ばれたのは無属性だったから。魔力のない貴族令嬢の価値はないに等しいから。もしもルーン嬢に魔力があれば、リオが相応しくない婚約者と言われただろう。
婚約者になって安心するかと思ったけど違った。
最近はルーン嬢も成長して綺麗になったから特にかな。
リオの牽制やルーン嬢を害する人への報復も容赦ない。
彼女は知らないみたいだけど・・。
リオは相変わらずルーン嬢以外には無関心で、令嬢には冷たいし友好的に接するのはルーン嬢の味方の令嬢かなにか思惑があるときだけ。貴族らしいよね。
優秀なのに恋愛が不器用な友人をどう宥めようかな。
一途な友人の恋が成就するように暴走を止めつつ軌道修正しないといけない。
リオはルーン嬢の暴走癖を指摘するけど、お互い様というかリオのほうがよっぽどだよ。
もちろんリオがルーン嬢への威厳を保てるように教えたりはしないけど。
本人達は気付かないけど似たもの同士。
物騒なことを呟いているリオは生徒会に呼ばれて行った。
この時の俺はリオの不安が的中し、機嫌が悪くなる出来事だらけの野外訓練が行われているなんて思ってなかった・・・。
苦労して宥めた友人を弟がどん底に落とすことになるとは予想外だった。
そしてどん底に落ちた友人が荒れ教室が恐怖に支配される日が待っていることも。




