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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
番外編 家族の記録

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元公爵令嬢の記録 第二十話 

エイベルが訪ねてきました。私の短い髪を見て驚いてます。すぐ顔に出る所は昔から変わらず笑ってしまいます。


「お前、大丈夫なのか?」

「はい。今日はどうしたんですか?」

「レティシア、破れない結界をはりたい」

「知りません」


エイベルに困った顔で見られますが当然です。破れない結界なんて存在しないと思います。


「魔封じの結界に閉じ込められたらどうする?」


エイベルの言葉に私は自分の役不足を知りました。魔力がない設定の私が答えられる質問ではありません。


「リオに聞いてください。私は魔法のことはわかりません。最近は新しい結界の研究を夢中でしてますよ」

「マールが俺に教えてくれるわけないだろうが」

「頼めば教えてくれますよ。リオを呼びますか?」

「いや、いいよ。せめて自分より純度の高い魔石の結界を破る方法を知りたいんだが」


自分よりも魔力のある術者の結界の破り方ですか。

その質問なら答えられます。魔石と魔法陣を使った魔法は学生時代から使ってましたので。魔石で作られた結界と魔力で生み出した結界は構築が異なります。魔石を使わない結界は術者を倒すか、結界の構築以上の量の魔力をぶつけて壊します。ただ魔石と魔法陣の結界は違います。


「魔石に違う属性の魔石をぶつけ続ければいずれ魔石が爆発するので結界は壊れます。魔法陣は基本一つの属性しか受け入れません」

「は?」


驚いた顔をしてますが基本ですよ。


「知らないんですか?」

「初耳だよ。同じ属性は駄目なのか?」

「波長があえば逆効果です。リオの魔石で作った結界はリアムは壊せません。魔力が似ているので逆に結界に魔力を与えてしまうので強化されます。ただティアの作った魔石をぶつけ続ければ壊せます。危ないんでおすすめできませんが。一番簡単なのは魔石に触れないように魔法陣を破いて捨てることですが」

「自分以外の属性の魔石も常備するのか」

「魔法陣にも相性がありますから。弱いものなら全属性もありますがすぐに、解除できるので実用的なものではありません。風の魔石は風の魔法陣を使うのが一番効果的ですよ。リアムとティアにはお互いの魔石を持たせてます。あげますよ」


瓶の中からお腹の子のために作った魔石を4つ程渡します。


「は?」

「お父様やエディの作った魔石です。水の魔石は便利ですよ。ただの魔石なので治癒効果はありませんが」

「いいのか?」

「はい。治癒効果も欲しいですか?」

「は?」


もう一つ魔石を取り出して、指を切って血を吸わせます。先ほどからずっと驚いた顔になってます。

エイベルに魔石を渡します。

「大怪我でないなら治ります。」

「は?」

「ルーンの血は治癒を高めます。直系一族なら血の効果を知ってますよね。その顔知らないんですか?」

「ああ。知らない」


強い魔力の一族の血には特性がつきます。ルーンは水の魔導士の始祖の一族です。たぶん殿下の転移魔法も血を使った魔法だと思います。マールやビアードにも特性があると思いますが詳しくは知りません。以前、セリアがリオに血を提供してほしいとお願いしてましたが断られてました。私は分けてあげたら、リオに物凄く怒られました。懐かしい記憶ですね・・。



「エイベル、もう少しお勉強したほうがいいですよ。セリアに頼んで調べてもらうか、前ビアード公爵に聞けばわかりますよ。ビアード公爵を継いだんなら、しっかりしてください」

「お前の知識が異常だから」


私なんてそれほどではありません。リオやセリアの知識とは比べ物になりません。

事前に用意した魔法陣をまとめたノートを渡します。エイベルに渡せば、有効活用してくれるでしょう。私が王国のためにできるのは情報提供くらいです。


「使ってください。私が教えたことは内緒にしてください」

「レティシア?」

「今まで作ったり調べたものの中で有効なものをまとめてあります。きっとエイベルなら自分で魔法陣を作れると思いますが。よく考えて使ってください。」


エイベルにじっと見つめられています。クロード様のお傍にいるエイベルが魔法の知識がないのも、弱いのもまずいです。リオをクロード様から奪った私ができるお手伝いはこれくらいです。


「本気でリオに魔法を学びたいなら、説得しますよ」


私は絶対安全と思っていたルーン公爵邸で攫われました。昔の事件のこともあります。私より危険な場所にいるエイベル達こそ力を持たないといけません。悩んでますね。顔を上げた、強い瞳で見つめられます。


「お前、本当に大丈夫だったんだよな?」


珍しく本気で心配してますね。


「はい。」

「マールに頼んでくれるか?」


エイベルの決断の速さはすごいです。きっと近くで聞いてるリオを呼びましょうか。


「リオ、お願いできます?」

「いたのかよ!?」


エイベルの大きな声に笑ってしまいました。

エイベルの面会のことは話してありました。最近はずっと家にいます。仕事はエディが持ってきてくれるそうです。出てきたリオに気まずい顔をしています。エイベルはリオが苦手なんですよね・・・。


「驚きました?エイベルは魔力がない私よりも知識がないのはまずいですよ。危機感持ってください。リオも新しい魔法の訓練相手を探してたでしょ?うちならエディがいるのでどんな怪我をしても大丈夫です。」


にっこり笑いかけるとリオは笑顔で頷いてくれました。


「シアの願いなら叶えるよ。」

「詳しいことは二人で決めてください。私は退散します。庭や家を壊さないでくださいね。失礼します」


眠くなったので、お昼寝します。二人で積もる話もあるでしょう。

私も負けないように修行をしたいけど、今は安静第一です。ルーンの立派な跡取りを生まないといけません。エイベルが強くなれば一安心です。クロード様も強いですが、世界にはもっと強い方もいます。王国の未来のために頑張ってくださいませ。私も出産が終わったら、リオに修行をつけてもらいましょう。力はいくらでもあっても困りません。大事な我が子を守るために努力しないといけません。


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