表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
番外編 家族の記録

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

187/207

リアムの日記6

リアムです。ステイ学園の1年生です。悩みはティアが授業中に寝てしまうこと。

最近は母様も慣れたのかお手紙を出すと翌日には返事をくれるようになった。ティアは母様と嬉しそうに文通している。


「ルーン、シエルを貸してほしい」


マートンがティアに絡んでいる。あいつが母様にご執心なのはわかるけど、最近多すぎないか。


「嫌」

「頼むから。代わりにうちの侍従貸すから」

「いらない。シエルはティアの侍女だもん」


二人の間にはいることにした。喧嘩じゃないから平気だろう。


「マートン、どう考えてもおかしいだろ。手が足りないならわかるけど」

「レティシア様のお話を聞きたいなら、自分のお母様か叔母様に聞けばいいじゃない」


ティア、なんで挑発してるの・。


「母上はレティシア様を嫌っている。叔母上はそんなに詳しくない」

「アリス様の嫁がれたグランド伯爵家ならレティシア様のお話はいっぱいありますよ。レティシア様はサイラス様を尊敬してたし、ステラ様はお友達だもの」

「なんで知ってるんだよ」

「ティアはルーンだもん。マール公爵夫人もルーン公爵家のみんなもたくさんお話してくれるもん。もちろんシエルも」


ティア、どこでその人を馬鹿にした笑いを覚えたの?その顔、母様の前でやらないでね。


「ルーン公爵邸にはレティシア様の肖像画もたくさんあるもの。」

「こざかしい・・・。マールってリアムも詳しいのか!?」

「俺はそんなに。マール公爵夫人はティアを可愛がってるから、ティアに頼まれてよくお話をするんだよ。レティシア様はマール公爵邸によく行ってたみたいで」

「映像魔石はあるか」

「ない」

「俺も行きたい」

「無理」

「二人はなんで休養日に帰るんだ?」

「予定があるんだよ」


ティアがまた嫌な笑い方をした。

「ティアとリアムはねレティシア様のお母様のローゼ様とエドワード様に修行をつけてもらっているの。こないだはレティシア様の得意な曲を演奏してもらったの。お、レティシア様のバイオリンももらったの」


そういえば、昔、母様が使っていたバイオリンを欲しいとねだったのはこのためだったのか。新しいのではなくていいのか、母様は不思議がってたけど・・。


「リアム、お前の婚約者ずるいだろう」

「ティアはレティシア様が好きだから仕方ない。僕が出会った時から大好きだったよ」

「なんでうちは派閥が違うんだよ。リアムの侍従に聞けばわかる?」

「僕の侍従は話すの嫌いみたいで全く話さないから無駄だよ」

「なんでそんな奴を連れて来たんだよ」

「さぁ。父様が選んだから知らない。」

「マールの招待状くれ」

「嫌だよ。それにうちってマートン侯爵家嫌いなんだよ。マール公爵夫人のエレン様が・・・」


一番嫌ってるのは父様だけど。母様になにをしたんだろう。


「友達だろう?」

「僕はティアが一番大事。ティアが嫌いなマートンのために動かないよ」

「母上のせいだよな。過去にとらわれても仕方ないだろ?」

「過去は消えないよ。そういうなら諦めろよ。レティシア様だって過去の人だろう。」

「違う。レティシア様は」

「なんで自分の母親と同じ年の令嬢にそこまで入れ込めるの?」

「年の差なんて関係ない。リアムはレティシア様のすばらしさを知らないから言えるんだ。きっと今も少女のような容姿をしている」


大丈夫だろうか?語りだしたマートンは長いから放っておこう。


「マール様、ルーン様」

「はい」

「今度の休養日にクラスの皆でお茶会をするんです。よければいかがですか」

「申しわけありません。休養日は僕もティアも予定がありまして。お心づかいありがとうございます。」

「いえ」


頬をそめた令嬢を見てティアが笑っている。


「リアムはモテモテだね」

「僕はティアが一番だから」


ティアは一番が好きだから嬉しそうに笑った。

令嬢達が悲鳴をあげた理由はわからないけど気にしない。父様が令嬢は悲鳴をあげるのが趣味だと言っていたから。

授業が終わったので、今日は生徒会室にいく。


「相変わらず、いつも一緒だな。用があるのはティアなんだけどな」

「会長なんですか?」

「もうすぐ茶会がはじまる。茶会は知ってるか?」

「はい」

「茶会のゲストに生徒会役員や両家の令嬢も招かれる。選ぶのは先生だが。もしかしたらティアにも招待状が届くかもしれない」

「え?」

「ルーン公爵令嬢は先生方の人気も高い。心の準備だけはしておきなさい。招待状は茶会の1週間前に届くから」

「会長が言うならティアは選ばれる可能性が高いと」

「たぶんな。」

「1年生なのに?」

「令嬢はお茶会の作法は心得ているだろう。」

「1年生で選ばれることはあるんですか?」


会長が分厚いファイルをめくっている。

「毎年、ゲストとして招かれていたのは・・。二人が知ってるのは、クロード殿下とカトリーヌ妃殿下かな。あとエドワード・ルーン様。」

「エドワード様?」

「ああ。なんでかわからないけど、毎年招待されている記録があるな。普通は令嬢が呼ばれるんだけど。姉のレティシア・ルーン様と元エイミー・リール様は演者として出席されてたからゲストとして記録はないな。」

「ティア、嫌」

「残念ながら授業の一環だから強制参加だ。選ばれない可能性はあるけど、心構えだけな」

「ありがとうございます」

「さて、そろそろ全員集まったかな。会議をはじめようか」


会議は始まったけど、ティアはうわの空だ。ティアがうわの空なのはいつものことだ。

皆も気づいてるけど気にしない。会議が終わってエラム様がティアに話しかけようとするのは気付かない振りをして、書類だけもらって退室した。茶会のことは母様に相談しよう。僕にはどうしたらいいかわからない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ