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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
番外編 家族の記録

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公爵子息の記録3

エラム・ビアードです。

父上のおかげで風の天才と言われるローゼ・ルーン様に月に2回師事することになった。


ローゼ様の訓練はめちゃめちゃだ。

ただ手合わせをするだけ。特に何かを教えてくれるわけではない。見て盗めということだろう。

リアムとティアの強さの秘密はこれだろうか。

訓練の途中で意識を失った俺は目が覚めるとレティシア様が横にいた。優しく微笑む姿に見惚れてしまったのは内緒だ。ティアとそっくりの瞳に自分が映るとついティアに見られてる気がして照れてしまう。全然、ティアとは距離が近くならない。


「大丈夫ですか?」

「すみません」

「お疲れ様でした。もう暗いですが、泊まっていきますか?」


リオ様と必ず学園に帰ると約束している。


「いえ、帰ります」

「リオに送ってもらいましょう。もう少しで帰ってくるから待ってて下さい」

「大丈夫です」

「駄目です。夜は危険ですよ。ティア達にも夜の外出は許してません。お茶にしましょう。」


俺はどうやってここまで来たんだろうか。

レティシア様に言われて起き上がって移動する。


「レティシア様、どうして二人はあんなに強いんですか?どうすれば追いつけますか?」


レティシア様が柔らかく微笑んだ。


「色んな人が鍛えてくれましたから」

「誰ですか?」

「リオ、お母様、エディ、カナト様、グランド様、ステラ、クラム様、ロキ・・」


レティシア様が名前をあげるのは武術大会の過去の入賞者ばかりだ。


「あんまりにも覚えがいいものだから、おもしろがってみんな教えてくれました。最低限の自衛ができれば私は良かったんですけど。私もいつまでリアム達に勝てるか怪しいです」

「レティシア様は二人に勝てるんですか?」

「個人戦でしたら。2対1だと難しいですわ。お母様としてはもう少し勝っていたいんですが」


レティシア様が二人より強い事実に驚いた俺の顔を見てクスクスと笑い出した。


「エイベルにそっくり。顔に出てますよ。エイベルには勝てませんが私も必死に修行したんですよ。時間制限ありの鬼ごっこならリオにも負けません」


リオ様と鬼ごっこ?。俺は逃げ切れる気がしない。

そういえば父上が言っていた。


「レティシア様、俺に魔法を教えてください」

「私は魔法は使えませんわ」

「使えますよね?」

「どうして?」

「冒険者のルリは魔導士だと聞いてます」


寒気を感じた。レティシア様は変わらない笑みを浮かべている。気のせいだろうか…。


「人違いですわ。」

「他言はしません。それに魔法は母に教わったとティアが言ってました」



「死にたいの?」


体に寒気が走った。さっきとは違う。気配を辿ると、涼しい顔のリオ様が殺気を向けていた。

いつの間にいたんだろうか。


「リオ、リーファが怯えてます。やめてください」

「口は災いのもとだ。」

「お説教すべきはティアです。ルーンとビアードで戦争などしたくありません。エイベルの子ですもの。きっと言いふらしたりしません」

「その信頼はどこからくるんだ」

「エイベルは嘘をつきません。きっと息子にもそう教育してます。そんなことより学園まで無事に送ってあげてください。リオが嫌なら私が行きますよ。リーファをお願いします」

「そんなことって。俺がいくよ。手は出さないよ。今は。行こう」

「では気をつけてくださいね。行ってらっしゃい」


朗らかな顔で手を振るレティシア様とは対象にリオ様の顔は怖い。あの一瞬空気が冷たくなったのはなんだったんだろう。

馬車じゃなくて良かった。馬を走らせ、リオ様に送ってもらった。

翌日、父上から馬ではなく馬車で行けと手紙が来た。あと刺激するな。俺の行動でビアード公爵家の存亡の危機になるから気をつけろと書いてあった。

どういうことだろう。リオ様は俺には何も言わなかった。



放課後リアムに呼び出された。ティアは部屋で必死に勉強をしているらしい。


「リアム、なんだ?」

「母様の何を調べたんですか?」


嘘は許さないと睨まれている。


「魔導士のルリと同一人物。あと魔法が使えること」

「他に誰が知ってますか」

「魔導士のルリは家の者に調べさせた。他言はしない」

「今回は見逃せと言うので見逃します。僕も父様も母様やティアを害するものは許しません。あとティアはもちろん、母様に近づくのも許しません。僕、情報集めるの得意なんです。今後は十分お気をつけください。では」

「まさか」

「知ってますよ。母様に頼んだこと。ティアには教えてません。僕は負ける気はありませんけど」


リアムの冷笑はリオ様にそっくりだ。いつ気付いたんだろう。

リオ様が話すとは思えない。まさか自分の家になにか仕掛けてるのか・・・。

俺はリアムとティアが本当に血が繋がってるのか自信がなくなる。でも朗らかなレティシア様も一瞬で空気が冷たくなった。もしかして、ティアも・・。


「エラム様、いい加減あきらめてください」

「レシーナ」

「私の至福の時間を奪わないで」

「お前だって」

「余計なことを言うと落としますよ。令嬢なんてたくさんいるんだから、ティアはやめてください。私はティア達と食事をするので消えてください。貴方がいると二人が休めません」


「レシーナ様」


レシーナはリアムの声に笑顔で近づいていった。さっきまで俺に見せてた冷笑とは全然違う。俺がレシーナと仲がよくて羨ましがるやつらがいるけど、レシーナは可愛いのは外見だけだ。性格悪いのになんで気付かないんだろうか。父親同士が仲がいいので幼馴染だ。いつティア達と仲良くなったのかは絶対に教えてくれない。兄にもレシーナが怖いから秘密と言われた・・。


「ティア、リアム、私も一緒にいいかしら」

「どうぞ」

「レシーナ姉様、夜お部屋に行ってもいいですか?」

「ティア、どうしたの?」

「お勉強教えてください。ティアは1番をとるのです。」

「ティア、ちゃんと寝るんだよ」

「リアム、大丈夫よ。任せて」

「すみません。助かります」


よくある学園の食事風景だ。ティアとリアムと仲の良いレシーナはいつも俺の邪魔をする。でも俺が近づくと警戒されるからな。リアムが殺気を飛ばしてるし。

近づくのはまたの機会にするか。どうすればティアと親しくなるのかな。まぁ男の影がないだけ救いなんだけどさ。俺の味方が全然いないんだけど。俺の友人もリアム達の邪魔をするなと言う。あいつらは面白がっている。昔と違ってティアに会えるだけいいか。突然いなくなることもないしな・・。



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