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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
番外編 家族の記録

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元公爵令嬢の記録 第十一話 

レティシアです。

リアム達は休養日に帰ってきますが、真面目に学園生活を送っているので安心しています。

私は物凄く心配なことがあります。

エディはいまだに婚姻してません。婚約者も見つける予定もないようです。

エディの様子に困ったお父様から後継の相談を受けています。ルーンの直系の血と魔法を残さなくてはいけません。


リーファを抱いているリオを見ます。


「リオ」

「ん?」

「あの、もしこのまま、エディが」

「いいよ」


笑顔で了承するリオにどうしていいかわかりません。

私は何も言ってません。


「叔父上から聞いてる。もしもエドワードが後継を残さなかったらだろ?俺は婿に行ってもいいし、エドワードの養子にして育ててもいい。もしルーン公爵家に戻るなら手続きもできるよ。リアム達が卒業した後だから問題もないだろう。」

「いいんですか?」

「シアの願いは全部叶えるって言っただろう?ルーンの血を守るのは大事な役目だ。リーファが俺の色を継いでるから、次はシアの魔力で染めないとだろうな。まぁ後継にしないならそれはそれでいい。俺はエドワードは婚姻しない気がする」

「どうして?」

「さぁな。姉離れできない弟の気持ちはわからない」

「母様は子育てを手伝うから何人産んでもいいわよって。」

「叔母上に預けるのも不安だけどな。リーファが風の天才の名を引き継ぐかな。」

「リーファ次第です。伯母様みたいに魅力的な貴婦人になるかもしれませんわ。でも当分は冒険者はお休みです」


「ただいま」


休養日に帰ってきてすぐに、お母様に捕まり修行をしてもらっていたリアムとティアが帰ってきました。


「お帰りなさい。お疲れ様」


二人にお茶とお菓子を出しましょう。


「父様、母様、ティア、ルーン公爵になりたい」


ティアの言葉に持っていたカップを落としました。リオが魔法で浮かせてくれたので割れてません。


「母様」


リアムがカップを渡してくれました。


「僕がやるよ。座ってて」

「ごめんね。ありがとう」


後でシエルを呼びましょう。


「ティア、もう一度言ってくれる?」

「ティアはルーン公爵になる」


聞き間違いではありません。


「ティア、なんでなりたいか教えてくれる?」

「内緒」

「それなら、俺は反対するよ。ルーン公爵は生半可な覚悟ではなれない。俺達に理由も言えない時点で無理だよ」


リオがティアを諭しています。私、こんな場合ではないのに感動しました。ティアのお願いに反対するなんてエイベルの時以来ですわ。

違います。そんな場合ではありません。


「エディは良いよって」

「ティア、エドワードが良いって言っても俺やシアが反対すれば、話は変わるよ。」

「ティア、ちゃんと説明しないと駄目だよ。僕も本当にいいのかわからない。ちゃんと相談するって前に約束しただろう。僕がしようか?」


リアムは事情を知ってるんでしょう。ルーン公爵令嬢として向き合いましょう。


「ティア、もし本気でルーン公爵を目指したいなら自分で説明しなさい。ルーン公爵本家の一員になるなら今の態度は許されません。」


「ティアは守れるようになりたいの。母様を守るために権力が必要なの。だからルーン公爵になりたいの」


うん?想像の答えと違います。リオが苦笑しています。

張り詰めた緊張感が一気に霧散しました。


「リオ?」

「悪い。昔のシアを思い出して。リアム、学園で何があった?」

「父上、マートン侯爵子息をご存知ですか?」

「ああ。あの家のことは知っているよ。色んな意味で」


懐かしいです。アリス様はノア様と婚姻されたそうです。恋が叶ってよかったですわね。

リオ、その黒い笑みやめて。リーファが真似したら大変です。リオを睨むと黒い笑みが収まりました。


「マートン侯爵子息はティアと仲が悪いんです。理由はティアがルーンに相応しくないから。麗しのレティシア・ルーンと同じ名なのが気に入らないそうです」


お友達でしょうか?


「リアム、そいつはティアのことは」

「彼が執心なのは母様です。いずれマートン侯爵を継いで、母上を探し出して、迎え入れると意気込んでいます・・。」

「生きているかもわからないのに・・・」

「生きてる確信があるそうです。今はマートン侯爵が母様の捜索を許さないようですが。彼のおかげで最近は勢力を伸ばしてるので優秀なようですが。武術はそこまででないです。何度ティアが倒しても、気にしません」

「根性のある方ですのね・・。」

「強さしか取り柄がないなんて可哀想とティアをあざ笑ってました。ただ僕が仲裁に入るのをティアは嫌がるので」

「母様、ティアはあんな人がお父様になるなんて嫌です。分家の力では侯爵家には敵わないって。」

「お父様?」

「ティアが心配していることには絶対にならないから安心して。マートン侯爵家から縁談が来てもルーン公爵が断ればそれで終わるから」

「でもあの人、ズル賢いんです。」


必死に心配しているティアの頭を撫でます。


「ティア、きっと勘違いですよ。こんな年上のおば様を好きになったりしませんわ。どうにもならなければ、私がお話しますわ。実物を見れば幻想なんて崩れますわ」

「駄目。母様は絶対に会っては駄目」

「リアム?」

「学園に絶対に来ないで。絶対に駄目」

「そこまで嫌がられ、」

「ティアの父様は俺だけだよ。心配するな。父様はそんなやつよりも厄介な奴らを倒して母様と結婚したんだ。だからルーン公爵にならなくて大丈夫だよ」

「でも、ルーンは後継がいないからこのままだと」

「それはエドワードや大人が考えることだよ。ティアは心配しなくていい。」

「ティア、女の子は公爵になれないのよ。公爵夫人にはなれるけど」

「え!?」


まさか知らないとは思いませんでした。驚いた顔をしたティアにため息を我慢します。


「ティア、お勉強を頑張ってください。母様のことは心配しないで。気持ちだけで十分ですよ。母様は強いから捕まったりしませんわ。」


「リアム、ティアを頼むよ。そいつがティアに」

「わかってます。今は敵にならないので放っておきますが、必要なら対処します」


シエル、ごめんね。2人の世話は大変よね。

エディに頼んでお給金あげてもらおうかな・・。翌年クロード殿下が即位し、女性の就労支援がはじまります。女公爵も認められ、ティアの願いを叶えられる道ができるとはこの時の私は思いませんでした。後の世のクロード殿下とカトリーヌ妃殿下の治世による改革時代の始まりです。レオ様は芸術の御曹司として名を残すのも先のお話です。


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