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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
番外編 家族の記録

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リアムの日記 1

リアム・マールです。

ステイ学園の1年生です。


僕は大好きな母様とティアを守るためならなんでもする。でもわざわざ学園に入学する理由がわからないから父様に聞いた。

エディに学園のことは母様ではなく父様かエディに聞いてって言われたから。

理由はわからないけど、母様がエディの言う事は意味が正しいと教えてくれたから僕はエディの言うとおりにいつもしている。


「父様、どうして学園に行くの?勉強なら父様達が教えてくれればいいのに」

「強いだけだと足りないからな。守ることも成し遂げたいことも、一人でできることなんてたかがしれてるから。俺は昔からレティシアを守りたかった。強さと権力と金さえあれば守れると思っていた時期があるんだ。でもレティシアが姿を消して、探しに行くとき、たくさんの俺やレティシアと縁のあった人達が助けてくれた。学園で人とのつながりを学んでこい。リアムが生きていく上で信頼できる人を探してこい。」

「父様?」

「それにいつまでも守ってやりたいけど、俺達はいずれ先にいなくなる。俺達がいなくなっても、リアムが、これはまだまだ先の話だな。今はなにがあっても俺やエドワードがなんとかしてやるから気楽にいってこい。ただ」

「うん。わかってる。ティアはちゃんと守るから任せて。」

「流石、俺の自慢の息子だ」


将来のために必要なことか。

父様は僕には厳しい。でもそれは期待しているからってサイラスが教えてくれた。父様は昔から誰よりも努力して強くなったのは内緒だと教えてくれた。


「リオ、やっぱり私も行きたいです。瞳の色さえ変えれば」

「シア、大事な時期だから大人しくしてて。ロキがいるから大丈夫だよ。」

「でも、」

「リアムもティアも優秀だ。それにシエルもついてる。」

「母様、僕たちは大丈夫だよ。休養日には帰ってくるよ」

「うん。ティア、頑張る。お休みには帰ってくるよ。だから待ってて」

「二人共気を付けて。ちゃんと困ったら相談してね。」

「リアム、頼りにしてる。ティア、男には近づいては駄目だからな」

「リオ!?」

「お二人共、そろそろお時間です。よろしいですか」

「悪い。シエル頼んだ」

「お任せください。」


僕達は母様たちに手を振って馬車に乗り込んだ。

父様の言う通り僕たちは視線を集める。見られてることを意識して行動しなきゃいけない。

ティアは視線に戸惑ってるので大丈夫と頭を撫でて手を引いて進む。父様やエディの予想通り可愛いティアに男の視線が集まる。しっかり守らないとと気合をいれる。

僕達は生徒会に誘われたから二人で行動するならという条件で役員を引き受けた。

ティアとは寝る時以外は、ほぼずっと一緒にいることにした。


入学して二日目の朝、ティアについているはずのシエルに起こされた。


「シエル?」

「リアム様、朝早くにすみません。ティア様が寮の前でお待ちです」


僕は急いで支度をして寮の前に向かった。


「リアム」


抱きついてくるティアを受け止める。


「ティア、どうしたの?」

「さみしい。お家帰りたい。」

「え?」

「一人で寝るのも嫌。ティアは帰りたいけどシエルは駄目って」


どうしようかな。


「ティア、食事は特別室で一緒に食べよう。離れるのは寝る時だけだよ」

「さみしい。」

「もうすぐお姉さんになるんだろう。今のティアをみたら母様が心配で学園に来るよ」

「それは駄目。今は大事な時期。それに危険がいっぱい」

「そうだね。今度の休みに帰ろう」

「シエルは良いって言うかな?」

「大丈夫。外泊届を出せば。あと数日我慢できる?」

「ティアは立派なお姉様になる」

「ああ。きっと父様が褒めてくれるよ」


たぶん。母様はこんなに早く帰ってきたら心配するだろうな。

ごめん。母様。長期休みまでティアは我慢できません。それに僕も会いたい。

その後のティアは家に帰ることしか考えていなかった。

授業もぼんやり聞いている。友達も作る様子がない。お昼も庭園で食事をすますと気持ちよさそうに僕の膝の上で眠っている。たぶん、夜よく眠れてないんだろうな。シエルが微笑ましそうに見ている。

「シエル、どうしたの?」

「いえ、お嬢様もよくリオ様のお膝で眠っていましたから。どうしてもお二人を見ると思い出してしまいます」

「詳しく教えて」


シエルが母様の侍女だったのはなぜか有名である。

クロード王太子殿下が在学した時期は黄金時代といわれたくさんの伝説がある。その中で、お妃のカトリーヌ様よりも母様の話が人気みたい。

カトリーヌ様も母様が大好きだったので、心配はいらないってロキが言っていた。


ここの生徒の憧れは母様と父様、エイミー様とレオ様の夫婦みたい。

僕とティアを見て、涙を流す先生もいた。


「こんなところにいたのか」


厄介な相手に声をかけられた。


「ティアは寝ているので、邪魔しないでください」

「リアム、少しだけ話をさせてくれないか」

「嫌がってるのでお控えください。令嬢に人気のエラム様のせいで可愛いティアが令嬢達にいじめられたら大変です。」

「そんなことさせない」

「もちろん僕が守ります。でも余計な敵は増やしたくないんです。ティアの邪魔なんで消えてください」

「リアム、なんで俺が嫌いなの?」

「ティアと母様に近づく男は排除するだけです。」


「エラム様、お二人のお邪魔はいけません。行きますわよ。マール様、失礼しますね」

「ありがとうございます。」


笑顔を作ると令嬢は頬をそめてエラム様を強引に引っ張っていってくれた。

名前は知らないけど、邪魔ものを排除するのはありがたい。


「無自覚に人を動かすのはお母様譲りかしら・・」

「シエル?」

「いえ、なんでもありません」


僕は邪魔者はいなくなったのでもシエルの話を聞きながらティアの安眠を守ることにした。

まさか僕とシエルの話に聞き耳を立てている令嬢達がいるとは思わなかった、

僕達がレティシアとリオを大好きだと知った令嬢から物語を贈られるのは先の話。

入学してからティアの好きな純愛物語のモデルが母様と父様と知ったティアが興奮して余計なことを口走るのもまだ先の話である。

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