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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
番外編 家族の記録

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元公爵令嬢の記録 第八話

ごきげんよう、レティシアです。


とうとうリアムとティアが学園に行ってしまいました。

ずっと一緒だったので寂しいです。二人の乗った馬車を見送っても中々室内に入る気はおきません。

もしかしてお母様もこんな気持ちだったのでしょうか・・。


「シア、中に入ろう」

「行ってしまいました。」

「そんなに心配しなくて大丈夫だよ」


リオに肩を抱かれて別邸に帰ります。ここに留まることは許してくれない雰囲気です・・。リオは物凄く過保護です。本当はお腹の子はすでに産まれているはずでした。ただ成長が遅い為、セリアととエディが力を貸してくれます。もうすぐ産まれる予定です。


私は二人が旅立ち寂しいですが、二人にとっては胸を踊らせた日々の始まりです。

きちんと祝福しないといけません。


「あの二人にも素敵な出会いがあればいいですわ。」

「学園、卒業したかった?」


リオに真剣な顔で聞かれるのはどうしてでしょうか。

そんなこと考えたことありませんでした。


「考えたことありませんでした。ただ私が国にいればエディやロキに子供の時間をもっとあげられたのかなぁって。背伸びして一生懸命頑張ってる二人を見ると誇らしさと共に切なさが胸をよぎりますわ。」


振り返れば私は旅立つまでは、たくさんの人に守ってもらってましたもの。

リオやセリアをはじめ頼りになる友人にも恵まれました。

一人で足掻いてるつもりでしたのに、いつも腕をひいてくれるのはリオでした。

この人は昔から頼りになりましたわ。



「あの二人を子供と言うのはシアだけだよ。俺を置いてったことにはないの?」


リアムとそっくりな拗ねた顔に笑ってしまいます。あの時は・・・。


「血まみれのリオを見て決めました。私を守ってリオがいなくなるなんて、耐えられません。もう少し早く動いたらリオが怪我しなくてすんだのかな」


「俺はシアの為なら命もおしくない」

「守らなくていいから、生きてください。」

「バカ。俺の未来はシアのものだよ。シアがいない人生なんていらないんだ」


リオもリアム達が行ってしまって寂しいんでしょうか・・。感傷的になってますね。背伸びをしてリオの頬を引っ張ります。


「頼りになるお父様はどこにいったのでしょうか。この子に聞かせる話ではありません。」

「俺達の子供なら大丈夫だ。」


子供・・。

「リオ・・。しばらく寂しくなりますね。そういえば、もし私がルーン公爵令嬢に戻れば復学できますか?」

「俺はシアが学園に通うなんて許さないよ」

「駄目ですか・・。確かに制服はもう着れる年ではありませんね。結局私は4年生にはなれないんですね」

「でもシアの恐れた監禁は回避だろ?」

「そうですね。今世はおかげで楽しく過ごせました。リオにはいつもお世話になってますわ。」

「次があるかはわからないけど、俺の傍は離れるなよ」

「私は幸せなので、もうお腹いっぱいです。平穏に暮らしたいです。3度目は遠慮したいですわ。でも平穏って中々難しいですわ。」


やっぱり賑やかなリアムとティアがいないと寂しいです。リオは私を気にしていつも傍にいてくれます。

久しぶりにリオは出かけたので、セリアとお茶をしながらのんびり過ごしていました。

出かける前に二人で話し合ってましたが、いつものことなので気にしません。優秀なリオとセリアに、凡才の私は敵いません。わからないことは気にするだけ無駄ですわ。


「母様!!ただいま」


マール公爵家の別邸にティアの声が響きました。

抱きついてくるティアを受け止めようとするとリオがティアを抱き上げました。

リオ、いつの間にいたんですか!?


「おかえり。シアに飛びつくのはやめような。今は大事な時期だから」

「父様、ただいま!!」



「リオ様、デレデレね。まだ学園始まったばかりなのにもう帰ってきたのね」


セリアが呆れた顔でリオを見てます。


「ティア、先に行かないでよ。淑女が走らないで」

「学園じゃないからいいの!!」


リアムも帰ってきましたのね・・。

まだ学園が始まって一週間も経っていません。


「おかえりなさい。リアム。どうしましたの?」

「ただいま母様、セリア。ティアが家に帰りたいって。もう初日の夜にはホームシックで。なんとか休養日までは宥めたんだけど」

「そう。リアムはティアに付き合って帰ってきてくれましたのね。」

「僕も母様に会いたかったから」


妹が怒られないように庇ってあげるリアムは優しいお兄様です。

エディはしっかりしていたので私がしてあげられなかったですが・・。

ティアは1日でホームシックですか・・。気持ちはわかりますが帰ってきたんですね。

私は願うだけで、行動に移したことはありませんでしたわ。


「父様、ティアは頑張って早く起きるからここから通ってもいい?」

「ああ。いいよ。父様が毎日送ってあげるよ」

「リオ!?何を言ってますの!?」


この二人は駄目です。リオはティアのお願いはなんでも叶えてしまいます。

権力は使うことに意味があるなんて言葉は聞こえません。


「リアム、ティアはどうしましたの?」

「ティアは一人で眠るのが嫌みたいで・・。今まではずっと僕や母様と一緒に寝てたから」

「レティ、一人で寝る習慣もつけずに送り出したの!?」

「私もエディも幼い頃から一人で寝てたから自然にできるものかなって・・。どうしましょう・・。リアムの縫いぐるみでも作ろうかしら。セリア、お話できる縫いぐるみなんて持っていませんか?」

「話せる?」

「学園内は結界があるから外部との連絡はとれません。ティアもいつでもリアムとお話しできれば、我慢できますかね・・。でもずっとティアのお話に付き合うのはリアムが大変でしょうか・・」


私は常にエディのお話に付き合う忍耐力はありません。

子供だったので、エディの頻繁に来るお手紙の返事も正直面倒でした。エディ、優しくないお姉様でごめんなさい。


「母様、僕はティアのためになるなら構わないよ」

「セリア、リアムが良い子すぎて私はどうすればいいんでしょう。」


頭を撫でると嬉しそうに笑うリアムが可愛いです。


「レティも中々の親ばかよね・・。」

「リアムとティアは魔石も魔力の操作もできます。必要ならリオの魔力も提供します。」

「リオ様はここから通ってほしいのに?」

「ありえません。殿下でさえも寮で過ごしていたのに。権力があってもそんなことで利用するなんて許されません。シエルはきっと一緒に寝てくれません。」

「わかった。作ってみるわ」


苦笑しながら引き受けてくれるセリアに感謝です。物騒な物以外もセリアは作れるんですよ。本人にやる気があれば・・。


「ティアにはリアムの縫いぐるみを作ればいいでしょうか」

「母様、僕は母様の縫いぐるみが欲しい」

「しっかりしてるけど、リアムも子供ですね。お友達に笑われてしまいますわ」

「いいよ。やっぱり母様がいないのは寂しい。」

「セリア、どうしましょう。私のリアムはきっと学園の生徒の心を鷲掴みですわ。リオも昔からモテモテでしたもの。リアムがお嫁さんをつれてくるのは複雑ですわ。いつまでも私の可愛いリアムでいてほしいのに。」

「母様、僕は母様とティアが一番だよ」

「優しい」

「レティ、しっかりして。この親で大丈夫なのかしら。リアム、学園通いたくないなら飛び級すればいいじゃない?」

「ティアがそんなにお勉強好きじゃないんです。選択授業もくじ引きで決めようとしたし・・」

「ティア!?」

「母様、安心して。ちゃんとティアと話して決めなおしたから。シエルが僕達を見て懐かしいって言ってたよ」


シエル、どういう意味ですの?


「リアムが一緒で良かったです。でもティアは自己責任だから好きに過ごしていいですよ。」

「大丈夫だよ。ティアのことは僕が責任を持って守るから」

「セリア、ティアはいつも近くに優秀なリアムがいたから、頼りないあんなポンコツエイベルを好きになったんでしょうか・・」

「ビアード様も令嬢に人気があったでしょ?」

「それは公爵嫡男だからでしょう?エイベルよりもうちのリアムの方が優秀ですよ。うっかりした感じが良かったのかな。今さらですが、ティアの殿方の趣味って大丈夫なのかしら・・。変な男の子連れてきたらどうしましょう。でもティアは可愛いけど、私に似て平凡な容姿だから大丈夫かしら・・?」

「ターナー伯爵家の美女三姉妹の子供のレティもティアも美人と評価されるわよ」

「セリアに言われても説得力ありません。私は平凡な容姿ってよく言われましたもの」

「母様、それは誰に言われたの?」

「たくさん言われたので忘れましたわ」

「僕の母様に・・」

「リアム、貴方のお父様が対処したから大丈夫よ。レティ、ティアは美人だから自信を持ちなさい。」

「ティアにお説教しないといけないでしょうか。リオに任せたいけど、駄目ですよね・・・」

「リオ様はティアにはお説教できないわ。」

「あんなに口うるさいリオを知らないティアは幸せですかね・・」


リオはティアと眠ったので夜な夜なディーネの縫いぐるみを二つ作りました。

セリアが魔道具を仕込んでくれたので、リアムとティアはいつでもお話できるそうです。

授業のある日はそれで我慢してもらい休養日には帰ってくることを許しました。

リオは家から通わせたかったみたいですが、やめてもらいました。

リオはティアに甘すぎます。

ティアの面倒を見ているリアムが心配です。早く良いお友達ができるといいのですが・・。

ティアもお姉様になればもっとしっかりするでしょうか。

まさか出産後にリアムまで家から通いたいと言い出すとはこの時の私は知りませんでした。


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