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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
番外編 家族の記録

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元公爵令嬢の記録 第七話

こんにちは。レティシアです。


私はリアムとティアの教育のためマール公爵邸にお世話になっております。

お義父様は私とリオの部屋にと客間を一室、リアムには昔のリオの部屋、ティアには昔の私の部屋を貸してくれました。

ティアは別々のお部屋を嫌がり、早く小さいお家に帰りたいって言ってます。可愛いですわ。

ティアはいつも自由時間はリアムの部屋で過ごしています。

お義父様には部屋の物は自由に使っていいと許可をいただいてます。ありがたいですね。


私はリアムの部屋にいます。昔のリオの部屋はいつ来ても懐かしいですわ。棚には外国語の本が沢山。見慣れた本が多いですね。これは?

見慣れない冊子を手に取ります。

銀髪の少女のイラストですね。しかも3冊もあります。

この本棚にあるってことは愛読書ですね。

殿方は慰め用の物があると聞きますが…。

リオ、最低ですわ。


「開いた!!」


リアムとティアが盛り上がってますね。


「リアムどうしたましたの?」

「ティアがこの箱を開けたいっていうから」

「母様、リアム凄いの!ティア開かなくて困ってたのに魔法でえいって、ティアもできるようになるかな」

「ティア、この箱は風魔法だったから開いただけだよ。水魔法ならティアでも開けられるよ」

「本当?ティアもやりたい!」


目を輝かせるティアが可愛いです。

棚に置いてある昔、リオに贈った木細工の箱を手に取ります。

まだ持っていたんですね。

中に飴を入れて蓋を閉じます。

少量の魔力で箱に結界をはります。


「ティア、この箱を開けられますか?」


ティアとリアムが力づくで開けようとしますが開きません。

リアムがアドバイスして、ティアが魔力を送ります。

リアムのセンスが凄いですわ。

結界にかかった魔力より強い魔力を与えると結界は消えます。


「開いた!!」

「すごいですわ!。リアムもティアも優秀ですわ」

「飴もらっていいの?」

「ええ。リアムとわけてね」

「母様、リアムありがとう!!」


二人が可愛いですわ。

リアムが開けた箱の中身って、風の魔法をかけて保管するなら大事な物でしょうか。

箱の中身を開けると、封筒の裏に令嬢の名前がありました。令嬢ごとにまとめてあります。沢山ありますわ。

さすがに人の手紙を見るのはいけません。この中身はリアム達には見せられません。

令嬢達からの手紙をこんなに大事に保管してるんですね。

私だけと言いながら。昔からリオは人気がありましたわ。色々慣れてましたもの…。

もしかしたら愛人がいるかもしれませんわ。

この子達の教育がなければ、ここを発つんですが。

困りましたわ。確か二人は2日間は休養日でした。決めましたわ。


「リアム、ティア、母様しばらくセリアのお家にお世話になろうと思いますが、二人はどうしますか?」

「「行く!!」」

「父様はお仕事で一緒に来れないけどいいですか?」

「うん。ティアが母様守るよ」

「僕も」

「ありがとう。ローブを着てお支度しましょう」

「ローブ着ていいの!?」

「ええ」

「嬉しい!!着替えてくる」


ティアのお気に入りがローブって大丈夫でしょうか。

お義母様に二人の気分転換に友人の家に泊まることを話すと快く送り出してくれました。

セリアは王都に家を買って住んでいます。いつでも来てねと鍵を預かっています。


「ディーネ、リオに居場所を知られたくないんだけどできますか?」

「リオからもらった魔石を置いていけば、私がなんとかするわ」

「ありがとうございます」

「お安い御用よ。」


馬を借りてセリアの家に出発です。

もちろん二人も馬に乗れますわ。

セリアの家に着きました。呼び鈴を鳴らすと白衣姿のセリアが出てきました。


「え?どうしたの?」

「しばらくお世話になりたいの」

「セリア!!」

「中にどうぞ」


リアムとティアがセリアに抱きつきます。


「セリア、ローブ似合う!?」

「可愛いわよ」

「これね、ティア、一番好きなの」


セリアが優しく笑ってティアの頭を撫でてます。


「レティ、リオ様どうしたの?」

「二人がいないところで話します。もし、リオが来てもいないって言ってください」

「わかったわ。たぶんそろそろ来ると思うけど」


呼び鈴が鳴りました。まさか!?早すぎませんか。


「どうしよう。隠れますか?」


「外で追い払ってくるわ」


不敵な笑みを浮かべてセリアが出ていきました。

セリアに任せれば大丈夫です。リアム達には静かにしてくださいとお願いしました。

しばらくすると帰ってきましたわ。


「大丈夫ですか?」

「ええ。来てないって言ったらすぐに去っていったわ」

「そうですか」


これで一安心です。ご飯にしましょう。セリアと二人で準備をしました。セリアは使用人を置いていませんのでセリアの家は自分のことは自分でするのが基本です。

食事もすみましたし、セリアに相談しましょう。


「リアム、ティア、母様はセリアとお話しがあるから遊んでてくれますか?」

「これ、どうぞ」


セリアがリアムに球体を渡します。


「これなに?」

「どうやって使うかはリアムとティアで考えて」

「わかった。頑張る」


二人は球体を抱えて客間に行きました。


「新作なの。きっと喜ぶと思うわ」

「物騒な物?」

「それはないから安心して。リアム達用に作ってみただけだから。浮かない顔してどうしたの?」


事情を説明します。リオの愛読書と大事に保管してある令嬢達の恋文のことを。

セリアがお腹を抱えて笑ってます。


「セリア?」

「うん。理解したわ。レティはどうしたいの」

「悩んでますの。愛人を受け入れるか、出ていくか。よくよく考えれば私が愛人でしょうか?手続きしてませんし、うん。すっきりしました」

「レティ?」

「でもリアム達をどうしましょう。もう国民権を取ってしまいましたし、思い切ってエディを頼りますか?それとも冒険者?でも無事に生まれるまではそんなに仕事もできませんし」

「うちに来ただけいいかな。相変わらずの暴走癖は変わらないのね」

「うーん。リアムとティアは私がもちろん育てます。風使いの訓練はお母様に頼ればいいですわ。エディも頼ってって言ってくれてるし甘えようかな」


すっきりしましたわ。ルーンに帰りましょう。


「リオ様と別れるの?」

「ええ。やっぱり好きな人と結ばれるのが一番ですわ。身重の私ではリオを満足させられませんし。子供たちには申しわけないですが…。」

「レティは平気なの?」

「寂しいですが、今は支えがありますから。リアムにティアにこの子。たくさん幸せをいただいたので本妻のもとにお返ししようと思いますわ」

「楽しそうね。リオ様呼ぼうか?」


楽しそうに笑うセリアは酷いです。


「楽しくありませんわ。リアム達に聞かせられる話ではありませんわ。」

「私が見てるわ。エドワード様が面倒みてくれると思うけど、うちにいてもいいからね。私、レティ達を余裕で養うくらいの稼ぎはあるから。」


セリアはいつも頼りになります。


「ありがとうございます。心強いですわ」

「たぶんそろそろ来ると思うわ。私はリアム達といるから二人でゆっくり話したら?せっかくだから市でも見ながら」


最後ですし、それもいいですわ。


「ありがとう。ちょっと出かけてきますわ。ディーネ、リアム達をお願いね」


ディーネがリアム達のもとに行きましたわ。

呼び鈴がなりましたね。たぶんリオでしょうか?ローブを着ます。


「セリア、行ってきます」


セリアに手を振り扉を開けると、想像通りですわ。


「シア!?」

「お疲れ様です。今日はお仕事終わりですか?」

「ああ。どうして、」


リオの言葉を遮ります。最後のデートですもの。


「たまには二人で出かけませんか?リアム達はセリアが見てくれますわ」


リオが固まってます。私が知ってしまったことに気付いたのでしょうか。気付いてないフリをします。

リオの手を取り歩き出します。久々ですわ。懐かしいですね。

一度だけここでデートしましたね。制服姿のリオも素敵でしたわ。

リオにもらったオルゴールはどうしたんでしょうか。

ルーン公爵邸にあるかな。ルーン公爵邸に帰ったら探してみましょう。

市を見て回り、小さい頃にお忍びで大道芸を見に来た公園に誘ってベンチに座ります。

楽しかったですわ。リオにたくさんの幸せをいただきました。

でも楽しい時間はここまでです。覚悟を決めましょう。


「リオ、今までお世話になりました。もう無理しないでください」

「シア?」


不思議そうに見られてます。まさか気づいてないんでしょうか。

令嬢モードで笑顔を作ります。さすがに自然には笑えませんわ。


「私も理解しましたわ。寂しいですが、あるべきところに帰っていいですよ。私はもう大丈夫です」


今まで傍にいてくれてありがとうございます。私は幸せでしたわ。


「ごめん。意味がわからないから説明してくれる?」

「さすがに私に説明をさせるのは酷いと思いますわ」

「シア、何を考えてる?」

「リアムとティアもこの子も私が引き取り立派に育てますわ。安心してください」

「シア、落ち着いて。なんで怒ってるの?」

「怒ってませんわ。悲しいだけですわ」

「ごめん。身に覚えがないんだけど説明して。最近、傍にいられなかったから?」


リアム達のことで忙しかったのは知ってます。

リオにしては察しが悪いですわね。


「もう全部知ってますの。本妻のところにお帰りください」

「シアだろ?」

「私は愛人ですわ。」

「結婚してるよな?」

「手続きしてませんわ」

「手続きはしたけど」

「はい?」

「砂の国でサインしただろ。」

「私の手元にある証明書は?」

「控えだよ。二枚書いただろ。」


確かに。2枚にサインしましたね。

一枚は練習用にではありませんでしたの…。


「正式に結婚したんですの?」

「ああ。砂の国なら戸籍もある。夫婦として受理されているよ」

「戸籍ないのに?」

「そんなのどうとでもなるよ。」

「私が本妻で相手が愛人?」

「愛人ってなに?」

「リオの隠してた箱の中身を見てしまいました」


困惑した顔をしていたリオが突然笑い出しました。

え?おかしくなりました?

この状況でお腹を抱えて笑うってどういう神経してるんでしょうか・・。


「なんでそれが愛人になった?」

「大事に保管してある手紙を見ればさすがにわかりますわ。中は読んでいませんが」

「ありえない。涙でそう。不安にさせてごめんな。俺の本妻も愛人もシアだけだよ。」

「騙されませんわ」

「あの手紙の宛名は見た?」

「見てませんよ」

「昔、シアがもらった嫌がらせの手紙だよ」

「恋文ではないんですの!?」

「そんなの受け取ったことないよ。」

「あんなに人気があったのに!?」

「全部断ってた」

「嘘でしょ。リオがもらったことないなんて」

「シアが書いてくれなかったから仕方ない」

「私だって貰ったことありませんもの」

「シアが貰えなかったのは仕方ないよ。」

「私はリオと違って人気がありませんでしたから」

「昔からシアは俺のものって牽制してたからな。シアはどうしようとしてたの?」


じっと見つめられます。リオの笑いは収まりましたが空気が冷たくなった気がしますわ。


「リオを本妻のもとに返して、エディを頼る予定でした。」

「ルーン公爵家に行く前に捕まえてよかったよ」

「本当に私以外にいませんの?」

「いないよ。シアだけ」

「でも身重の私ではリオを満足させられませんわ」

「そんなことは気にしなくていい。俺はシアが傍にいてくれれば満足だから。」

「お部屋に慰めものの愛読書があるのに?」

「は?」

「仕方がないと思いますがあの部屋は今はリアムが使ってますの。ちゃんと隠してください。あの子の教育によくありませんわ」

「俺の部屋にリアムに見られて困るものなんてないはずだけど」

「とぼけますの!?3冊も持ってたの知ってますよ」

「3冊?あれか。本当にシアはいくつになっても可愛いな。あれは全部シアの絵姿だよ」

「絵姿?」

「学生の頃、マルクから時々買ってたんだ」


はい?


「なんのために?」

「シアの絵姿を他人が持ってるなんて許せなかったから独占契約で買い取ってた。持ってるのは俺とエドワードくらいかな」

「な、うそ、え?」


マルクって…。嘘でしょ。そんなものが出回ってたの!?

待って。全部誤解ですの。恥ずかしすぎますわ。


「今日はセリアの家に泊まりますわ」

「俺も泊めてもらおうかな。」

「リオは帰ってください」

「シアが誤解したのって俺の愛情不足だろう?ちゃんと責任とらないと」


これまずいですわ。空気が冷たいのは気のせいではなかったですわ。これ、怒ってますわ。

笑顔で人を恐怖に落とすのやめてください。


「胎教にわるいですわ」

「両親の仲が良いのはいいことだろう?」

「私は身重ですわ。危険なことは致しませんわ」

「俺がそんなことするわけないだろ?俺に任せて。それとも今日はリアム達をセリアに任せて二人で外泊する?」


危険です。色んな意味で。


「そんなことできません」

「帰る?」


頷いてはいけない気がします。


「それは・・・」

「俺の愛情をわかってほしいからシアを離さないけど」

「もう充分いただいてますわ」

「俺も実感したよ。ごめんな」

「聞いてくださいませ」

「もうそんなこと思いつかないようにするから。不安にさせてごめん」

「リオ、やっぱり怒ってます?」

「まさか。俺が可愛いシアを怒るはずないだろう。折れないから諦めて」

「胎教に」


リオの顔が近づいてきて深く口づけされてます。ここ、外!!

解放されますがリオの目が怖いです。

リオに逆らえずにマール公爵邸に帰りました。

セリアにもお義母様にも苦笑されました。

リアム達と眠ろうとするのは阻止されました。

リオが怖かったです。でも愛人も本妻もいないみたいです。

まだリオと一緒にいられるのは嬉しいです。


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