元公爵令嬢の記録 第二話
こんにちは。レティシアです。
私はルリとしてリオと生活しております
なんとフラン王国に冒険者ギルドができました。
冒険者の文化がないため、依頼内容がおかしいものが多いですが・・・。
各領地を領主がきちんと治めているので必要性がわかりませんが・・・。
殿下からもらったメダルにルリとリオの名前を入れました。
リオは珍しい名前ではありませんし、貴族の名前は平民に知られていないのです。
リオは私と違って生存を見つかっても問題ないのが一番の理由ですが。
私達はマール公爵領の辺縁の村で暮らしてます。
マール公爵家次男であるレイヤ様が治めています。
平民だと貴族の権力で無理を通される心配があります。
領主のレイ兄様なら守ってくださるので甘えています。
可愛いリアム達を取られないためです。
今の情勢ではマール公爵家に逆らえるのはルーン公爵家と王家くらいです。
ルーン公爵家の権力どこまで大きくなるのでしょう。
レイ兄様は「可愛い義妹と甥達のためなら任せて」とリオに似た笑顔で受け入れてくれた時は見惚れてしまいました。
マール公爵家は優しい方々ばかりです。リアム達も優しく育ってほしいですわ。
リオは時々義兄様の元に行き、書類を持って帰ってきます。
これでお給金をいただいているみたいです。
リオからもらう生活費が中々多いんですが、本当にいいんでしょうか?
時々クロード殿下もクロの姿で現れます。
不敬は問わないそうなので、リアム達にはクロと教えてます。
村から離れているので、村人にもあまり会いません。
出かける時はローブを着ているので、謎の魔道士が住み着いたことになっています。
ただリアム達に同世代のお友達が作れないのが悩みです。
二人は仲良く遊んでますし、セリアやエディをはじめ私のお友達が構ってくれるのでいいのでしょうか・・。
ロキにはお給金が払えないため、伯爵家の仕事をしながら時々遊びに来てくださいと説得しました。4日に1回来ますので心配ですが・・・。
リアム達と遊んでくれるからいいでしょう。ロキはナギの面倒を見ていたため、子供の扱いがうまいです。
リアム達は4歳になりました。遊び相手が大人ばかりなので、年齢のわりにおマセさんです。リオは俺の子供だから仕方ないって笑ってました。
さて私はこの修羅場をどう収めましょうか。
泣いてるリアムを抱きしめます。
リアムの大泣きは珍しいです。
「ティアが、僕よりエイベル好きって。僕の一番は母様とティアなのに」
ティアがエイベルに懐いてしまいました。
エイベルに手合わせしてもらったら負けました。
エイベルはクロード殿下のお忍びの相談にきましたが、どうにもなりませんわ。私はもう諦めました。殿下がこんなに自由奔放とは思いませんでした。リオはお前がなんとかしろって怒ってましたわ。
相変わらずエイベルはリオには逆らえないみたいです。殿下のお忍びはエイベルが必死に追いかけるしかないと思いますよ。
リアムをあやしながら、様子をみましょう。
リオがティアが抱きついているエイベルを睨んでます。
「ビアード、ティア返せ」
「ティア、」
「やだ。ティアはエイベルといるの!!」
「ティア、また来るから、父様のとこに帰れ」
「いや!!エイベルはティアが嫌い?」
ティアが泣きそうです。ティア、エイベルに泣き落としは効きませんよ。
あら?効いてますわ。エイベルが困ってます。
「ビアード?」
リオの目が据わってます。まずいですわ。
「レティシア、どうにかしろ!!」
私を巻き込まないでほしいです。
リアムを抱いたまま三人の所に行きます。
「ティア、エイベルはもう帰らなくてはいけません。」
「やだ。ティアはエイベルと一緒に行くの!!エイベルの妃になるの!!」
「妃?」
「クロが妃になればいつでも一緒にいられるから、母様と一緒においでって」
クロード殿下の冗談覚えましたか・・・。リオが怖いです。思わずリアムを抱きしめる腕に力をこめてしまいました。驚く顔をしたリアムの頭を撫でます。ごめんね。苦しかったね。
「ティアがいないと母様も父様もリアムも寂しいですわ」
「たしか、お父様お世話になりました。ティアは幸せになります」
「ティア!?」
「その挨拶は誰に教わったんですか?」
「クロ!クロの所に行くときはお父様に言うんだよって教えてくれた。ティア上手にできた?」
どうしましょう。リオが固まってます。相当衝撃的だったみたいです。
殿下とは一度話をしないといけません。
エイベルの足に抱きついてるティアの頭を撫でます。
「うーん。残念ですがもう少し練習がいりますわ。ティアがもう少し大きくならないといけませんわ。でもエイベルにはお妃様がいますよ。」
「妃はいっぱいいてもいいんでしょ。ちょうあいしてもらえるようにがんばるよ」
「ティア、残念ながら今のティアではエイベルの寵愛は受けられません。」
「エイベル、ティアきらい?」
ティアが泣きそうです。エイベルになんとかしろって睨まれます。
「エイベルの側にいるには修行がたくさんいります。お母様と一緒に頑張りましょう。お父様とお母様がティアがエイベルの寵愛を受けられるように鍛えてあげますわ。公爵夫人への道は険しいですわ」
「レティシア!?」
「ティア、頑張る!!」
「偉いわ。今日はエイベルにお別れしましよう」
「エイベル、ティアが頑張ったらちょうあいしてくれる?」
「ティア、寵愛はお願いしてもらうものではありません。」
「クロはちょうあいするよって言うよ」
「まだ難しいからおいおいね。エイベルに上手にお別れの挨拶することからはじめましょう。寵愛への道は険しです」
「またお会いできるのを楽しみにしてます。エイベル、また来てくれる?」
ティアが目をキラキラさせてエイベルを見ています。エイベルは何も言いません。
笑顔でエイベルに圧力をかけます。
「もちろん、可愛い娘の頼みを断りませんよね。お兄様?」
「お前の夫を抑えてくれたらな」
「父様、エイベルまた来てもいい?」
「ティア、ビアードは忙しいから難しいかな」
リオ、空気読んでくださいませ!!
「嫌。ティア、やっぱり離れたくない」
ティアの目に涙が溜まっていきます・・・。
リアムがエイベルを睨んでます。リアムの頭を撫でて、やめさせます。
「ティア!?ビアード、ティアに手を出したら許さないからな」
「出さない。ちゃんと教育してくれ。頼むから。」
「私は二人が望むなら構いませんわ。義母様と呼ばれるのは複雑ですが」
「レティシア、ないから。俺はロリコンじゃない。」
エイベルを見つめ悲しい顔を作ります。
「私の泣き落としは効かないのに、ティアのは効くなんて悲しいですわ」
「ふざけるのやめろ!!お前の夫が怖い。」
やっぱり効きませんわ。
「最近、誰にも効きません。なんででしょうか・・」
「母様を悲しませるのは許しません」
「ちゃんとお前の息子に効いてるよ。いい加減泣き落としやめろよ。いい加減歳を考えろ!!」
「失礼ですわ。エイベル、また来てくださいね。次は勝ちます」
「まだまだ勝ちは譲らないよ。俺はここで。見送りはいらないから」
「ビアード、送るよ。シアへの無礼は覚悟があるんだよな」
「ティアも!!」
エイベルに睨まれます。この目の据わったリオは駄目ですわ。なんとかしろってことですね。確かにエイベルには無理です。
「ティア、リアムがティアに嫌われたって、落ち込んでますわ。ティアはリアムが嫌い?」
「ティア、リアム大好きだよ。リアムごめんね。」
ティアがエイベルから離れて、リアムの所にくるのでリアムをおろします。ティアはリアムに任せましょう。
リオに抱きつきます。
「リオ、エイベルなんて放っておいて一緒にいてください。ね?」
「でも」
「私よりエイベルのがいいんですか?私は殿方の友情には入れませんし寂しいですわ」
据わった目が戻ってきました。もう一押しですわ。
「たまには私もかまってくださいな。」
リオの口づけを額にうけます。勝ちましたわ。
「ビアード、気をつけて帰れよ」
エイベル、その呆れた顔はやめてください。貴方のためですよ。
エイベルを睨み返そうとするとすでに帰っていました。
「シア、寂しかった?」
「ええ。幸せですがリオを独占してた頃が懐かしいですわ」
「幸せだな。うちの天使達は早めに寝かせて今日はシアに独占されようかな」
リオの甘い視線が。これはやりすぎたかもしれませんわ。
「嬉しいですが、明日も起きれないと困りますわ」
「明日は俺が家にいるから安心して、愛されてくれればいいよ」
「リオの体が心配です」
「俺は体力あるから。シアが一番知ってるだろ?」
確かに。リオは体力おばけですわ。
「二人が起きてきたら大変ですわ」
「フウタに任せるよ。シアは嫌なの?」
時々リオは迷った子供みたいな顔をします。リオは寂しがりやの心配症です。そんなところも愛しいです。
「嬉しいですわ。今日はリオから離れませんわ」
「大歓迎」
リオの口づけを受け入れます。うん?駄目です。子供達の前で不謹慎ですわ。
その夜はやっぱり眠らせてもらえませんでした。
ティアの成長に傷ついたリオを宥めるのは大変でした。
これは先が思いやられますわ。
翌日からリアムがリオとの修行に身を入れて取り組むようになりました。
さすがリオの子供です。強くなりそうですわ。
もう少し大きくなったらアルク達に会いに行こうかな。
ティアは私の膝の上でデイーネと遊んでます。
砂の国は、遠いからまだまだ先ですね。
森の国のギルドの皆さんは元気でしょうか。ギルド長に止められたのに、挨拶もなく姿を消したので突然会いに行ったら驚かれるでしょうか。




