元公爵令嬢の記録 第一話
こんにちは。レティシアです。
私は単なるレティシアとしてリオと生活しております。
可愛い双子を授かりました。
兄はリアム、妹はティア。
マール公爵家の嫡男のカナ兄様が名付けてくれました。
二人とも可愛いですが、ティアの人気に将来が心配です。
マール公爵邸の離れを借りて生活しています。
エディは3日に1回会いに来ます。
まだ学生なのに大丈夫なんでしょうか。
「姉様、おめでとうございます」
「ありがとう。エディ」
双子を見てエディが震えてます。
具合が悪いのかと顔を覗くと目を輝かせてますわ。
「姉様、いつ帰ってきますか?」
「帰る予定はありませんが」
「僕はティアの成長を見守りたいです」
エディのこんなに興奮している姿は初めてです。初めての甥っ子達を歓迎してくれている姿は嬉しいですが、
「リアムも貴方の甥なんですが」
「勿論二人とも、可愛いです。でもティアは別格です。」
皆様、ティアばかり可愛がります。リアムを抱きしめます。
「リアムは私が可愛いがるからいいですわ」
「姉様、女神!!帰って来てください」
エディの様子が心配になってきました。
「エドワード、帰れ。シアは疲れてるから休ませろ」
今日は休養日ではありません。
学園に帰らないと行けませんね。疲れておかしくなってるんでしょうか…。
「エディ、いつでも会いに来てください。しっかり勉強して立派な公爵を目指して下さい。この子達にもしものことがあれば…」
「姉様達のためならなんでもするからお任せください。いつでもリオを捨てて帰ってきてください」
「あんまり先生困らせないでくださいね」
「ティアの婚約者を決めるときはご相談ください」
「まだ先の話です。きっと苦労すると思います」
ティア、貴方には苦労をかけるかもしれません。
リアム、私が皆の分も可愛いがります。可愛いから大丈夫ですよ。できれば優しい子に育ってほしいですわ。
***
離れの生活は使用人の力を借りずに暮らしています。
ご飯はリオが作ってくれます。リオはお金の心配はいらないと言いますが大丈夫なんでしょうか。
伯母様とセリアがよく手伝いに来てくれます。そして、エディとロキも…。
双子のお世話は慣れずに大変なのでリオがずっと側にいてくれるのはありがたいです。
リオとディーネとフウタ様がお世話に慣れていることに驚いてます。
「やぁ、レティ、おめでとう」
突然現れた穏やかな笑顔のクロード殿下に目を見張りました。
「殿下!?お一人でのお忍びは控えてください」
「私が、強いの知ってるだろう?」
「ええ。でも」
殿下には一度も勝てませんでした…。
「レティは心配症だな。抱かせてもらっても?」
「どうぞ。」
丁度、起きているリアムを渡します。
殿下、危なげなく抱きますのね。
「二人によく似てるね。父上だよ」
「殿下、ご冗談を。覚えたら大変ですわ」
「私は構わないよ。民は私の子供みたいなものだから」
さすが殿下ですわ。
「私もお父様とお呼びしたほうがいいでしょうか?」
「前みたいにクロがいいな」
「もう殿下の髪は黒くありませんわ。クロは私ではなくルリの友達ですから」
「ルリとしてならお嫁にくる?」
まさか殿下が冗談を言うとは思いませんでしたわ。
「お戯れを。私はリオの妻です。重婚はできませんわ。」
「つれないね。ちゃんとリアム達も大事にするからおいでよ。」
「私もリアム達も我が儘ですから殿下の博愛主義では満足できませんわ」
「寵愛するよ」
「カトリーヌお姉様がいらっしゃるのに。冗談もほどほどになさいませ。」
「レティが駄目ならティアを私好みに育てようかな」
「年齢差がありすぎますわ。私の子供に王妃が務まるとは思えません」
「私が守るから大丈夫だよ。二人で嫁いでくれても歓迎するよ。マールよりは資産もあるし苦労はかけないよ。ティアはどっちがいい?もちろんリアムも可愛いがるから安心して。」
眠るティアに言われても困ります。
リアムが殿下に抱かれて笑ってます。人見知りするのに珍しいですわ。
リオが見たら大変そうです。あら?遅かったですわ…。
「殿下?」
驚いた顔をしているリオが帰ってきました。
「マール、おめでとう」
「ありがとうございます」
「二人を妃にしようか迷ってるんだけど、どうだろうか?マール公爵家も優遇するよ」
「お戯れを。ありえません。シアは俺の妻で、ティアは嫁には出しません」
「先は長いし、また来るよ。レティ、リアム、ティアまたね」
殿下からリアムを受け取ります。
「お気をつけてお帰りください。リオ、おかえりない。お疲れさまです。」
リオは時々カナ兄様の仕事の手伝いに本邸に行きます。
リオに抱きしめられました。リオは寂しがりやです。
「ずっと一緒にいてくださいね」
「ああ。そろそろ旅に出ようか」
「もう少し大きくならないと心配ですわ。それにきっとエディが追ってきますわ。」
「確かにな。」
「私はリアムが心配です」
「リアムがどうした?」
「みんなティアばかり可愛いがります。リアム、こんなに可愛いのに」
「リアムは大丈夫だよ。シアが大好きだからな。シアが抱かないと笑わないだろ?」
「殿下にも笑ってましたわ」
「複雑。本当?」
「ええ。殿下が父上って教えてましたわ。全ての民は殿下の子供ですって。」
「次会ったら父上って呼ぼうかな」
「本当に二人は仲がいいですわ。リアムとティアが殿下にイチコロされても、リオは駄目ですよ」
「俺は駄目なの?」
「ええ。この子達の未来はこの子達のものです。でもリオは全部私のですもの。」
「やっとわかった?」
「やっと?」
「ここまでの道のり長かったな。愛してるよシア」
リオに口づけられます。幸せですわ。ただ子供達の前でいいのでしょうか。




