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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
番外編 冒険の記録

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冒険者の記録 十話

こんにちは。冒険者のルリこと元レティシア・ルーンですわ。

Aランクの冒険者です。もうすぐ20歳になります。


リオとの結婚式をおえて、水の国を目指していました。

お互いの容姿が視線を集めることに気付いてからは全身ローブで覆って行動しています。

リオは私にだけローブを着せようとしましたが譲りません。

視線を集めてるのはリオだという自覚を持ってほしいですわ。

リオは視線を集めることに慣れすぎて感覚がおかしいのかもしれません。

水の国に着くまで1年近くかかりました。

時々ギルドでお金を稼いで国々の観光地を巡り、名物を食べ歩いていたので水の国まであっという間でしたわ。大道芸もたくさん見ましたのよ!!。

水の国の首都である水の都は湖の上にあります。神秘的です。

水の国、特に首都は神性な水の魔力に満ちているので、この国は気を抜くとふわふわしてしまいます。

ディーネも嬉しそうです。

宿を取って時々仕事と観光をして過ごしています。


今日は神秘の泉を見てきました。

泉の周りの魔力がおいしくてもう、たまりません。泉には入っていませんよ。

近づくだけでこの興奮ですから、泉に入ったらおかしくなる自信があります。

ディーネは泉につかっていましたが。

これからは水芸をみに行く予定です。水魔法だけを使った演劇です。

楽しみですわ。やっぱりこの国はふわふわしてしまいますね。


「シア?大丈夫」

リオに心配そうに見られてます。本当に心配症ですわね。

「うん。」

「そんな物欲しそうに誘惑されるとつらいんだけど」

「誘惑?」


リオの顔が近づいてきますが避けます。ここは外です。


「リオ、ここ外だから」

「誰もいなかったらおとなしく俺に愛されてくれる?」


顔が赤くなります。リオに愛されるのは幸せだけど恥ずかしい。


「恥ずかしいです」

「宿に帰ろうか。ね?今日は俺の腕の中で過ごそう?」

「まだ昼ですわ。それに水芸みたいです!!」

「わかったよ。じゃあ夜は覚悟して」


リオに額に口づけされます。リオの甘い声も瞳も慣れません。

その夜はやっぱり寝かせてもらえませんでした。



結婚してからずっとリオと一緒で幸せです。

リオは約束通り私を置いて仕事にいくことはなくなりました。

仕事も一緒にいけて嬉しいです。

最近、幸せのせいか体がいっそう、ふわふわします。


「シア、また魔力に酔ってる?」

「わかりません。ただふわふわします」

「少し微熱があるな。つらいなら魔法かけるけど?」

「リオ、治癒魔法ヘタだから平気」

「俺がヘタなんじゃなくて、シアが適性ありすぎるだけ。ヘタじゃない」


むきになってるリオが可愛い。リオには適わないことだらけだけど、治癒魔法は私のが得意です。水の魔道士だからですけど。ざっくりいうと風と火は戦闘全般。地と水は防御と治癒にたけています。

治癒魔法がいるほどじゃないのにな。


「治癒魔法はいらないからちょとだけリオの魔力頂戴」


リオが口づけを通して魔力を分けてくれます。

体に力が湧いてきます。リオの魔力をもらうとふわふわが落ち着きます。もう大丈夫そう。

リオの胸を押します。


「ありがとう。もう大丈夫」

「俺の魔力ならいくらでもあげるけど、最近多いな。」


リオの頬への口づけを受け入れます。

リオの魔力をもらうとなぜか体が楽になります。


「なぁ、ディーネ、シアの体、調べられる?」

「病気は専門外よ。みてみるけど。うん。医者が必要ね。私がレティ見てるから呼んできて」

「ディーネ?私、大丈夫だよ」

「念の為よレティ、それにもうリオはいないわ」


リオがいつの間にかいませんでした。

お医者様ってそんなにすぐに見つかるのかな。

しばらくするとリオが真っ青な顔をしてお医者様を連れて帰ってきました。私、そんなに重篤なの?

元気なのに。


お医者様が私の様子を見て笑ってます。

リオがすみません。

診察をしていただきました。


「妻の容態は?」

「心配しないでください。奥様は大丈夫ですよ」

「良かった。」

「愛されてますね。お二人は魔導士ですか?」

「はい」

「おめでとうございます。新たな命が宿っていますよ」


新たな命?


「奥様は水の魔導士ですか?」

「はい」

「水の魔導士の魔力はこの国の魔力と馴染みがよく自然な垂れ流し状態です。お腹の子供も魔力を栄養にするので、魔力欠乏がおきやすい状態です。奥様は妊娠による体の変化と魔力が吸われて、体調を崩されると思います。旦那様の魔力を分けると楽になるはずです。

症状がひどい時は結界で覆ってあげてください。この国は水の魔導士には楽園であり地獄でもありますから、可能なら移動されることをお勧めします。無理はしないでくださいね」


お医者様は去って行きました。

風の結界がはられました。確かに体が楽になる。

新しい命?


リオに口づけられ、魔力を送られます。

リオ、そんなにいらない。あんまりもらうとおかしくなる。

大量の他人の魔力をもらうと魔力酔いをおこします。自分の保有量以上の魔力は自分の魔力に変換できないので体に毒になります。

リオの胸を叩き、やめてもらいます。

これで大丈夫。でもリオにもらった魔力のおかげか気合をいれなくても体に力が入りますね。


リオに抱きしめられてます。


「よかった」


声が濡れてる。泣いてる?リオの背中を撫でます。心配かけたかな。


「シア、ちゃんと守るから」

「はい。信じてますわ」

「シアも子供も守るよ。楽しみだな」

「楽しみ?」

「あぁ。シアに似たら嫁にだせない自信がある」

「リオ、とられちゃいますね」

「俺はシアのものだから安心して」

「家族が増えますね」

「帰ろうか」

「帰る?」

「王国に。無事に生まれるまでは父上達を頼ろう。医療は王国が一番だ」

「大丈夫かな?」

「俺が守るよ。無事に生まれたらまた旅に出てもいいしな。」

「もし狙われたら一緒に逃げてくれますか?」

「勿論。離さないけど、シアがまたいなくなったら必死で探すよ」

「もう貴族には戻りませんよ?」

「今更だ。」



そしてフラン王国に帰りました。リオが過保護すぎです。ご飯くらい自分で食べられます。

しかも、まさか海路で進むとは予想外です。

ディーネとフウタ様の力を借りれば安全ですが。船を買うとか、お金大丈夫なんですの?

当分私は働けませんのよ!?

まさか半年かかる道のりを3か月でたどりつくとは予想外でした。

リオはもし途中で具合が悪くなったら空を飛んで近くの国に立ち寄ろうとしてたみたいです。

さすがに無茶だと思います。

4年振りに帰ってきました。

ローブは被ったままです。まさかマール公爵家の裏口から侵入するとは思いませんでした。

誰にもみつからないのが奇跡ですわ。


伯父様の執務室に行きます。リオ、不法侵入になりません?

伯父様とリオのお兄様である次期マール公爵のカナト様が不審な顔されてますよ。


「人払いをお願いします」


伯父様が驚いた顔をして人払いをしています。

リオが結界を張りました。


カナト様が慌てて部屋を出ていきます。

まずいかな?リオが気にしてないなら大丈夫かな。

戻ってきました。伯母様も一緒です。早いですわね。


リオがローブを脱ぎます。


「お久しぶりです。お願いがあってきました」

「おかえり。一緒にいるのはレティかい?」


ローブを脱ぎます。

「お久しぶりです。伯父様。申しわけありませんでした」


リオが家を捨てたのは私の所為だから。


「おかえり。無事で良かった。レティが謝る事なんてなにもないよ」


伯母様に抱きしめられてます。


「無事で良かったわ。本当にもう。やっぱりローゼの娘ね。心配かけるんだから。すぐ自分だけでなんとかしようとして。ちゃんと大人を頼りなさいって教えたでしょ。リオまで置いて一人で行くなんて」


「ごめんなさい。私はリオを」

「レティ、昔からリオには貴方だけだった。リオは貴方がいなきゃ生きられないのよ。貴方がいなくなった時なんて目もあてられなかったわ。責任を感じるなら最後までちゃんとリオの面倒を見て。もしまた姿を消すときもリオだけは連れて行って」


伯母様?


「母上、落ち着いてください。レティシアが困ってます。リオもそんな情けないことを知られたくないと思いますよ」

「ごめんなさい。つい。おかえりなさい。レティ、リオ。あら?まさか」


伯母様の腕がほどかれ、視線がお腹に。たぶんいつもの伯母様に戻りました。

リオにとっては感動の再会なのに、なにか空気がおかしいですわ。


「お察しの通りです。子供ができました。無事に産むまで匿っていただけませんか?」

「おめでとう。それは構わないが、家に戻るか?」

「いえ、リオ・マールとレティシア・ルーンの子供は狙われます。いまだにルーン公爵令嬢の話題が消えてません。できれば二人を守っていくために力を貸していただきたい」

「相変わらずバカだよな。お前は。そんなのみんなわかっているよ。駄目な弟と可愛い義妹のためならいくらでも力を貸すよ。もしレティシアのことがばれそうなら俺の子供ってことにしてもいい。」

「カナト様」


あまり、お会いできる機会はありませんですが、時々珍しい本をくれたり、外国語を教えてくれる頼りになるお兄様でしたわ。


「レティシア、昔みたいにカナ兄様でいいんだよ。」


笑った顔がリオに似てます。カナ兄様はいつも優しい。

笑みがこぼれますね。


「カナ兄様、ありがとうございます。」

「レティシア、リオが嫌になったら俺がレティシア達を養ってあげるから安心して。カナ兄様をいつでも頼っていいからね」


優しく頭を撫でてくれるカナ兄様の手に涙がでそうになりました。マール公爵家の方々は本当に優しい。


「カナ兄様」

「兄上、義姉上に怒られますよ」

「あいつは昔からレティシアのファンだから大丈夫だ。連れて帰ったら喜ぶよ」

「シアは渡しません」

「二人ともいい加減にしなさい。離れを貸そう。あそこなら来客に会うこともないだろう。」

「父上、ありがとうございます」



伯父様達のお蔭で無事に出産できました。

まさか、セリアが私の主治医になるとは思いませんでした。信用できるお医者様もいなかったのでありがたいですが、どこまで天才なんですの。一度、産婆をやりたかったのよとたくましい顔で言ってくれましたわ。本当に頼りになる友人ですわ。

やけに魔力を吸われると思っていたら双子が生まれました。

我が子は可愛いです。ただ取り上げたセリアの意味深な顔の意味がわかりました。

リオにそっくりの兄と私にそっくりな妹。

まだ名前は決めてません。なぜか皆、妹ばかり可愛がります。エディは連れて帰ろうとしました。

お忍びで現れた殿下は「どっちを妃にするか」と言い出します。リオと二人で仲良くお茶して帰りました。

愛しい我が子達の将来が心配です。

いつまでも離れにお世話になっているわけには行かないので、引っ越し先も考えないといけませんね。



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