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追憶令嬢の徒然日記  作者: 夕鈴
第二章

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第八十四話  追憶令嬢13歳

ごきげんよう。レティシア・ルーンですわ。

気楽で平穏な生活を目指す公爵令嬢ですわ。


今日は長期休み最後の日です。

海の皇国の接待もお茶会地獄もターナー伯爵家の修行も終わりました。

ターナー伯爵家の修行は逃げることを徹底的に鍛えていただき、マートン様達の攻撃をこれからも華麗に躱しますわ。もう絶対に負けません。

今年はエイベルと修行の時期が重なりました。エイベルとの手合わせも鬼ごっこも負けました。もっとがんばらないといけません。ありがたいことに伯父様からはエイベルとも訓練していいと許可をもらいました。訓練するなら監督生と先生の言うことをきちんと聞く約束のもとに。



今日はリオに頼んで領地の森に来ています。

弓と剣も短剣も準備ばっちりです。



「シア、本当にやるの?」

「はい。勿論です」

「令嬢なんだから蛇が怖くてもいいと思うんだが、わかったよ。もう言わない」


諦めさせようとするリオを睨むとため息をついたので勝ちましたわ。

この森は蛇がでるそうです。

今までこの森に足を踏み入れたことはありませんでしたが蛇克服の訓練です。

気配を探り弓矢を放つとブシュっと刺さる音が聞こえ、ボトっと地面に緑色の蛇が落ちてきました。

気持ち悪いですが見えなければなんとかなりますわ。


リオが枝を魔法で切り落とすと4匹の蛇が向かってきます。弓矢を放つも間に合いません。どんどん近づいて来ます。来ないで、もう嫌、


「水流撃破」


蛇の動きは止まりましたが無意識に魔法を使ってしまいました。


「シア、フウタに結界を頼んでるから大丈夫。できれば魔法なしがいいが剣は無理そうだな。戦わなくても逃げればいい」


リオがまた木を切り落とすと蛇が落ちてきました。こっちに向かってくる蛇に向かって短剣を投げます。近づいてくる蛇から逃げて距離を取ってまた短剣を。短剣が足りません。


「弓」


リオの言葉に弓を持っていることを思い出し弓矢を放つ。

全部の蛇が動かなくなり、ほっと息をつくとリオが近づいてきました。


「シア、大丈夫そうだな。苦手意識はあるが対応できてるよ。そろそろ終わりに」


気配に目を向けると木の上にいる白い蛇と目が合いました。

蛇が赤くて長い舌を出して、近づいてきます。弓矢を構えようとすると手が震えて、体に冷たい汗が流れます。胸の鼓動が速くなり、近づく蛇から逃げないといけないのに足が動かない。

蛇との距離がどんどん近くなり、


「シア、大丈夫だよ。怖いことはおきない。もう強くなったんだから安心して、ほら」


リオに短剣を渡されます。動かない蛇に向かって投げると当たりました。

動かなくなった蛇に気が抜けて、足に力が入らず崩れおちる体は逞しいリオの腕に支えられ抱き上げられました。


「頑張ったな。もう大丈夫だよ。泣かないで」


冷たくなった体にリオの温もりが恋しくて首に手を回してギュっと抱きつく。頭を撫でられる手の優しさに緊張が解け、ふぅっと息を吐く。


「やっぱり怖いです」

「怖くても対応できてるよ。頑張ったな。蛇はどうする?捌いて食べる?」


恐ろしい言葉にリオの顔を見ます。

食べる・・・?


「ごめん。冗談。そんなに真っ青にならないで。もう帰ろう」

「蛇は」

「護衛に処理させる。命を粗末にしないよ。フウタ、ありがとう。結界解除」


リオの声に待機していた護衛騎士が現れ、蛇の死骸を見て固まってます。

リオが処理を命じています。蛇の皮は高価でお肉は食用に?


「リオも蛇は捌けますの?」

「あぁ。熊より簡単。俺が捌くからシアは覚えなくていいからな」

「ありがとうございます。熊も?」

「熊は力がいるからシアには難しいよ」

「リオに任せます。自分で歩きますわ」

「危なっかしいから馬車まで運ばせて」


今日は疲れました。意思の強い口調の折れてくれないだろうリオの説得はやめました。そんなに人もいませんしリオに甘えましょう。

リオに送られてルーン公爵邸に帰りました。

明日から学園に戻ります。

今年の休みは疲れましたわ。

去年の平穏だった夏休みが恋しいです。

私の味方を増やそう計画は全然進んでいません。

学園が始まってまたマルク様に追いかけられる日々にため息しかでないですわ。

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