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第四話 襲撃

康太は王様の後ろにまたがるよう乗馬し、馬の歩く揺れに身を任せていた。

王様の着ている重装備が揺れと共にガシャンガシャンと音を立てる。



(いかにも強そうな人だな……。実際に鎧を見るの初めてだけどめちゃくちゃ重そうだな。俺一つしかつけてないけど結構な重量感だぞ。ちょまって、今思ったんだけど俺の恰好ボロボロの短パンにガチガチの胸当てってダサすぎるだろ。)



しばらくすると、前にいた王が口を開く。



「お主、その装備はどこで手に入れたのだ」


「この鎧のことですか? クロニクルカースから入手しました」


「まだ確証があるわけではないが、私の一太刀を受けても傷一つついていないその鎧はかつての王が装備していたものの可能性が高い。お主がその装備を入手したということは王の器に認められた存在ということだ。あぁ、それとさっきはすまなかったな。聖具かどうかを確かめるには少し乱暴すぎた。殺すつもりはなかったのだ」


「いえいえ、大丈夫です。王の器……さっき見た本にも書かれていました。確かクロニクル5世が身に着けていたアンハートという装備ですよね。どうしてそのような装備が私の元に来たのでしょうか……」


「それは私にもわからない。しかし、その装備が120年の時を経てまた世に出てきたということは何か起こる予兆なのかもしれん。この国にまた災いを呼ぶことになるかもな」


「災いって30年前に終戦した戦争のことですか?」


「ああ。またその戦争が勃発することは絶対に阻止せねばならん。そのためといってはなんだが、しばらくお主を私の配下の元に置いておくことになる。構わんか?」


「だ、大丈夫です。あの、全く実感がわかないのですが、私が実際に王の器に選ばれたとして何をしたらいいのでしょう」


「それは宮廷に行ってから話そう。色々と聞きたいことがある。それよりお主、名は何という」


「わかりました。ナマケって言います」


「私はクロニクル13世のドナークだ。よろしく頼むよ」



(ゲームの世界とはいえどゲーム名を王に言う機会があるとは思ってもみなかった。それにドナーク王、案外喋りやすい王様だな。見た目と違って優しそうでよかった。)




 しばらくすると街を出てだだっぴろい草原に出た。

草原にはスライムみたいなぷよぷよした奴や、少し現実世界より大きめのカエルみたいな奴がたくさんいる。



(これがモンスターか。何というか弱そうなモンスターだな。後で街に戻ったらネマルにモンスターについて色々と聞いてみよう。)



モンスターたちはドナーク王の威厳に気圧されているのか全く手を出してこない。

平凡な草原だ。




――ヒヒーン!ドサッ



突然の出来事だった。

康太とドナーク王が乗っていた馬が急に暴れだし、二人は地面に投げ飛ばされた。

馬を見ると、足に一本の矢が刺さっている。



「皆に告ぐ! 私の馬が何者かに狙撃された! 臨戦態勢に入れ!」


「「はっ!!」」



ドナーク王は緊急事態に即座に対応し、周りにいる15人程の兵士に命令した。

そして倒れていた康太に手を指し伸ばす。



「ナマケ、立てるか。敵が何者かはわからんが、たぶん奴らはお主の事をねらっている。というよりも、その鎧か。出来るだけ私のそばを離れるな。」


「は、はい!」



1分程その場に静寂が訪れた。

康太は陣形で円を描いた15人の兵士の中心で王様と共に周りを見渡していた。



「ドナーク様! 敵の姿が見られません! それに今の我々の人数だと多勢に無勢かと。ひとまず避難しましょう」



兵隊の中で一番偉そうな男が声をあげた。



「馬鹿野郎。気を抜くな! まだ敵はどこかに潜んでおる。そんなやすやすと逃げ出すなら襲撃などせんわ! 皆よく聞け。なにがあってもこの少年を守るのだ。今の陣形を決して崩すな!」



その時だった。



「「うぁぁ!」」



周りにいた兵士たちが地面に埋まっていく。

まるで地面の中に引きずり込まれているように。

瞬く間に15人の兵士たちの姿が消えた。



「お、王様……。これってやばいんじゃ……」


「おいナマケ、私の後ろに下がっていろ。奴の手下が来た」



(奴の手下? デスカイザーの手下ってことか?)



康太は王様の視線に目線を合わす。

すると黒服を着た長身長髪の男と背の低い小太りの男がこっちに歩いてくる。

奴らの背後には数人ぐらいの兵士のような人影が見える。



「やってやりましたダジル様!」


「よくやったラング。見ろ。王様であろうお方が何の近衛も持たずに佇んでいる。まぁもとよりその王様には用は無いのだが」


「何のつもりだダジル。お前の今の行いのもたらす意味を分かっているのか」


「あなたとじゃれてる暇は無いドナーク王。後ろにいる少年をこちらへ寄越してください。そうすればあなたの命は取りませんから」


「ほう。やはりこの少年が狙いか。デスカイザーの連中も懲りてなかったのか。ふんまぁいい。思い知らしてやろうあまりクロニクル国の王をナメるなよ」


「面倒くさいですねぇ」



ドナーク王は鞘から銀色に光る剣を抜き出し、物凄いスピードで奴らの元へ突進していく。

そして背後にいた取り巻きを一瞬で切り倒す。


「年の割に中々動けますねぇ」


ダジルはすかさず王に爪のようなもので切りかかる。

しかしドナーク王は剣でガードし、二人の刃が火花をあげる。



「そんなものかデスカイザーの兵士たちは。クロニクル国の兵士には劣るぞ。たとえ戦争が起きてもお前たちは負ける」


「そんな兵士たちも今は地面で埋まって死んでしまいましたよ。あまりデカい口を叩かないでくださいよ」



次の瞬間、ドナーク王の剣がオレンジ色の炎で包まれる。

少し離れたところからでもドナーク王のすさまじい熱気が伝わってくる。


ドナーク王は一旦後ろに引き下がり、もう一度ダジルに切りかかった。

剣で切ったとは思えない物凄い爆発音とともに辺りが地面から湧き上がる砂塵で包まれる。



(や、やったのか・・・?)



しばらくすると人影が見えてきた。



「お前らの王に申しておけ。戦争はこの私が起こさせんとな」


「お、王様! ご無事でしたか!」


「私を誰だと思っておる。それより早く宮廷へ向かうぞ。敵の増援が来る前に」



―ザクッ



王の胸からは三本の刃が出てきている。

そして、倒れていたはずのダジルが何故か王様の背後に突っ立っていた。



「ぐはぁ! お、お前まだ動けたのか……!」



ドナーク王はその場で倒れこむ。



「何言ってるんですか。あなたが切り付けていたのは私の幻影ですよ。あなたの目は節穴ですか?」


「なんだと・・・?」


「お、王様!! 大丈夫ですか!?」



康太は王様の元に駆け寄ろうとした。

しかし、足が動かない。

足元を見ると地面に埋まっている。



「行かせねぇぞ。お前を生け捕りにしろという命令だ。大人しくしていろ!」



(おいおい、この状況ヤバすぎるだろ。ゲームを進めると言っても、さっそくゲームが積みそうなんですが。)



「な、ナマケよ……。すまない。王として情けない限りだ……。少年1人も守ってやれないとは……。これだけは言っておく。絶対に死ぬな……」



ドナーク王が喋り終えると同時にダジルが爪のようなもので王の頭を切り裂いた。



「はははははっ! まさか少年の確保だけでなく、ドナーク王の命まで奪うことができるとはな。クロニクル国もデスカイザーのものだ!」



(いや王様死んだの。マジで? コレ普通にこの人たちについていっていいのか…。いや一応俺も王の器なのかもしれないわけだ。ここは一度抗ってみるか。)



康太は優越感に浸っているダジルらを横目に視界にある球体、メニューボタンに触れる。



(胸当ての鎧だけじゃ戦えないが、もしかしたらクロニクルカースから剣とか武器になるものが出てたかもしれない。)



そして【アイテム】に触れた。



(つってもアイテム全部黒に塗りつぶされてて何が何か分かんねぇんだよな。お、まてよ。一括装備っていうボタンがある。なるほど自分のステータスが一番良い状態になるよう装備してくれるのか。)



【一括装備】に触れた。



次の瞬間康太のすでに身につけていた鎧装備以外の体全体が光りだす。

康太の手からは剣のような形の何かが光りだしている。



(お、これは。もしかして運よく全部位の装備当たってたのかな。剣もあるしラッキーだ。ってかこのゲーム、スキルとかあんのかな。)



康太は少しゲーム感がでてきた事にテンションが上がっていた。

しかし、次の瞬間目の前が真っ暗になった。



(え、なんで?)


少し投稿日開いちゃいましたすみません

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