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義姉たちが全員重度のブラコンだった。  作者: 個味キノ/藤宮カズキ
共通ルート 第一部
39/51

義姉さんたちとの家族旅行。二日目! ~夏の泊りはカレーと共に~

39話投稿です‼

 


「出来ましたっ!!」

「……すっごい大変だった」

「……ひとつ聞くけど、夕飯を作ってたんだよね?」

 それが何で二人揃ってそんなにボロボロなの。

 表情は対極的だけど。逆にそれが不安というか、心配というか……。



「はる君~、今からでも遅くないし~、ピザでも取る~?」

「やめて! そんなことされたら私の努力が報われない!!」

 おお、夏希姉ちゃんの絶叫が響き渡る……。

 ていうか、秋ねえはちょっとひどいからね!?



「え~、でも~」

 あー、チラチラ見ないで。

 わかってるから、言いたいことはわかるから。



「ちなみにさ、冬華姉さんと夏希姉ちゃんは何を作ったの?」

「カレーですっ!!」

「それで何でそんなにボロボロなの!?」

 カレーだよね!? 材料切って煮込むだけでも形にはなるよね!?



「春斗ぉ。大変だったんだよぉ。本っ当に! 大変だったんだからぁッ!!」

「そ、そこまで……?」

「あ~、なっちゃんずるい~。私もはる君に頭撫でて欲しい~」

 いや、秋ねえ何もしてないじゃん。


「え、待って。確認するけど、本当にカレーを作ってたの?」

「ええ。自慢じゃありませんが美味しく出来ました!」

 えー……。

 そんだけ髪がほつれた状態で言われても説得力ないというか、逆に不安が煽られるというか……。


「聞いて。ねえ、春斗、聞いて。すごいんだよ、冬華姉さん。なんて言うかもう、色んな意味ですっごいんだよぉ」

「泣くほど……?」

 待って待って! 本当に待って!!

 カレーだよね? 本当にカレーを作ってたんだよね!?


「ち、ちなみに材料は……?」

 なんか変なもの使ってないよね……?


「玉ねぎと人参とジャガイモ。それにお肉です」

 あ、普通だ。


「調味料は?」

「そっちは夏希に任せていたので、私はよくわかりません」

 あ、じゃあ大丈夫だ。


「……で、なんでそんなにボロボロなの?」

 別に変な事してないよね?


「あのね、春斗。驚かないで聞いて欲しいんだけど。冬華姉さんが触ると、なぜか材料がなくなっていくんだよぉ!!」

「どゆこと?」

 その感じだと冬華姉さんは材料切ったぐらいだよね!?


「はる君~。これ見て~」

「…………何それ」

「う~ん、じゃがいも~?」

「見た目はそうとしか言いようがないよね」

 ただ、聞きたいのそこじゃない!


「それ、皮……? 分厚過ぎない……?」

 普通に5mmぐらいある。ぶっちゃけ、可食部がふんだんに残ってる。

 だが、まな板の端に避けられている。つまりは、捨てようとした……? え、なんで?


「春斗も冬華姉さんと料理をすればわかるよ。この人、不器用だ!」

「ですが、私はやり切りました」

 ドヤ顔!?

 これだけ俺らが騒いでるのにとびっきりのドヤ顔!?


「冬華姉さんの強メンタルがつらいよぉー」

「夏希姉ちゃんの心が折れてる……」

 俺が秋ねえとイチャついてる間に一体何があった!? ──って、聞くまでもないけど。


「はる君~。これ多分、普通の倍ぐらいの量を使ってるよ~。わ~、材料の無駄遣い~」

「秋ねえも少しは歯に衣を着せようよ」

 さっきから言いたい放題ですよね!?


「だって~。これは呆れちゃうよ~。見て見て~、この人参~」

「なんでそれを煮込まなかったのか逆に聞きたくなるな」

 実じゃん、それ!

 皮剥けば十分食べれるじゃん!!


「春斗君。ダメですよ。ちゃんと皮を剥いたものを食べないと」

「皮を剥けなかった人が何言ってんの?」

 おっと。俺も秋ねえのことを言えないな。もっとオブラートに包まないと。


「? 何を言ってるんですか? ちゃんと剥いてるじゃないですか」

「剥けてないから! 全然剥けてないから!! まだ残ってるからね!? こんなの、もったいないお化けが出るレベルだから!!」

「ふふ。お化けを怖がるなんて、可愛いですね春斗君は。大丈夫ですよ、怖くないように今夜は私が一緒に寝てあげます」

「ちょっとは人の話を聞こうか!?」

 冬華姉さんの認知が時々歪むのは何なの!?


「春斗君。わかりますか? 私、今とってもはしゃいでるんです」

 テンション上がってるのが原因!?

 人の話が聞けなくなるほど!?


「だって、初めてちゃんと料理が出来たんですから」

「う……」

 そんなに無邪気に喜ばれると、ツッコむこっちが悪いことをしてる気分になる。


「そういう優しさが春斗のいいとこだって知ってるけど、今回はちゃんとツッコミ切って欲しかった!!」

「ごめん、夏希姉ちゃん。あんなに喜んでる冬華姉さんにそれは出来ないや」

「じゃあ、私を慰めてぇー!」

「はいはい。よしよし」

「じゃあ~、私がはる君を慰めてあげる~」

 秋ねえは抱きつきたいだけでしょ!?

 ああもう、背中でおっぱいが潰れてる!!


「むう。なんだずるいです。三人だけで楽しそうにするなんて」

「はいはい! さっさとご飯にしようね!!」

 これ以上、バカ騒ぎをしてる余裕はない!!



 ▼



 というわけで夕飯です。

 メニューはシンプルにカレーとサラダのみ。

 というか、夏希姉ちゃんの苦労を鑑みるにこれが精いっぱいだったんだろう。


「わ~、普通に美味しい~。なっちゃんすごいね~」

「うう。ありがとう秋奈姉さん」

「秋奈。どうして夏希にばかり。私も作ったんですよ?」

「そうだね~」

 ……ていうか、秋ねえ辛辣過ぎない?


「普通のカレーでも、いつもと違うシチュエーションで食べると別の美味しさがあるよね」

 とまあ、目の前に広がる海を見つつ下手なフォローを入れてみたりする。


「そうですね。昨日のバーベキューもよかったですが、これはこれでいいですね」

「テラスが広くてよかったね~」

「シンプルなメニューが逆に功を奏したよね!!」

「夏希姉ちゃんって前向きだよね」

「そりゃそうだよ! せっかくの旅行だもん!! 凹んでばかりはいられない!!!」

 たくましいなぁッ!!


「旅行も明日で終わりだからね! 最後まで楽しまないと!!」


40話は明日8日の19時投稿です!

予約投稿しております!

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