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義姉たちが全員重度のブラコンだった。  作者: 個味キノ/藤宮カズキ
共通ルート 第一部
37/51

義姉さんたちとの家族旅行。二日目! ~昼はみんなでピクニック~

37話投稿です

 


「冬華姉さん、それ砂糖! 塩はこっち!」

「え!? ありがとうございます、春斗君」

 危ない危ない。塩むすびが、甘くなるところだった。

 せっかくのピクニックで、そんなもの食べたくはないぞ。


「なっちゃ~ん。卵どうする~? 卵焼きにするのは半分ぐらいでいい~?」

「お願い、秋奈姉さん。もう半分はボイルしてサンドイッチの具にしようよ!」

「賛成~」

 ていうか、秋ねえってマジで料理できたんだ。

 家での姿からは想像が出来ない手際の良さ。


「春斗君、春斗君。お米が熱いです!」

「そりゃ炊き上がったばかりだからね!」

 それに比べて冬華姉さんの不器用さよ……。一生懸命なだけにもったいない。


「春斗、大丈夫? そっちも手伝おうか?」

「大丈夫。そっちの方が手間かかるでしょ。こっちは何とかするから」

「お~、はる君のイケメン発言~」

「ああ、やっぱり春斗君が義弟でよかったです!」

 秋ねえはともかく、冬華姉さんは絶対にガチで言ってるよね!?


「広いキッチンでよかったね~」

「確かに。家だと四人で料理なんて出来ないし」

「楽しくていいよね! これも旅行の醍醐味だね!」

「春斗君! お米が手にくっついて上手く握れません!!」

「ラップ使ってるのに、どうしてそうなるの!?」

 待って。冬華姉さんってこんなに不器用だった!?


「春斗、ファイト!」

「はる君~、応援してるからね~」

 面倒を押し付けてるだけだよね!?


「ほら、冬華姉さん。一回、手を洗って。そしたら、握り方を教えるから」

「ありがとうございます~。春斗君、なんだか先生みたいですね」

 本職の教師が何を嬉しそうにしてんだか。


「ラップはキッチンテーブルの上に置いて。手のひらの上でやろうとするから失敗するんだよ」

「ああ、なるほど!」

 そんなに納得することじゃないからね?


「で、ほら。こうやってラップの四隅を摘まんで持ち上げて。それで後は手のひらを丸めて握ればいいから」

「は、春斗君。この体勢は!?」

「この方がわかりやすいでしょ。ほら、ちゃんと握って」

 とか余裕ぶってるけど、俺も内心バクバクだから。

 だって後ろから抱きかかえるみたいにしてるせいで、冬華姉さんの顔がすぐ横にあるし。

 おにぎりの握り方を教えるのに、冬華姉さんの手を上から包むようにしてるし。

 ごめん。俺ちょっと調子乗ったわ……。


「わ、わ。春斗君の手が」

「ああもう、ちゃんと集中してって」

 手つきが怪し過ぎる!! そんなお手玉するほど熱くないでしょに!!


「ああっ、見てください春斗君! すごいきれいに握れました!!」

「ああ、うん。そうだね」

「とっても美味しそうですね」

 ぶっちゃけちょっと歪な形してるけどね。冬華姉さんが嬉しそうだし、いいや。


「じーっ」

「じ~」

「!?」

 え、何!? 何その強烈な視線!!


「春斗! 私、包丁の握り方がわからない!!」

「包丁で薄いオニオンスライスを作れる人が何を言ってるの?」

「はる君~、卵ってどうやって割ればいいの~?」

「今しがた片手でパカパカ割ってた人が何言ってんの!?」

 もうちょっとマシな嘘を吐こうか!?


「二人とも。あんまり春斗君を困らせるような事を言っちゃダメですよ?」

「あんたがそれを言うのか……」

「あら?」

 “あら?”じゃないだろうに。


「もういいから、早いとこ準備して出発しよう。もうすぐ11時を回るよ」



 ▼



「んー、気持ちいいね!」

「お昼寝したい~」

「思ってたより距離がありましたね」

「おー。すげー、見晴らし」

 はい。ということで、レンタルした自転車を漕ぎ漕ぎ、崖の上までやってきました。

 あの後もなんだかんだあったのに、よく準備を終えられたよ。


「秋ねえもこっち来て見てみなよ。いい景色だよ」

「それより~、はる君もこっち来て寝ようよ~。芝生が気持ちいいよ~」

 ふむ。

 確かに。ごろんと寝転がる秋ねえは、めちゃくちゃ気持ちよさそうだ。


「あー、いいなぁ。これ」

「でしょ~? ちょっと眩しいけど~」

「それはしょうがないって。太陽は輝くのが仕事みたいなもんだし」

「勤勉だよね~、お天道様って~。休みなしだもん~」

 はは。秋ねえらしい考え方。


「二人ともー、準備出来たよー!」

「お昼ですよ!」

「待ってました!」

「お腹ペコペコ~」

 あれだけチャリを漕いで来て、汗もかいた。

 そして自分たちで作った昼ご飯! これで美味くないわけがない。


「じゃーん! って言っても、みんな中身は知ってるか」

「いやいや。夏希姉ちゃん、そういうの大事だから」

「気分が違うよね~」

「わ、運動会みたいですね!」

 それ、めっちゃわかる。

 二つのバスケットにはそれぞれに主食とおかずが入ってるけど、なんかこう、運動会の弁当って感じがする!

 まあ、作ったのは自分っていうのは、今もあの頃も変わらないけど。


「見てください、春斗君! このおにぎり、私が握ったんですよ!」

「知ってるよ。一緒に作ったんだから」

「もう! もうちょっと感動してくれてもいいじゃないですかぁ」

 なんてむくれつつ、冬華姉さんは楽しそうにしている。

 そしてそれは夏希姉ちゃんも秋ねえも変わらない。

 だからきっと俺も同じように笑っているんだろう。


「ん~、美味しい~」

「こういうお弁当って、なんでこんなに美味しいんだろうね!」

 夏希姉ちゃんの言う通り、ただのおにぎりが格別に美味い!


「風も気持ちいいし、来てよかったね!」

「ちょっとだけ、コテージでゲームしてたいとも思ってましたけどね」

「え~、自転車~って思ったりもした~」

「帰りも自転車だよ。どうするの? 秋ねえ」

「はる君の後ろに乗っけて~」

「あ、ずるいですよ秋奈! 春斗君、私も乗りたいです!」

「だったら私も! ね、いいでしょ春斗!!」

「みんな自分の自転車に乗ってきたじゃん!」


 なんて、冗談を言い合う笑い声に芝生も緩やかに揺れる。

 義姉さんたちと過ごす時間はこんなにも楽しい。

 でも、だからこそ選ばなきゃいけないんだろう。


 今朝、夏希姉ちゃんから言われた通りに。



次話以降も出来る限り早く投稿します!

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