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義姉たちが全員重度のブラコンだった。  作者: 個味キノ/藤宮カズキ
共通ルート 第一部
35/51

義姉さんたちとの家族旅行。初日! ~そして夜はお楽しみ──~

35話投稿です

 

「片付け終わったよー」

 結局、大半をひとりで片す羽目になってしまった。

 全部が終わってコテージに戻ってきたら、すでに20時半を回っている。


「って、なんでまだ水着なのさ」

 パーカーを羽織ってても、夜は冷えるだろうに。

 風邪ひいて旅行中に寝込むとか、そんな真似は勘弁して欲しいんだけどなぁ。


「これからお風呂ですし、別にいいかと思いまして」

「あ、そういうこと。ていうか、冬華姉さんは酔いが醒めたの?」

「春斗君。その話はなしにしましょう。さっきの私は私じゃなかったのです。いいですね? あんなにかっこ悪いお姉ちゃんでは、みんなに示しがつきません」

 ……今更そういうこと気にするの?


「あ、なんですか! その胡乱気な眼差しは!?」

「や、家の中を下着でうろつく人が、今更威厳とか気にするんだって思って」

「それはそれ、これはこれ、ですね」

 胸張って言う事じゃないなぁッ!!


「とーかちゃん~、早くお風呂~」

「早くしないと風邪ひいちゃうよ!」

 あ、夏希姉ちゃん、青のりちゃんと取れたんだ。よかったよかった。


「!? 春斗。あんまり人の顔をじろじろ見ちゃダメ!」

「わかったわかった」

 そんな慌てて隠すほどか。悪いことしたかな。


「? 二人とも~、なにかあったの~?」

「ないよ! ないから早くお風呂行こう!?」

 夏希姉ちゃんって本当に誤魔化すのとか下手だな。


「ていうか、なんで誰も動かないの? あ、今風呂の準備をしてる最中?」

「いいえ。もう準備はとっくに出来てますよ」

「じゃあ、なんで入らないのさ」

「はる君を待ってたんだよ~」

「え、マジで? ありがたいけど、義姉さんたちから入ってくれてよかったのに」

「もー、違うよ春斗! みんなで一緒に入ろうってこと!!」

 ……はい?



「覚えていませんか? 昼間、みんなで探検した時、お風呂を見て言ってたじゃないですか。『この広さなら、みんなで一緒に入れそうですね』って」

「確かに言ってたけど……」

「それなら~、一緒に入るしかないでしょ~?」

「その理論はおかしくない?」

「あー! もしかして春斗、照れてるの?」

「それ以前の問題だからね!?」

 男女! 男女だからね、俺ら!!

 さすがに家でもそこまではしなかったでしょ!?


「大丈夫~、水着を着たままだから~」

「そういう問題なの、これ!?」

 洗う時どうすんのさ!?


「春斗君、あんまりわがままを言ってお姉ちゃんたちを困らせないでください」

 わがまま言ってるの、俺なの!?


「よーし、じゃあ行くよー!」

「待って待って! 多分色々と問題あるから!」

 そんなに手を引っ張らないでくれない!?


「平気だよ~。水着着てるし~」

「そうですね、水着ですし」

「そうそう、水着だもん!」

 その水着への信頼感は何!?



 ▼



「すっげぇ、何この風呂」

「広くていいよね!」

「景色もきれいだし~」

「贅沢ですね」

 ちょっと贅沢過ぎる気もする。

 だって、まさかの露天風呂だし! や、元々内風呂だったんだけど、ガラス戸を開けたら露天風呂になっちゃったし!!


「どんだけオシャレなんだ、このコテージ」

「芸能人の物件探し番組に出てきそうだよね!」

「あ、それわかります。値段を当てるやつですね」

「……買えるかな~?」

 買おうとしなくていいから。


「春斗君、お風呂上がったらゲームですからね」

「わかってるよー」

「じゃあ~、早く上がるために~、はる君を洗ってあげるよ~」

「待って。それはおかしいから」

「遠慮しなくていいよ! 結局、バーベキューの片付けを全部やってもらっちゃったし」

「遠慮とかじゃないから」

 って、ちょっとは人の話聞こうか!?

 なんでこういう時は、三人の団結が高まるのさ!


「ちゃんときれいにしてあげますからね」

「隅々までね~」

「お姉ちゃんたちに任せて!」

「せめて水着に手をかけるのはやめて!」

 そこはさすがに自分で洗うから!!


「かゆいところはありませんか?」

「ええ、はい大丈夫です」

 無心だ。心を虚無にするのだ。背中に当たるやわらかい感触は、きっとスポンジだ。


「わ~、はる君の筋肉だ~」

「あの、お腹をペタペタ触るのやめてくれない?」

 秋ねえがなぜか股の間に居座ってるけど、何でもないから。何も想像してはいけない。


「春斗って足もきれいだよね!」

「それはどうも」

 あの、夏希姉ちゃん。足に抱き着くようにして洗う意味は、何かあるの……?


「きれいきれいしますよー」

「くすぐっていい~?」

「気になるとこがあったら言ってね!」

 ……新手の拷問かな、これは。色んな意味でしんどい!



 ▼



 そして俺は拷問を生き残った!

 ……これさ、旅行を二泊三日にしたのって失敗じゃない?


「……いいや、明日のことは明日考えよう」

 思考放棄である。

 そして一足先に上がった俺は、リビングの大画面にゲーム機をつないでいる。


『秋奈姉さんずるい! 大きいだけじゃなくてやわらかい!』

『なっちゃんだってお尻小さいじゃん~。羨ましい~』

『秋奈こそ、それだけ大きいのに、ちゃんとくびれがあるじゃないですか』

『そーだそーだ! なんだその体!』

『や~。揉まないで~』

『む。ですが、夏希の肌。なんですかこのハリは! これが若さですか!!』

『ダメ! ダメだから冬華姉さん! くすぐったいってばー!!』


「……」

 耳栓を持ってこなかったのは、失敗だったな。


『はる君~、もう上がるからね~』

『秋奈姉さん、ちゃんと髪乾かして! 春斗、もうちょっと待ってて!』

『全く、しょうがないですね秋奈は。春斗君、すぐに行きますからね!』

 ……なんでいちいちこっちに報告するのさ!!

 いいから、わざわざそんなことしなくて!!


「ふう。お待たせしました」

「上がったよ~」

「ごめんね、遅くなっちゃった!」

「ああ、うん。大丈夫」

 あ、よかった。さすがに風呂上りは普通の恰好だった。

 義姉さんたちのテンション上がり方的に、また突拍子もないことするんじゃないかと心配してたんだよね! いや、よかったー!!


「さすが春斗君、準備は万端ですね」

「いつでも始められるよ」

 ゲーム機はテレビにつなぎ、コントローラーも四つ用意してある。


「ゲームなんて久しぶり。うまく出来るかな?」

「罰ゲームは何にする~?」

 発言の落差が。夏希姉ちゃんと秋ねえのゲームへ臨む姿勢に、激しいギャップが。


「まずは普通にやりませんか? ほら、まだ夜は長いですし」

「冬華姉さんの言う通り。まだ22時前だしさ」

「あ、私もその方がありがたいな。慣れないと、罰ゲームばっかりになっちゃいそうだし」

「わかった~。とっておきのを考えてあるから~、それはまた後でね~」

 待って、何その不穏な発言。

 ここまであれだけはしゃいでるのに、さらにまだあるの!?


「最近はみんな揃って、私が最年長だということを忘れているみたいですからね。ここでひとつお姉ちゃんの威厳を見せてあげましょう!」

 なんて、威厳の欠片もない冬華姉さんの一言で、志木家ゲーム大会は始まった。


 旅行はまだ初日。時間もまだある。楽しくなるのはこれからだ。



37話までは毎日21時投稿です

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