義姉さんたちとの家族旅行。初日! ~お待ちかねの、水着です~
33話投稿です!
水着回!!
「砂、熱っ」
部屋決めでごたごたしたけど、なんとまだ午前中!
てことで、部屋で着替えてビーチに降りてきました!!
「海、すげー」
何度も言うけど、マジでここ日本!?
水がきれい! すげぇ透き通ってる! こんな海、海外じゃないと無理だと思ってた!
「しかも静かだし」
聞こえるのは波の音に蝉の声といった、シンプルな夏の音ばかり。
うちの近所じゃ絶対にこんなの無理だ。もっと人が多い。車だって。
「……」
ビーチサンダルとの間で転がる砂利の感触。足の甲にまとわりつく砂の粘っこさ。
立ってるだけで噴き出る汗に、日の光を抱え込みながら崩れ落ちる波。
ここに、夏がある。
「お待たせー!」
「──」
心の中でガッツポーズ。
ビーチに降り立った夏希姉ちゃんの水着姿に、夏に感謝したくなった。
「暑いねー。わ、やっぱり海きれい!」
「ね」
あ、やばい。普段どう接してるのかわからなくなった。
いやだって、無理じゃない!? こんなの!!
「んー! 気持ちいいー!!」
ぐーっと伸びをする夏希姉ちゃん。
「……」
いや、そりゃあね。俺だって妄想したよ? 義姉さんたちがどんな水着を着てくるのかって、そりゃ考えたさ。ていうか、佑樹から電話来たし。『絶対写真を撮れ』って。迫真のやつが。
だが残念だったな、佑樹。俺は絶対に写真を撮らない。
こんな夏希姉ちゃんの姿を、他の誰かに見られるような真似、するわけないだろ!?
だって、黒だぞ!?
黒の水着だぞ!? 夏希姉ちゃんが!!
なんかすげー大人っぽい。もっと違う感じだと思ってただけに、尚更そう感じる。
「春斗、ちょっとお肉ついてる?」
「ちょ、『姉ちゃん』!?」
「あはは。慌てすぎー!」
「あれだから、試験太りだから」
「大丈夫。太ってるわけじゃないから。むしろ今までが痩せ過ぎ? ……ねえ、春斗。旅行から帰ったら、もっとちゃんとご飯作るからね!」
「そんなことされたら、それこそ太るって」
「そっか! それもそうだね!」
そう言って笑う夏希姉ちゃんの笑顔が眩し過ぎて直視出来ません!!
「二人とも早いね~」
「秋奈姉さん! 砂浜、熱いよー!」
「うわ~、ほんとだ~。はる君、おんぶして~」
「それ、ずっとおんぶしてなきゃいけなくなるじゃん」
ていうか、今の恰好でおんぶとか、ある種の拷問だからね!?
普段は服着てるからあれだけど、お互い裸一歩手前みたいなもんだって認識して!!
「わ~、砂利がじゃりじゃりする~」
そしておっぱいがぷるぷるしてる。
や、大きいのは知ってたけど、水着だとまたこう視覚的な破壊力がね、すごいよね。
「秋奈姉さんの水着、かわいいね!」
「なっちゃんのもかわいいよ~。はる君は普通~」
「こういうデザインのしか売ってなかったんだから仕方ないだろ」
大体、俺の水着姿に何を期待したのさ!?
「夏だね~」
「うん!」
「暑いよね~。谷間が蒸れちゃうよ~」
「!?」
慌てて目を逸らす。そうせざるを得ない。
だって秋ねえの肌、めちゃくちゃ白いし。さすが普段、部屋から出ないだけある。
青色の水着がめちゃくちゃ映える。それとその、水着が小さいのかもしれないけど、なんだか布面積少なくない? 大丈夫? サイズ合ってる?
「う~ん。なんかきついよ~」
やっぱり!?
「秋奈姉さん。それ、試着した?」
「してない~」
「だからだよ! どうするの?」
「我慢する~。他に人いないし~。見られる心配ないし~」
俺としては、ちょっとは心配して欲しいんだけどね!
ほらこう、ポロリ的なことになったら、困るのは俺だし!!
「すみません。遅くなりました」
「とーかちゃん、早く~」
「わっ。熱いですね」
みんな揃って、とりあえず砂の熱さに驚く辺り、似た者家族なんだろうか。
「日差しが眩しいですね」
「冬華姉さん。帽子いいなぁ」
「言ってくれれば、夏希の分も用意しましたよ」
「とーかちゃん、おんぶ~」
「秋奈。暑いんですから、あんまりくっつかないでください」
何か今、ものすごい贅沢な時間を過ごしている気がする。
美人三姉妹の水着姿を独占。
なんだこれ。俺、この旅行が終わったら死ぬんじゃなかろうか?
「春斗君。日焼けには気を付けてくださいね。お風呂入った時にヒリヒリしますよ」
「冬華姉さんこそ。ちゃんと日焼け止め塗った?」
「あ、お姉ちゃんをばかにしましたね? ちゃーんと塗ってますよ」
「でも~、塗りムラあるよ~」
「え、どこですか?」
「ここ!」
「ひゃう!? 夏希ッ!!」
「あははー!」
笑顔で逃げる夏希姉ちゃんを追いかける冬華姉さん。
見てるだけで幸せになる光景がそこにはあった。
そして、夏希姉ちゃんと秋ねえの水着を見た俺は思う。
冬華姉さんは、赤か、と。
いやね、夏希姉ちゃんの水着にも驚いたよ?
そんな大人っぽいの着るんだって。
でも、冬華姉さんのも驚きだ。
まさか一番派手な水着を着てるのが冬華姉さんなんて、誰が予想するよ。
「はる君~? 目がエッチだよ~?」
「うわ!? あ、秋ねえ!?」
「私たちの水着を見て~、ドキドキしちゃった~?」
「……否定はしない」
いや、普通にしてるけどね!? ドキドキ!
でも、それをそのまま言うのも癪じゃん!!
「ふふ。よかった~」
「え?」
「はる君に見向きもされないのが一番やだもん~。ドキドキしてくれて~、よかった~」
「……ッ」
その物言いはずるくないですかね!?
「春斗! 秋奈姉さん! 早く来なよー!」
「水が冷たくて気持ちいいですよ!」
波際から夏希姉ちゃんと冬華姉さんの呼ぶ声がする。
「秋ねえ、行こう」
「行こ~。だからおんぶ~」
「しないって言ってるだろ!!」
さあ、これから家族旅行を満喫するぞ!!
37話までは毎日20時投稿です