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義姉たちが全員重度のブラコンだった。  作者: 個味キノ/藤宮カズキ
共通ルート 第一部
24/51

夏希姉ちゃんとのデートが始まりました!

24話投稿です!

夏希ねえちゃんとのデートの話です。

 

春斗(はると)! ごめん、待った?」

「10分先に家を出たんだから、待つわけないだろ」

「もー! そこは『今来たとこ』って言うところでしょ」

「茶番過ぎる」

 言われた時は小学校の算数の問題を思い出したよ!?



「春斗はもっと乙女心を勉強しないとダメ!」

「義姉さんたち以外にこんなことしろっての?」

「それはダメ!」

「じゃあ、いいじゃん」

「むー」

 唸る夏希姉ちゃんを置いて歩き出す。

 さすが日曜日、駅前は人でごった返している。


「ところで春斗。何か言う事は?」

 そうして夏希(なつき)姉ちゃんはスカートの裾を持ち上げて見せる。


 太ももが無防備になるので、やめてくれません?


「初めて見るよね、その服」

「! えへへ~。でしょー? 今日みたいな特別な日のために取っておいたの」

「まあ、似合ってる」

「ほんとー?」

「ほんとほんと」

「えへへ~」

 うちの義姉さんは基本ちょろい。


 それで義姉さんが喜んでくれて嬉しく思ってる俺も大概だけど。


「ねえねえ、春斗。手、繋ごう?」

「なんで」

「いいでしょ? デートなんだから!」

「『姉ちゃん』、それ家を出る前も言ってたよね」

 何でもその言い訳が通じると思ったら大間違いですよ!?


「姉弟で出かけてるだけじゃん」

「違う! 今日はデートだから姉弟じゃないの!」

「じゃあ、『姉ちゃん』って呼ばなくてもいい?」

「!? ダメ! やっぱり私と春斗は姉弟だから!」

 俺に一体どうしろと?


「むー。どうしよう春斗。すっごい難問だよ!」

「ものすごい簡単な問題だと思う」

「私は普通のカップルみたいにデートしたいの。でも、春斗に『姉ちゃん』って呼ばれるのも捨てがたいの。どうしよう?」

 知らねー、って言っちゃダメですか!?


「ほら、とりあえず行こう」

「えー。春斗ってば淡白過ぎない?」

「『姉ちゃん』が色々こだわり過ぎなだけだって」

 ていうか、今日の夏希姉ちゃん、テンション高くない?


「ねえ、春斗。楽しいね!」

「まだどこにも行ってないよ!?」

「違うよ。どこに行くかじゃなくて、誰といるかだよ! 日曜日に春斗と一緒にいられるだけで、私はすっごく楽しいの!」

 わかったから、こんなところでそんなことを言わないでください。

 ほら、周りから注目されてる。


「で、今日はどこに行くの?」

「春斗はどこか行きたいとこある?」

 ……え?


「『姉ちゃん』が思い出の場所に連れて行ってくれるんじゃないの?」

「んー、まだ時間が早いんだよね」

「……ちなみに、後何時間ぐらい?」

「今が11時だから、あと4~5時間ぐらいかなー」

 かなーって。

 え、マジで?


「え、じゃあ夕方までそこには行かないの?」

「違うってばー。夕方までデートを楽しんで、それで最後に思い出の場所に行くの」

 ほう。

 そしてつまり、それまでの時間は何をするのか決めてないってことか。

 ……ザル過ぎない? そのスケジュール。


「……わかった。とりあえずそこのファミレスに入ろう」

「お昼?」

「それもあるけど、今日の予定を決めよう。闇雲に歩くのは疲れるから」

「私は春斗が一緒なら大丈夫だよ!」

 そりゃどうも。


「あー。春斗、待ってー!」

 なんか、うちの義姉さんたちって時折ポンコツになるよなー。

 なんでだろ。



 ▼



 ということでファミレスです。

「すぐ座れてよかったね!」

「お昼時には早いしね」

 きっとすぐに混んでくる。


「? どうしたの?」

「いや、なんでもない」

 改めて見ると夏希姉ちゃんって、やっぱり可愛い。

 目はパッチリしてるし、顔は整ってるし、さっきから色んな男性客がチラ見していくのも頷ける。


「うーん」

「なんか、悩んでるの?」

「なに食べようかなって思って。春斗はどうするの?」

「どうしよう」

 ファミレスに入ったはいいけど、腹具合はまだ微妙だ。

 朝も普通に食べたから、お昼にはまだ早いこの時間に何かを食べたいとは思えない。


「あんまりお腹空いてないの?」

「うん。とは言え何も食べないのもなー」

 微妙な時間に入ると、こうなるよね。


「じゃあさ、春斗。分け合いっこしない?」

「ああ。いいね。そうしよう」

「やった!」

 喜ぶ夏希姉ちゃんは即座にピンポンを押す。


「ごめん。ちょっとトイレ」

「行ってらっしゃい!」

 と、送り出され用を足して戻ってきたら、そこにはとんでもないものが置かれていた。


「あ、遅いよ春斗。もう来ちゃったよ?」

「いやいやいや! 『来ちゃったよ?』じゃないよね!? なにこれ!?」

「え、カップル限定デラックスミックスパフェ」

「デラックス過ぎない!?」


 え、嘘。パフェってこんなデカいものなの?

 器だけで15㎝ぐらいの高さがあるよ?


「おいしそうだよね!」

 いえ、見てるだけで胸やけしそうです。


「はい、春斗。あーん」

 うおっ、眼前に大量の生クリームが。

 迫力がすごい。


「春斗。あーん」

「……あーん」

 これ、食べなきゃ一生言い続けたよね!?

 てか、甘っ!!

 なにこれ!!


「はいじゃあ、春斗。あーん」

 え、何。それって俺もやらなきゃダメなの!?


「春斗―、早くー」

「……あーん」

「あーん♡ ん~、おいしい~」

 ……マジすか。

 くっそ甘い生クリームに口内を蹂躙されてるんだけど。


「春斗、もう一口食べるよね? はい。あーん」

 追い打ち来たッ!?


「『姉ちゃん』。ちょっと待った。その前にドリンク頼もう」

 これはコーヒーがないと食べれない奴だ。


 その後も夏希姉ちゃんがねだるままに『あーん』を繰り返し、結局あのバカでかいパフェの半分を食べる羽目になった。

 ……嫌な満腹感だ。

 予定決めるだけのつもりがなんでこんなことに……。


「さ、春斗! 次に行こう!」

 なんで夏希姉ちゃんはそんなに元気なのさ!?


25話は週末予定です。

思い出の場所に徐々に近づいていきます。

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