義姉たちとは過去に何かあったようです。
大変遅れてしまい、申し訳ありません!
義姉たちとの謎(?)に少しだけ触れる回になってます。
「私がいっちばーん!!」
「一回差でしょ~?」
「たまたまですよ」
「でもでも、春斗が一番『姉ちゃん』って呼んだのは私だよ! ね、春斗?」
あー、はい。そうですね。
「む、何その不服そうな顔」
「そんなのリビングに貼り出されたら、普通そうなるよね!?」
冬華姉さん命名。『何回姉ちゃんと呼ばれたか表』
くそダッサいネーミングのそれが、志木家のリビングには貼りだされている。
「今更だけど、何そのサイズ!?」
「A1だよ~。大学で印刷してきた~」
「そんなことのためだけに大学行かないで!」
「え~、もっと褒めてよ~」
だったらもうちょっとまともな理由で大学に行ってくださいッ。
「わかりやすくていいと思いますが、春斗君は何が不満なのですか?」
「俺の羞恥心に何の遠慮もないことだねッ!」
テレビ見てようが、飯食ってようが、それが視界に入ってくるんですけど!?
罰ゲームでしかない……。
「まあまあ、そんな照れなくていいよ。春斗からの愛はちゃ~んと、受け取ってるから!」
「先に俺の言葉を受け止めて!」
あと気持ちも! お願いだから!
「えへへ~、春斗からの愛が一番多いよぉ。嬉しい!」
夏希姉ちゃんはそうだろうね。
でもさ、頼むからホントに俺にも配慮して。
せめて、ハート形のシールで回数を表すのをやめて。それめっちゃ恥ずかしいからね!?
「ま~、まだ時間はあるしね~」
「ええ、挽回は可能です」
「このまま独走するよ!」
そんなにやる気見せなくていいから。
ていうか、もうやめようよ、それ……。
「ですが、もうして春斗君に『姉ちゃん』と呼ばれると昔を思い出しますね」
「そうだね~」
「懐かしい!」
「え、みんなをそんな呼び方したことあったっけ?」
親父が再婚してからこっち、いつもの呼び方しかしたことないよね?
「春斗君は覚えていなくてもしかたありません。本当に昔のことですから」
「でも~、私はちゃんと覚えてるよ~」
「私も! ていうか、忘れられないよね」
「待って。みんないつの話してるの? 俺、そんな記憶ないんだけど?」
「それは秘密です」
「ちゃんと自分で思い出してほしいしね~」
「でも、思い出せなくても春斗のことはちゃんと好きだから大丈夫だよ!」
ていうか、え、何。
この『姉ちゃん』呼びって意味があったの?
ただの遊びか、俺への高度な嫌がらせだと思ってたんだけど。
「俺って、前にみんなに会った事あるの?」
「秘密です」
「内緒~」
「教えられなーい」
いやいや、そんなこと言われたら気になるって。
「いいじゃん、教えてくれたって」
「そこは乙女心をくみ取ってください」
何その、冬華姉さんらしからぬセリフ。
「思い出って大事だよね~」
だからその意味深なセリフは何なの秋ねえ!!
「大丈夫だよ、春斗!」
大丈夫って何が!? もったいぶらずに夏希姉ちゃんが教えてくれればいいじゃん!!
「大事な記憶だからね~」
「例え春斗君でも、安易に教えられません」
「思い出せなくても問題ないからね!」
こんなときだけ姉妹の絆を強くしないでくれない!?
「そんなことより~、はるくんは私と何したい~?」
「私もそれは聞きたいですね」
「普通のデートと制服デート。春斗はどっちがしたい?」
「強引に話変えすぎじゃない!?」
もうちょっとちゃんと聞かせてよ!
「過去より今だよ、春斗!」
「過去も大事だと思うよ!?」
「変えられないことにこだわっても仕方ありません」
「ただ事実を知りたいだけなんだけど!?」
「私たちがちゃ~んと覚えてるから平気だよ~」
「出来れば俺にも共有してくれない!?」
え、何。なんでそんな頑なに教えたがらないの?
「そうですね。私たちは昔から変わらず春斗君のことが好きなんですよ」
「今と同じぐらい、ずっと春斗が好きなんだよ!」
「はるくんへの愛は変わらないよ~」
そう言ってくれるのは嬉しいけど!
みんなみたいな美人から好かれるのは嬉しいけど!
なんか納得出来ないからね!?
「そうですね。いつかちゃんと話します」
「やっぱりシチュエーションって大事だしね~」
「思い出話はロマンスと共に!」
別にいらないと思うよ!?
普通に雑談でいいじゃん。
どうせしょうもない過去なんだからさ!
「簡単ですよ、春斗君。思い出を知りたい人のことを、一番たくさん『姉ちゃん』と呼べばいいだけなんですから」
また、冬華姉さんはそうやって余計なことを言う!
「はるくんとの思い出は、とっても大切なんだよね~」
「私、春斗とのことは誰にも話したことないな。大事だから」
ほらー、秋ねえも夏希姉ちゃんも気になるようなこと言い出したー。
どうしてくれんの、一体!?
「春斗君との思い出があったから、私は先生になったんですよ」
「あの時のはるくんも、かっこよかったよ~」
「あれがあったから、春斗との再会はとっても嬉しかったんだよ!」
気になりすぎるから、今すぐ教えて頼むから!
次話(13話)は明日の20時投稿予定です!
既に予約投稿してあるのでお待ちいただければと思います!
また、17話まではほぼ毎日投稿できるかと思いますので、お暇な時に見ていただけるとありがたいです……!