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義姉たちが全員重度のブラコンだった。  作者: 個味キノ/藤宮カズキ
共通ルート 第一部
10/51

冬華姉さんは外でもこんな感じになりました

大変遅れて申し訳ありません…!

10話投稿です!

 

「ふぅ。冬華姉さん、これで全部?」

「ええ。ありがとうございます、春斗君」

「校内放送で呼び出された時は何事かと思ったけどね」

 まさか日に二回もあんな風に呼び出しを食らうとは思わなかった。



「この生物準備室も物が多いですからね。整理できてよかったです」

「確かに。使い方がわかんない道具とか多いしね」

「む。春斗君、もしかして勉強不足ですか?」

「冬華姉さん、俺の成績知ってるでしょ」

 そりゃ、夏希姉ちゃんみたいに学年トップクラスとは言わないけど、ちゃんと進学できる程度の成績は取ってるって。



「でも、春斗君ならもう少しいい成績を取れると思いますよ?」

「受験の時は頑張るよ。今は、これぐらいがちょうどいいし」

「それもそうですね。春斗君は十分頑張ってます」

 なんだよ、いきなり。


 照れ臭いじゃん。


「頑張ってるご褒美に、コーヒーでも飲んでいきますか?」

「片づけを手伝ったお礼じゃなくて?」

「それはこっちのお菓子です」

 あ、美味そう。ラッキー。



「春斗君、学校は楽しいですか?」

「なに? いきなり」

「義姉として気になったので」

「……? 普通に楽しんでるよ」

 たまに義姉さんたちが暴走して困るけどね。



「ふふ、よかったです」

 んー、なんか調子が狂う。

 家での冬華姉さんがアレ過ぎるせいか、学校でちゃんと教師をしている冬華姉さんとのギャップが、こう、しっくりこない。


 ちょっと、戸惑う。



「ところで春斗君。何か忘れていると思いませんか?」

「夕飯の買い出し、夏希姉ちゃんに任せちゃったんだよね。おかず減らされたらどうしよう」

「夏希はそんなけち臭いことしないから大丈夫です。ではなくて!」

 いやまあ、気づいてるけどね。冬華姉さんが何言いたいかは。


 でもさぁ、なんて言うか『アレ』には俺が未だに納得いってない。


「ふたりきりの時、私のことは何て呼ぶんでしたっけ?」

「片付けも終わったし、そろそろ帰ろうかな」


 あ、拗ねた。

 冬華姉さんもクールなフリして、色々わかりやすいよなぁ。


「今日のお昼休み、夏希に呼び出されてましたよね」

「ああ、うん」


 だから校内放送使うなって言ってるのに!

 100%こうなるなんてわかりきってるじゃん!!


「夏希はよくて、私はダメなんですか?」

 あー。

 そうやってじっと見られるの、苦手だ。


 特に冬華姉さんは真っすぐに見てくるし。



「ダメじゃないよ? ダメじゃないけどさ、ほら。色々あるから」

「何がですか?」

 恥ずかしいんだよ、単純に!

 だって、ふたりきりの時だけ『姉ちゃん』呼びなんて、どうしたって意識するじゃん!!


「先週末、散々呼んだじゃん」

「ふむ。つまりは、私の『お姉ちゃん度』が足りないと言う事ですね?」

 ……誰もそんなこと言ってないよね!?



「先週末は小説を参考に色々しましたからね」

 そもそもあれを参考にしようって言うのが間違ってるって、気づいて!

「春斗君的に、ああいうことをすれば『姉ちゃん』って呼びたくなるんですね」

 確信持たないで違うから!!


「大丈夫です。安心してください。春斗君がいつ求めてきてもいいように、準備は万端ですから」

「どっから取り出したの、その耳かき!!」

「懐です。温めておきました」

「冬華姉さん、生物の教師でしょ!?」

 なんで日本史ネタ!?


「今の元ネタがわかるとは、さすが春斗君ですね。天下統一を果たす器なだけはあります」

「その持ち上げ方もわからないから!!」

 センスが独特過ぎる。反応しづらい!



「それでは、どうぞ」

「いや、どうぞって……」

 そんな当たり前みたいに膝をポンって叩かれても……。



「タイツが嫌なら脱ぎましょうか?」

「そういうことじゃないからね!?」

 ズレてる。やっぱり冬華姉さんはズレてるよ!



「ちなみに、昼休みは夏希に膝枕をしてもらったそうですね」

「なんで知ってんの!?」

「画像が送られてきましたから。私たち姉妹のグループに」

 夏希姉ちゃん、何してんの!?

「ちなみに、何回『姉ちゃん』と呼ばれたかも送られてきました」

 いや、ホントに何してんの!?


「春斗君。私、不公平はよくないと思います」

 そうやってプレッシャーかけてくるのもよくないと思います!



「ふふ。素直な春斗君が好きですよ」

「俺はもっと優しい『姉ちゃん』が好きだ」

「だからあなたが好きなんです。大丈夫、安心してください。優しくしますから。ほら、こしょこしょ~」

 ……まあ、気持ちいいのは間違いない。


「動かないでくださいねー、けがしちゃいますよー」

 そんなくすぐるような感触でケガも何もないだろうに。

 てか、これ眠くなってくるな。


「いいですよ、眠いなら寝て。私がちゃんと見てますから」

「……それはさすがに悪いでしょ」

 人間の頭って結構重いし、冬華姉さんの足が痺れてしまう。


「目を閉じてー、そのままゆっくり呼吸しましょう。リラックス出来ますよー」

 ……確かに。

 冬華姉さんのいい匂いのせいか、段々気持ちよくなってきた。

 けど、このまま寝るわけには──。



 ▼



「って、マジで寝ちゃったし!」

 え、今何時?


「春斗君、急に起き上がらないでください。びっくりしました」

「あ、冬華姉さん」

「む。なんです。その呼び方は」

「ああ。ごめん『姉ちゃん』。咄嗟だったからつい」

「甘えてくれたから特別に許します」

 って、そうじゃなくて!


「ごめん! なんか本当に寝ちゃった。足、重かったでしょ!?」

「あはは。まあ、少しだけ」

 やっぱり。


「でも、十五分ぐらいでしたから、大丈夫ですよ」

 そんなわけないよね!?


「さてと、私も春斗君から元気をもらったので、お仕事に戻ります。──あら?」

「『姉ちゃん』!!」

 危ない!


「足痺れてるのに急に立ち上がるから」

「でも、おかげで春斗君に抱きとめて貰えました。ありがとうございます」

「それはまあ。俺のせいだし」

 なんでそこで嬉しそうにするかな。


「それに、ちゃんと『姉ちゃん』って呼んでくれましたし」

「あー、まあ」

「ふふ。これからもっと呼んでくださいね」



 結局、冬華姉さんの足の痺れが取れるまで生物準備室で過ごすことになった。

 この時間だけで、十七回も『姉ちゃん』と呼ばせられたのには参ったけど。


11話は2/19(火)の18時に投稿です!

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