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第11回 英日バカップル サイモン&紀子

男女の仲は永遠のラビリンスである。

日本人同士でも互いの気持ちを理解し合うのは難しいのだから、お国が変れば文化の違いなどから更なる謎を呼ぶのは当たり前だろう。ただ、そんな迷宮に潜む謎は常に恋愛の試練として皆さんに降りかかる訳ではない。時に楽しい発見として出現してくる事もあるから人生は捨てたものではないのではないか。さて、男女が付き合っていれば色々なことが起こる。今回は私の友人サイモン&紀子のバカップルから聞いた恥ずかしい体験談をご披露させていただこう。


サイモンと紀子は付き合って今年で4年目の英日のカップルだ。紀子は学生ビザを延長してロンドンに住んでいるリーガリアン。皆さんもご存知の通りビザの延長は難しい。彼女も貯金が尽きてビザの延長が出来ず、昨年1年間日本に帰国し実家で新たにビザを取るためにお金を貯めていた。距離は離れてしまったがE-mailや郵送のプレゼントを贈りあい、愛をはぐくむ2人。そんなある日、紀子に新しい彼氏うわきあいてが出来てしまうのではと心配をしていたサイモンからあるものが届いたのだった。

小包を開けて赤面する紀子。なんと手紙とプレゼントのアクセサリーの他に全長20cm程度のゴム製大人の玩具が目見飛び込んできたからだ。「サイモンったら、こんなもの贈ってきて可愛い。」赤い顔のまま呟く紀子。この辺が彼らのバカップルたる所以であろうか。

その日は実家に妹の婚約者が来ており、皆で夕食をとることになっていたので、とりあえず小包をベッドの下に隠し、皆の居るダイニングへと向かった紀子。彼女達が夕飯の用意をしていると愛犬のユウちゃんが何かを咥えて嬉しそうにリビングルームへやって来たのだ。「見て見て!!」と誇らしげのユウちゃんに最初に気付いたのは妹の紗枝さえだった。

紗枝は「ユウちゃん、何咥えてるの?」と近づいて、その後「おねーちゃん!!」と必死に紀子を呼ぶのである。駆けつけた紀子が見たものはユウちゃんに咥えられたサイモンからのプレゼントだったのだ。もちろん紀子と紗枝はユウちゃんを連れて紀子の部屋へと急いだ。真っ赤な顔をしてユウちゃんからソレを取ろうとする2人。折角手に入れたお骨、(ユウちゃんにとってはお骨の玩具以外の何物でもない・・・確かに形も似てるしね)を死守するために唸り声を上げるユウちゃん。15分における死闘の結果、軍配は紀子達人間に挙がった。

後日談・・・実は紗枝の話では今でもユウちゃんは何処からかそのお骨を見つけてきては齧っているそうだ。何故って?捨ててしまえばよいのだが、サイモンからのプレゼントを捨てれないと言う紀子が原因だ。かと言って、ユウちゃんが咥えたその大人の玩具は英国に持ち帰ることも出来ず、実家に残しているところが紀子の恐ろしいところである。その話を聞いて私はアングリ口を開けてただ呆然としてしまうのである。


遠距離だから起こった奇跡。英人彼氏だから起こった奇跡、(英国では大人の玩具は結構ポピュラーで英人女性の3人に2人が持っているらしい)。今回の珍話の他にも、サイモン&紀子のバカップルは毎日楽しい話題を振りまいてくれている。そして私達はただ彼女達を暖かく見守るしかないのである。恋愛という永遠のラビリンスが紡ぎだす楽しい話題に耳を傾けながら。


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