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ギブアンドテイク
間もなくルーデルは転移者一行の代表者として国王と面会していた。
「見たところ君は軍人のようだが、見た事の無い服を着ている。やはり転移者と見て間違いないな。所属を聞いても?」
「ドイツ第三帝国空軍大佐、ハンス・ウルリッヒ・ルーデルだ。」
「ほう、空軍か。ならば、過去に転移してきて我が国で保護している飛行機設計の専門家、ジロウ・ホリコシとも相性が良さそうだ。どうだろう、今のところ帰る手段も無いし、この国で生活してみては?」
「当面はそうさせてもらう。ただ、一つ取引をしないか?」
「面白そうだ。聞いてみよう。」
「俺たちはここに駐留してこの都市を守る。その代わり、王国は俺たちの衣食住を保証する。」
「お易い御用だ。その取引、成立だ。転移者は我々にとって大きな戦力になりうる。」
このとき、国王がやったぜとばかりに口角を上げていたのをルーデルは知る由もなかった。