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おっぱい好きな古武術少年が、異能力者の学園に入学したんだが。  作者: アッキ@瓶の蓋。


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13/13

えぴ、ろーぐ。

 ――――『トンネルを抜けた先(物干し竿)』。

 それが俺が得た特殊能力について名付けられた能力名である。


 能力の内容に関しては単純明快。俺が見える範囲であれば、透明で見えない腕を伸ばして、どこだろうと動かせるという能力。そこには障害も、距離も、国境も、性別も、全てが意味をなさない。

 俺が思うかぎり、その手は対象の物を的確に掴み取る。


 この『トンネルを抜けた先』の能力だが、分類的に一番近い能力としてはエリザベス・シェイクスピアの『淑女の嗜み(マイフェアレディ)』に近いのだそうだ。彼女の『淑女の嗜み』という能力は自分に付き従う、目には見えない使用人を付き従わせるという能力であり、それによって俺との戦いの際は目には見えないその使用人を用いて戦っていたらしい。俺の能力はどちらかと言えば手が届く範囲を伸ばすという異能力であって、透明という点でしかあってないが。


 ――――はてさて、では武蔵坊弁天の事についての顛末を話しておこう。

 武蔵坊弁天は今回の事件の責任を夢島高等学校の上層部、つまりは異能力者を育てて隠し通そうとしている連中を本気で怒らせてしまった。ただの学生のお遊びの範疇を越えてしまった彼女は、光も届かない闇の牢獄にて永遠に捕らわれることになった。まぁ、自業自得とは思うのだけれども、残念ながらあのFカップはもっと触っておきたかったが……。

 そして武蔵坊弁天が監禁されるにあたり、俺への悪い噂は教師陣の方からある程度嘘偽りだと言ってくれたが、決してみんな信じてくれては居ないだろう。一度生まれた疑念の種とやらはなかなか消えないだろうし、信じている者はおよそ一分、0.1%にも満たないだろう。


 まぁ、結果としてはほんのちょっとだけ過ごしやすくなった程度であり、同室の宮本円明が少しだけ褒めてくれたというくらいだろうか? それ以外は相も変わらず俺の立場とやらはあまりよろしくはなく、相も変わらず俺の生活には変わりはない。皆に蔑んだ目で見られながら、俺自身は学校生活を送っている。

 日が東から西へと動くように、なにも変わらずにただただ日常は続いて行く。


(今日も平和な毎日だ……)


 うとうとと、ここしばらくの忙しさのせいで積み重なっていた疲れが襲って来ていた。今日は早めに床につこうかなぁと思っていると……


「――――佐々木、銀次郎ぉぉぉぉ! ……さま」


 バンッと扉を開けて1人、有栖川聖歌が教室の中へ怒声と共に入って来る。しかし、その格好は前回とはだいぶ違っていた。2つにくくっていた髪はくくりを解いて腰辺りまでたらりと長く伸ばしており、着ている服装に関しては……もう言うまでもない。


「どうしたんだ、その格好?」


「ううっ、格好は関係ないでしょうがぁ! 佐々木、銀次郎ぉぉぉぉ! ……さま」


 いや、けっこう気になるだろうが。命を奪おうとして来た相手だとは言えども……いきなり女学生が"メイド服着てたら"びっくりするのは当然だろう。それを言われた方、有栖川は「うっ……!」とどこか納得してないようである。すると彼女は鞄から1枚の紙を取り出して俺に渡す。渡すと言うよりかは、無理矢理叩き付けたくらいの強引さである。


「なんだよ、いったい。えっと、『有栖川聖歌。貴君は脱税容疑と傷害未遂容疑によって、佐々木銀次郎付きの3か月のメイド業務を命じる』って、なにこれ?」


「わたし、実はこの島に入って来る人達にちょこーっと能力でイタズラしてたんですね。

 能力を使って異次元に連れ込んで、おかしくして、傷めつけて、金品を奪ったりしてたんですが……それがあんたを襲って負けたのがきっかけで、こうしてメイド風メイクされて、あんたに3か月メイドとして仕える羽目に……。妹には倒すように言ったのに……」


 あぁ、なるほど。

 あの時、エリザベスが《お姉様》のためにと襲って来たのはそれが原因か。なんともまぁ、自業自得の癖になにを言ってんだか……。


「くっ……! これ以上は無理、ですわね。これ以上はメイドの特殊メイクのせいで、わたしが自滅してしまいます。

 と、とにかくこれは学園側からの罰ゲームみたいなもの! 時が来たら、メイドを辞めてあなたを殺すぅ、です! それでは食事を作って、待っておきますね! か、かか、勘違いするんじゃねぇよぉ!」


 そう言って、有栖川は教室から出て行く。


「くそぅ……攻めてあいつの胸が人並み、いやそれ以上ならツンデレメイドも良かったのに。

 Aカップごときでは、なんも面白みもないわ」


 はぁ~、と溜め息を吐きながら、これ以上厄介事が起きなきゃ良いなぁって。

 それだけを考えていた。



「――――女の子をメイドとか、本当ないです」



「……!?」


 一瞬その言葉自体にビクリとして慌てて辺りを見渡すと、そこにはジト目でこちらを睨むHカップのお胸様……いや、起きた病院坂さんの姿があった。そう言えば、病院坂さんはずーーーーっと寝ていたような気がして、こうやって喋ったのも初めてかも知れない。

 うわぁ、なに喋ろう? 「第一印象から決めてました」とか? いや、それだとなんだか変態っぽいなぁ。

 やっぱりここは無難に、「あんたのおっぱいは最高だぜ!」とかで……


「あんたさ、確か……佐々木銀次郎だっけ?」


「お、おぅ! そ、その通りでございやしゅ!」


 や、やべぇ! いきなり話しかけられたせいで変な言葉使いになってしまってる! ここはきちんとした言葉使いで、ちゃんと話を……



「あんたさ、佐々木銀次郎って名乗ってるみたいだけど……

 ――――本人、じゃないでしょ?」




【第1章 終了】

とりあえず、この辺りで1章完結とさせていただきます。

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